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第5話 パーティー結成

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どこかの街の中心部にいる。
噴水は待ち合わせでよく使うおかげで私たちもそれほど目立っていない……はずだ

「え? 何で冒険者ギルドに行く訳? 魔物をサクッと倒して素材を手に入れればいいんでしょ?」

ユリアさんが何でそんな面倒な事をしないといけないの? と言う雰囲気を出して言う。

「魔物の素材を買ってくれるのは冒険者ギルドだし、ギルド会員じゃないと売る時に手数料が取られますよ? それに街に入る時の身分証明書にもなりますし」

「え? 私が最後に街に来たときはフリーパスだったのに……」

「何言ってるの? お前が強行突破しただけだろ?」

エルンストさんが衝撃的な事実を暴露をする。

「え? 私は爆発物を全身に巻き付けて突っ込んだだけじゃん? 通してくれたんだから。許可をくれたって事だよね?」

「その発想は気が触れてないとできない」

「凄い暴言じゃない、それ?」

「暴挙に出ているユリアに対する正当な評価だと思うのだが? まあ、そんな事よりも」

「私の評価についてだよね? そんな事よりって酷くない?」

「お前、自分の行動顧みてから言えよ。あと、話が進まないから黙れ。いまいち、分かってないんだが、ギルドの書類って何書かされるんだ?」

「私もやった事はないんですが、知人が言うには名前書けば大体大丈夫だって聞きました。あとは犯罪歴とパーティーメンバーの有無とか? まあ、冒険者は孤児も多いので犯罪歴については申し訳程度に聞くだけとか。実際の所を調べられないし証明もできませんからね」

「じゃあ、名前書いて、この3人でパーティーメンバーとして登録すれば良いな」

「はい」

「そう言えば、冒険者の武器って何だ?」

「主武装が魔術の場合は杖を使いますね。魔力切れの場合に備えて短剣や剣を持つ人もいます。大部分の冒険者の主武装は剣で、まれに盾も持ってる人もいますね。あと、サポートの場合は弓を装備している人が多いです」

「銃はいないのか?」

「いない訳じゃないんですけど、少数ですね。魔石がそれなりの値段するので、あまり使う人はいませんね。でも、魔力量に自信がある人とかは使っている人がいますね。弓と違って、簡単に扱えますから」

「なるほど。じゃあ、まずは武器屋で杖と剣を買わないとな」

「この3人でパーティー組むと遠距離重視の構成ですね」

「まあ、大丈夫だ。死んでも痛くもかゆくもないユリアがいるから、コイツを囮にすればだいじょうぶだろ」

「確かに」

「2人とも酷くない?」

冗談はさておき、ユリアさんが銃を乱射していた時にエルンストさんは結界で余裕に対処できていた。
あれだけの強度の結界を瞬時に出せるのだから、心配はないだろう。
その後、エルンストさんはそれなりの値段の剣と杖を買い、私たちは冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドでは体格のいい男や少年少女など、多種多様な人で賑わっていた。
私たちは冒険者ギルドに登録する人の列に並ぶ。
列と言っても、前に2人しかいないが。
数分待つと順番が巡って来た。

「お待たせいたしました。ギルドの会員登録でよろしいですか?」

「はい」

私は事前に記入した紙を3枚渡す。

「私と後ろの2人でパーティーを組む予定なんですけど、その手続きはここで良いですか?」

受付嬢は後ろに人がいない事を確認して、書類を受け取る。

「はい。まとめてお引き受けします。パーティー名はお決まりですか?」

「あ、エルンストさん、どうします?」

「ちょっと、テレーゼ? 聞く相手を間違ってるでしょ? ここはあだ名職人と呼ばれた、私に任せなさい。パーティー名は偉大なるユリアとその仲間たちでどう?」

私はユリアさんを無視して話を進める。。

「どうしますか、エルンストさん?」

「え? 無視?」

「俺も名前を決めるのは得意じゃないからな。何かないか?」

「ここはあだ名職人の私にお任せ。竜頭蛇尾でどう?」

「それ、はじめは勢いが良いのに終わりは振るわない事を意味する四字熟語だよね? 意味を調べてから発言しようね」

エルンストさんが鼻で笑って言った。

「でも、竜とか蛇とかカッコ良くない?」

「意味調べてから言おうね」

「私を馬鹿にしてるの?」

「逆に何故、馬鹿にされていないと思ったのか不思議なのだが? と言うか、お前が喋ると話がズレるから黙ってろ。次、喋ったら頭に埋め込んだ爆薬を起爆するから」

「え?」

ユリアさんはブレスレット型の魔術触媒を付けて、解析術式で自分の脳を調べ始めた。
魔術触媒は魔術を使う時でも不自然に思われないための偽装だろう。
触媒なしで魔術を使うと一発で魔術師だとバレるから。

「もう、面倒だから戦場の乞食で」

「え? それ、大丈夫ですか?」

私はエルンストさんに聞く。

「あいつの二つ名だからいいだろ」

「……じゃあ、そう書きますね」

私はパーティー名を書き受付嬢に渡す。

「はい。承りました」

私たちはそのまま近郊の森へと向かった。
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