8 / 11
第八話 優斗、平社員になる⁉︎
しおりを挟む
翌日、俺は早速、細川グループの投資先のひとつ──理天りてん商事株式会社の新入社員採用面接会場にいた。
(ちなみにアーステック社は、俺の不在を見越して信頼する幹部の多賀谷に代理社長を任せています。
安心してください)
会場には面接を待つ若者が溢れていて、みんな緊張した面持ちだ。
振り返ると、自分が面接を受ける側になるのは初めてだということに気づいて、少しだけ胸がざわついた。
隣に座っていた同い年くらいの女性が、にこりと話しかけてきた。可愛らしい声だ。
「今、緊張してる?」
「うん」
「私もだよ。あなた、面接初めてでしょ?」
「そうだけど、どうしてわかったの?」
「私が初めて面接受けたときの顔してるから!笑
実は私、もう十社面接受けたんだけど、全部落ちちゃってて……」
「そうなんだ。今回は受かるといいね」
「ありがとう。あなたもね、がんばって!」(微笑み)
俺は彼女に笑い返した。
本当は名前を聞きたかったが、その前に僕の呼び出しの声が響いた。
「鈴木さん、どうぞ」
胸を軽く叩いて、面接室へ入る。
質問は思ったよりも具体的だったが、レナと鍛えた話術が自然に出て、特に困ることもなかった。
面接は無事に終わり、俺は慌ただしくベンツに飛び乗って本部へ向かった。
鈴木事務所に着くと、多賀谷と同じく信頼のできる幹部の大門が出迎えてくれた。
「お疲れ様です、社長。面接はどうでしたか?」
「難なく済ませた。ところで、僕が抱える会社(23個も!!)の売れ行きはどうだ?」
「売れ筋は好調です。現状はこんな感じです」(タブレットを見せてくれる)
「なるほど。レクサー社の田中社長にはこのまま事業を継続するよう伝えてくれ。
丸岡株式会社は少し不調だから、後で俺も事業に参加するよ」
「承知しました。平社員をしながら他社の経営にも関わるとは。
優斗様がここに来たときは、社会も何も知らない若者かと思っていましたが、まさかここまで成長するとは」
大門の言葉に、俺は少し照れくさく笑った。
「レナにしごかれただけだ。
これからは仇敵の細川の子会社で平社員の目線を持ちながら、細川グループの動向を探る。焦らず、確実にいく予定だ」
「会長(鈴木おじいさん)はお体、大丈夫でしょうか?」
「心配いらない。
会長は病院に通っているが、元気だ。
最近は無理をしすぎているから、俺に任せているってさ。」
「優斗様もお身体お気をつけくださいよ。鈴木財閥は世界でモナの通る組織で、会社は世界合わせて全50社、会長でも見れていない会社がたくさんあるのですから」
「へへ、まだ二十二だ。若いってことにしておいてくれよ。
それに、鈴木おじいちゃんの目に届かない場所で何が起こってるかわからないから、僕が視察しなきゃ。
でも今は細川を徹底的にやることに専念するよ。」
(鈴木財閥が所有している会社を視察する会に関しては、対細川家が完結した後に連載予定です。
お楽しみに!)
普段の鈴木財閥の事務所は、和やかだ。
だが、ここのところ、対細川家のために色々と忙しいから、
まあ鈴木財閥の権力を使えば、彼らの一派を一瞬で潰せる。
だが、それではダメだ。帝王学を習った以上、相手に権力を振りかざすのではなく、人を助けていくようなそんな人材に細川たちを教育しなきゃ!
だから細川グループを一旦破産させることに決めたんだ。
(もう復讐の気持ちがなくなっているくらい成長できたのも、鈴木おじいさんと仲間たちのおかげだな。
感謝しなきゃ!)
ということでまずは身分を隠し、理天商事の平社員として内部から動く──
(つづく)
(ちなみにアーステック社は、俺の不在を見越して信頼する幹部の多賀谷に代理社長を任せています。
安心してください)
会場には面接を待つ若者が溢れていて、みんな緊張した面持ちだ。
振り返ると、自分が面接を受ける側になるのは初めてだということに気づいて、少しだけ胸がざわついた。
隣に座っていた同い年くらいの女性が、にこりと話しかけてきた。可愛らしい声だ。
「今、緊張してる?」
「うん」
「私もだよ。あなた、面接初めてでしょ?」
「そうだけど、どうしてわかったの?」
「私が初めて面接受けたときの顔してるから!笑
実は私、もう十社面接受けたんだけど、全部落ちちゃってて……」
「そうなんだ。今回は受かるといいね」
「ありがとう。あなたもね、がんばって!」(微笑み)
俺は彼女に笑い返した。
本当は名前を聞きたかったが、その前に僕の呼び出しの声が響いた。
「鈴木さん、どうぞ」
胸を軽く叩いて、面接室へ入る。
質問は思ったよりも具体的だったが、レナと鍛えた話術が自然に出て、特に困ることもなかった。
面接は無事に終わり、俺は慌ただしくベンツに飛び乗って本部へ向かった。
鈴木事務所に着くと、多賀谷と同じく信頼のできる幹部の大門が出迎えてくれた。
「お疲れ様です、社長。面接はどうでしたか?」
「難なく済ませた。ところで、僕が抱える会社(23個も!!)の売れ行きはどうだ?」
「売れ筋は好調です。現状はこんな感じです」(タブレットを見せてくれる)
「なるほど。レクサー社の田中社長にはこのまま事業を継続するよう伝えてくれ。
丸岡株式会社は少し不調だから、後で俺も事業に参加するよ」
「承知しました。平社員をしながら他社の経営にも関わるとは。
優斗様がここに来たときは、社会も何も知らない若者かと思っていましたが、まさかここまで成長するとは」
大門の言葉に、俺は少し照れくさく笑った。
「レナにしごかれただけだ。
これからは仇敵の細川の子会社で平社員の目線を持ちながら、細川グループの動向を探る。焦らず、確実にいく予定だ」
「会長(鈴木おじいさん)はお体、大丈夫でしょうか?」
「心配いらない。
会長は病院に通っているが、元気だ。
最近は無理をしすぎているから、俺に任せているってさ。」
「優斗様もお身体お気をつけくださいよ。鈴木財閥は世界でモナの通る組織で、会社は世界合わせて全50社、会長でも見れていない会社がたくさんあるのですから」
「へへ、まだ二十二だ。若いってことにしておいてくれよ。
それに、鈴木おじいちゃんの目に届かない場所で何が起こってるかわからないから、僕が視察しなきゃ。
でも今は細川を徹底的にやることに専念するよ。」
(鈴木財閥が所有している会社を視察する会に関しては、対細川家が完結した後に連載予定です。
お楽しみに!)
普段の鈴木財閥の事務所は、和やかだ。
だが、ここのところ、対細川家のために色々と忙しいから、
まあ鈴木財閥の権力を使えば、彼らの一派を一瞬で潰せる。
だが、それではダメだ。帝王学を習った以上、相手に権力を振りかざすのではなく、人を助けていくようなそんな人材に細川たちを教育しなきゃ!
だから細川グループを一旦破産させることに決めたんだ。
(もう復讐の気持ちがなくなっているくらい成長できたのも、鈴木おじいさんと仲間たちのおかげだな。
感謝しなきゃ!)
ということでまずは身分を隠し、理天商事の平社員として内部から動く──
(つづく)
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる