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久々の再開と思わぬ衝撃
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アリシア郡の掲示板事件の噂は、広まるのが早ければ終わるのも早かった。
ソレイユ郡とステマラ郡にまで届いた噂はレニアたちが半ば強引にマルスを大将に決め、対抗試合の応募用紙を提出した次の日にはもうほとんどの生徒が話題に上げなくなっていたほどだ。噂は去れども、掲示板の前にはまだ囲いが置いてあったが、みんな当たり前のように通り過ぎた。
そのまま掲示板がない状態で四月の終わりまで突入した。その頃には一年生のだれも校舎を迷うことなく歩けるようになり、寮内では郡対抗試合について話合っている生徒が大半になっていた。レニアたちも週末の休日を使って六人で話し合っている状態だ。
この二日間は本当に貴重な時間であった。
平日の放課後はその日に出された宿題を仕上げるのに時間が取られてしまうからだ。
マルスは宿題よりも対抗試合の作戦を考えようと主張したがナップとシュナベルがそれを許さなかった。二人だけでなく、レニアとマレーシャ、レセンまでも宿題を仕上げるのに彼の助けを必要とするので、平日の内にやることをやって、週末にたっぷりと作戦を考えることにマルスを説得させた。
その流れもあり、レニアたちは火曜日の放課後である今、食堂に集まり宿題を進めていた。食堂は食事の準備と後片付けをする時間以外は自由に解放されている。
なぜ、寮の共同部屋を使わないかというと、対抗試合に出場する上級生がほとんど占領してしまっているからだ。レニアたちのような下級生は自然と食堂に集まるようになっていた。
レニアは食堂のテーブルに苦手な魔法陣学のノートを広げ、コンパスを片手に苦戦していた。全く、どうして自分は綺麗に円を描くこともできないのかとクシャクシャになったノートを伸ばしては慎重に針を刺す。
レニアが真剣そのものの表情をしている横ではレセンが彼女よりももっと複雑な魔法陣を描いていた。彼女の選択科目「魔法結界」の宿題だ。シュナベルは今日の対人格闘剣術で習った感覚を忘れないように椅子に座りながらぎこちなく手を動かし、マレーシャはそれに迷惑そうにしながら天文学のノートに教科書を見ながら星の図を写していた。マルスは二科目の宿題を既に終え、三科目に手を出していたが、ナップは気だるそうに魔法道具百科事典を開き、ページをパラパラめくっては、その説明を読んでいた。レニアも慎重だったが、同じ位慎重にノートを書いていたマレーシャはシュナベルの腕が当たって図がずれたことに目をつり上げた。
「もう、シュナベルいい加減にしてよ!
あなた宿題は大丈夫なの?」
彼女の怒った顔を見て、少しひるんだシュナベルだが、それでも手は動かし続けて謝った。
「ごめん、でもこうしてないとすぐ忘れそうで怖いんだ。明日みんなに置いてけぼりを食らうのは君だってごめんだろう」
「今は宿題をする時間なのよ。
そんなの自分の部屋でやりなさいよ。
それにナップ、そんな簡単な宿題にいつまで時間かけてるのよ」
「おいおい、俺はただ宿題をしているだけなのに、どうして怒られなくちゃいけない訳?」
ナップは怒りの矛先が自分に向いたことに意味が分からないっと不満そうに呟いた。
彼がしている宿題は魔法道具の授業のもので、自分が興味のある魔法道具を五つ書き出して提出するものだった。マレーシャの言うとおり、他の教科と比べると随分楽な方である。
「そのページをめくる音に気が散るの!!」
マレーシャの怒った声にとうとうレニアの集中力も分散されつつあった。
それはレセンも同じようで、二人して持っていた定規とコンパスをテーブルの上に置き、マレーシャとナップが小声で言い合いをしているのを傍観した。ただ一人、マルスだけは三科目の宿題を黙々と仕上げている。
「シュナベルもナップも、宿題にやる気がないなら、二人で作戦でも考えていたら?
あっ、でも、二人とも自分で宿題ができないからみんなとやりたいのよねぇ~」
マレーシャが更にナップを煽るように言うと、小声で言い返せるほどには自制していたナップの怒りが爆発した。
「だから、何だって言うんだよ!
それに、俺はちゃんと宿題をやっていたのに。そもそも、マレーシャだって作戦を考えようっていう意見に賛成してないだろ!
自分のことは棚に上げて、他人に八つ当たりするのが君の宿題だって言うのかよ!!」
ナップが急に大声を上げたので、食堂にいたほとんどの生徒がレニアたちの方を何事かっという目で振り向いた。
一気に注目が集まり、きまりが悪くなったレニアは未だ臆せず宿題に取り組み続けているマルスに助けを求めた。
「ねぇ、マルスから何か言ってくれない?
私たちじゃ、止められそうにないから」
声をかけられたらマルスは、二人の状況を見て困惑した表情を浮かべて言った。
「えーと、二人とも…。
何か分からないか問題があったのなら、
手伝おうか?」
あぁ、少なくとも彼に助けを求めたのは間違いだったらしい。
レニアとレセンは同時に溜め息をついた。
彼女たちの間に対抗試合の戦略が練りあがるのは、まだまだ先になりそうだ。
五月に入ってから最初の一週間ほどは、アリシア郡の一年生たちは対抗試合のために東奔西走している時間も多かったが、更に一週間も経つとそれも徐々に静まっていった。
みんな中間テストの勉強に時間を割くようになったのだ。
レニアたち六人も今は机と向き合っている時間が少し長くなった。
六人で大抵揃って、図書室で自習をするのが、ここ最近の放課後のパターンだ。
レニアは勉強に飽きれば飽きたで、図書室の本棚の間をさまよい、興味がある物語の本を取って読んだりしていた。
その日の放課後も苦手から大の苦手へと移り変わろうとしている魔術魔法陣学の勉強に行き詰まった彼女は、一人席を立ち、空想の世界へと足を踏み入れる。
勉強をしている五人を思うと、多少申し訳なさを感じてくるが、第一章からパラパラとページをめくる手は止められない。
想像の世界や絵空事は現実でないからこそ、魅力的なのだ。それ故に彼女を簡単には手放してくれない。レニアはこう見えても読書が好きな方だった。
彼女がとうとう本格的に本に没頭し始めたところで、現実に引き戻そうとするかのように不意に誰かから右肩を叩かれた。
振り向いてみると、そこにいたのは兄のクレンだった。彼は声を出さずに、レニアに片手だけ上げてみせた。今日はいつも一緒にいる親友のサムは隣にいない。レニアが小声で「久しぶり」と言うと、クレンも笑って答えた。
「久しぶり、レニア。今日は一人なのかい?」
「ううん、友達は向こうで勉強しているの」
「じゃあ、サボリかい?まだ一回目のテストも終わってないのに」
「さっきまでやってたわ。
兄さんだって一人じゃない」
「サムは今日補習だよ。食堂が開く時間までに帰ってこれるか、来れないかってところだね。ところで、もう学校には慣れた?」
「うん、大分ね。でも、慣れてきたと思ったら、もう中間試験。本当に息つく暇もない感じ」
「そうそう、一年生は毎年そんな感じだよ。
何か苦手教科でもあるのかい?」
「魔術魔法陣学かな。見ているだけで目が痛くなるわ。あと、カークライン先生の郡学と天文学もどことなく不安」
「カークライン先生の担当教科には気をつけた方がいいね。居眠りした回数と落とす点数が比例してるって思うべきだね、あれは」
クレンがそう言うので、レニアは顔をしかめた。
「そんな、対抗試合のこともあるのに…」
「レニアは対抗試合に出るんだね。
なら、役に立ちそうな資料があるよ」
クレンがレニアを連れて来てくれた本棚には「武術学校の沿革史」、「海浜の防波堤セイン・カルス」や「山岳の砦レイン・ベキン」、「三校武術学校対抗試合の歴史」などの背表紙を持つ本が並んでいた。
「わぁ、こんなところあったのね」
「対抗試合について調べ物をしたいのなら、ここを使えばいいと思うよ。
何も技術だけが対抗試合に役立つ訳じゃないからね。戦いを有利にするための条件の一つには、」
「「情報収集の為の情報活動」」
二人の声が同時に同じことを言った。
クレンは少し意表を突かれた顔をしたが、すぐに笑みをうかべる。
「何だ、ちゃんと勉強しているじゃないか」
「私は居眠りするほど、不真面目じゃないわ。兄さん」
レニアはまだみんなが勉強中なのに、そんなことを言ってしまった。
もちろん、彼女は授業で居眠りをするタイプではないが。
「じゃあ、そんな妹に一つ有益な情報を教えようじゃないか」
「何を教えてくれるの?」
「カークライン先生の授業で眠くならない、特別な方法」
「そんな方法あるの?」
もったいぶるクレンに対し、レニアは焦れったくなってくる。そんな手段があるなら早いとこ知って、睡魔との戦いからおさらばしてしまいたいからだ。クレンは口角を少し上げて答えた。
「後ろの席の子に、お尻を思いっきりつねってもらうんだよ」
レニアがクレンと久々の再開を果たした次の日の朝、驚いたことにアリシア郡の掲示板が元にもどっていた。
復活した掲示板には早くも生徒の群がりができ、レニアには掲示板がかつての栄光を取り戻したかのように思えた。
その群がりのできようから、掲示板がどんなに大切な情報網だったのかを実感させられたが、それにしては、いささか大げさな騒ぎだった。どことなく不穏な空気が流れている感じがする。
レニアはレセン、マレーシャと一緒に掲示板に吸い寄せられるようにしてその板を覗き込んだ。
たくさんの生徒に邪魔されながらも、レニアはしっかりとその内容を確認した。
停学処分
アリシオ郡 一年 シュナベル・トライアル
記載の生徒を一週間の停学処分に処する
ソレイユ郡とステマラ郡にまで届いた噂はレニアたちが半ば強引にマルスを大将に決め、対抗試合の応募用紙を提出した次の日にはもうほとんどの生徒が話題に上げなくなっていたほどだ。噂は去れども、掲示板の前にはまだ囲いが置いてあったが、みんな当たり前のように通り過ぎた。
そのまま掲示板がない状態で四月の終わりまで突入した。その頃には一年生のだれも校舎を迷うことなく歩けるようになり、寮内では郡対抗試合について話合っている生徒が大半になっていた。レニアたちも週末の休日を使って六人で話し合っている状態だ。
この二日間は本当に貴重な時間であった。
平日の放課後はその日に出された宿題を仕上げるのに時間が取られてしまうからだ。
マルスは宿題よりも対抗試合の作戦を考えようと主張したがナップとシュナベルがそれを許さなかった。二人だけでなく、レニアとマレーシャ、レセンまでも宿題を仕上げるのに彼の助けを必要とするので、平日の内にやることをやって、週末にたっぷりと作戦を考えることにマルスを説得させた。
その流れもあり、レニアたちは火曜日の放課後である今、食堂に集まり宿題を進めていた。食堂は食事の準備と後片付けをする時間以外は自由に解放されている。
なぜ、寮の共同部屋を使わないかというと、対抗試合に出場する上級生がほとんど占領してしまっているからだ。レニアたちのような下級生は自然と食堂に集まるようになっていた。
レニアは食堂のテーブルに苦手な魔法陣学のノートを広げ、コンパスを片手に苦戦していた。全く、どうして自分は綺麗に円を描くこともできないのかとクシャクシャになったノートを伸ばしては慎重に針を刺す。
レニアが真剣そのものの表情をしている横ではレセンが彼女よりももっと複雑な魔法陣を描いていた。彼女の選択科目「魔法結界」の宿題だ。シュナベルは今日の対人格闘剣術で習った感覚を忘れないように椅子に座りながらぎこちなく手を動かし、マレーシャはそれに迷惑そうにしながら天文学のノートに教科書を見ながら星の図を写していた。マルスは二科目の宿題を既に終え、三科目に手を出していたが、ナップは気だるそうに魔法道具百科事典を開き、ページをパラパラめくっては、その説明を読んでいた。レニアも慎重だったが、同じ位慎重にノートを書いていたマレーシャはシュナベルの腕が当たって図がずれたことに目をつり上げた。
「もう、シュナベルいい加減にしてよ!
あなた宿題は大丈夫なの?」
彼女の怒った顔を見て、少しひるんだシュナベルだが、それでも手は動かし続けて謝った。
「ごめん、でもこうしてないとすぐ忘れそうで怖いんだ。明日みんなに置いてけぼりを食らうのは君だってごめんだろう」
「今は宿題をする時間なのよ。
そんなの自分の部屋でやりなさいよ。
それにナップ、そんな簡単な宿題にいつまで時間かけてるのよ」
「おいおい、俺はただ宿題をしているだけなのに、どうして怒られなくちゃいけない訳?」
ナップは怒りの矛先が自分に向いたことに意味が分からないっと不満そうに呟いた。
彼がしている宿題は魔法道具の授業のもので、自分が興味のある魔法道具を五つ書き出して提出するものだった。マレーシャの言うとおり、他の教科と比べると随分楽な方である。
「そのページをめくる音に気が散るの!!」
マレーシャの怒った声にとうとうレニアの集中力も分散されつつあった。
それはレセンも同じようで、二人して持っていた定規とコンパスをテーブルの上に置き、マレーシャとナップが小声で言い合いをしているのを傍観した。ただ一人、マルスだけは三科目の宿題を黙々と仕上げている。
「シュナベルもナップも、宿題にやる気がないなら、二人で作戦でも考えていたら?
あっ、でも、二人とも自分で宿題ができないからみんなとやりたいのよねぇ~」
マレーシャが更にナップを煽るように言うと、小声で言い返せるほどには自制していたナップの怒りが爆発した。
「だから、何だって言うんだよ!
それに、俺はちゃんと宿題をやっていたのに。そもそも、マレーシャだって作戦を考えようっていう意見に賛成してないだろ!
自分のことは棚に上げて、他人に八つ当たりするのが君の宿題だって言うのかよ!!」
ナップが急に大声を上げたので、食堂にいたほとんどの生徒がレニアたちの方を何事かっという目で振り向いた。
一気に注目が集まり、きまりが悪くなったレニアは未だ臆せず宿題に取り組み続けているマルスに助けを求めた。
「ねぇ、マルスから何か言ってくれない?
私たちじゃ、止められそうにないから」
声をかけられたらマルスは、二人の状況を見て困惑した表情を浮かべて言った。
「えーと、二人とも…。
何か分からないか問題があったのなら、
手伝おうか?」
あぁ、少なくとも彼に助けを求めたのは間違いだったらしい。
レニアとレセンは同時に溜め息をついた。
彼女たちの間に対抗試合の戦略が練りあがるのは、まだまだ先になりそうだ。
五月に入ってから最初の一週間ほどは、アリシア郡の一年生たちは対抗試合のために東奔西走している時間も多かったが、更に一週間も経つとそれも徐々に静まっていった。
みんな中間テストの勉強に時間を割くようになったのだ。
レニアたち六人も今は机と向き合っている時間が少し長くなった。
六人で大抵揃って、図書室で自習をするのが、ここ最近の放課後のパターンだ。
レニアは勉強に飽きれば飽きたで、図書室の本棚の間をさまよい、興味がある物語の本を取って読んだりしていた。
その日の放課後も苦手から大の苦手へと移り変わろうとしている魔術魔法陣学の勉強に行き詰まった彼女は、一人席を立ち、空想の世界へと足を踏み入れる。
勉強をしている五人を思うと、多少申し訳なさを感じてくるが、第一章からパラパラとページをめくる手は止められない。
想像の世界や絵空事は現実でないからこそ、魅力的なのだ。それ故に彼女を簡単には手放してくれない。レニアはこう見えても読書が好きな方だった。
彼女がとうとう本格的に本に没頭し始めたところで、現実に引き戻そうとするかのように不意に誰かから右肩を叩かれた。
振り向いてみると、そこにいたのは兄のクレンだった。彼は声を出さずに、レニアに片手だけ上げてみせた。今日はいつも一緒にいる親友のサムは隣にいない。レニアが小声で「久しぶり」と言うと、クレンも笑って答えた。
「久しぶり、レニア。今日は一人なのかい?」
「ううん、友達は向こうで勉強しているの」
「じゃあ、サボリかい?まだ一回目のテストも終わってないのに」
「さっきまでやってたわ。
兄さんだって一人じゃない」
「サムは今日補習だよ。食堂が開く時間までに帰ってこれるか、来れないかってところだね。ところで、もう学校には慣れた?」
「うん、大分ね。でも、慣れてきたと思ったら、もう中間試験。本当に息つく暇もない感じ」
「そうそう、一年生は毎年そんな感じだよ。
何か苦手教科でもあるのかい?」
「魔術魔法陣学かな。見ているだけで目が痛くなるわ。あと、カークライン先生の郡学と天文学もどことなく不安」
「カークライン先生の担当教科には気をつけた方がいいね。居眠りした回数と落とす点数が比例してるって思うべきだね、あれは」
クレンがそう言うので、レニアは顔をしかめた。
「そんな、対抗試合のこともあるのに…」
「レニアは対抗試合に出るんだね。
なら、役に立ちそうな資料があるよ」
クレンがレニアを連れて来てくれた本棚には「武術学校の沿革史」、「海浜の防波堤セイン・カルス」や「山岳の砦レイン・ベキン」、「三校武術学校対抗試合の歴史」などの背表紙を持つ本が並んでいた。
「わぁ、こんなところあったのね」
「対抗試合について調べ物をしたいのなら、ここを使えばいいと思うよ。
何も技術だけが対抗試合に役立つ訳じゃないからね。戦いを有利にするための条件の一つには、」
「「情報収集の為の情報活動」」
二人の声が同時に同じことを言った。
クレンは少し意表を突かれた顔をしたが、すぐに笑みをうかべる。
「何だ、ちゃんと勉強しているじゃないか」
「私は居眠りするほど、不真面目じゃないわ。兄さん」
レニアはまだみんなが勉強中なのに、そんなことを言ってしまった。
もちろん、彼女は授業で居眠りをするタイプではないが。
「じゃあ、そんな妹に一つ有益な情報を教えようじゃないか」
「何を教えてくれるの?」
「カークライン先生の授業で眠くならない、特別な方法」
「そんな方法あるの?」
もったいぶるクレンに対し、レニアは焦れったくなってくる。そんな手段があるなら早いとこ知って、睡魔との戦いからおさらばしてしまいたいからだ。クレンは口角を少し上げて答えた。
「後ろの席の子に、お尻を思いっきりつねってもらうんだよ」
レニアがクレンと久々の再開を果たした次の日の朝、驚いたことにアリシア郡の掲示板が元にもどっていた。
復活した掲示板には早くも生徒の群がりができ、レニアには掲示板がかつての栄光を取り戻したかのように思えた。
その群がりのできようから、掲示板がどんなに大切な情報網だったのかを実感させられたが、それにしては、いささか大げさな騒ぎだった。どことなく不穏な空気が流れている感じがする。
レニアはレセン、マレーシャと一緒に掲示板に吸い寄せられるようにしてその板を覗き込んだ。
たくさんの生徒に邪魔されながらも、レニアはしっかりとその内容を確認した。
停学処分
アリシオ郡 一年 シュナベル・トライアル
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