魔剣少女と契約した低血圧系魔術師、実は  の生まれ変わりでした?魔導学園で学生と講師を両立しながら何とか生きていこうと思います。

精神感応4

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第五章「千子山縣と言う男」

第109話 食堂での待ち時間

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 陰陽寮の食堂は想像していたよりもずっと明るく、洒落た雰囲気だった。さながら休日に若い女性が集まるカフェだ。

 メニューも和食から洋食。中華、甘味となんでもござれだ。

 双魔と鏡華、ティルフィングの三人は窓際の四人席を陣取っていた。

 席は、双魔の隣にティルフィング、向かいに鏡華だ。

 「中々、終わらへんみたいやね…………」

 鏡華が持っていた湯吞茶碗をテーブルに置いて窓の外を見る。

 光が入りやすいように大きく作られた窓の外の町並みは茜色に染まり、流れる雲は緋色に染まっている。紅と金の糸で織りなしたように輝く太陽も、もう少し経てば沈み切り、京には再び夜が訪れるだろう。

 双魔も料理の受け渡し窓口の上に掛けてある時計を見た。陰陽寮に到着してから二時間、食堂に来てからは一時間と言ったところだ。

 少し前までは夜に働く陰陽寮の職員や陰陽師たちが食事に来ていて賑わっていたが、今は双魔たちと数人がぽつぽつと食事をしているだけで閑散としている。

 厨房からは暇を持て余した従業員のおばさま方の話し声がこちらにまで聞こえてくる。

 「まあ、布陣は変えずに人員の入れ替えだけみたいだからな…………もう少ししたら呼びに来るはずだ」
 「そ、ほんなら、も少し待とか」
 「ん」

 双魔と鏡華は、全く同じタイミングで湯吞茶碗を手に取って、口をつけた。

 「ふう…………」
 「はあ…………」

 お茶を飲み込んだ後の吐息も完全に揃う。

 「それにしても…………ティルフィングはんはよぉ食べるねぇ…………」
 「む?…………むぐむぐ…………ごくん!キョーカ、何か用か?」

 ティルフィングは夢中になって食べていたあんみつから顔を上げて鏡華の方を向いた。

 鏡華がそういうのも当たり前で、ティルフィングの横には幾つものお椀やどんぶりが積み上げられている。

 「ほぉら、黒蜜がついとるよ?」
 「ん……んん…………うむ、かたじけない!」

 着物の袖を汚さないように押さえながら手を伸ばした鏡華がウェットティッシュでティルフィングの口元を拭ってやる。

 「はい、綺麗になった」

 鏡華が手にしたウェットティッシュは黒蜜ベッタリとついて褐色に染まっていた。

 ティルフィングはガラスの椀に残ったあんみつを再び食べはじめる。

 「ティルフィングはん、毎日こないに食べるん?」
 「まあ、普段もそこそこは…………食べるのが好きみたいだから好きなようにさせてる」
 「ふーん」

 鏡華はテーブルに片肘をついて頬に手を当てながらティルフィングに優しいまなざしを送る。

 「…………」

 何となく、双魔は鏡華に見とれてしまう。あまり見たことのない仕草をしているからだろうか。窓から差し込む愁いを感じさせる斜陽に照らされた幼馴染はとても美しい。

 「ふむ…………婿殿も…………主に…………それなりに…………気が……あるようで…………安心した」
 「っ!?」

 ガタガタッ!!

 突然、声を掛けられたせいで双魔は椅子に座ったまま後ずさりをしてしまった。

 「おや…………驚かせて…………しまった…………か」
 「あら、玻璃。何、おかしなこと言うてるの?」

 振り返ると双魔の斜め後ろにいつの間に現れたのか浄玻璃鏡が立っていた。

 遺物の中には姿を現したり、消したりするものもいると聞くが、それにしても浄玻璃鏡は神出鬼没の度が過ぎる。

 「双魔もそないに驚くことあらへんのに…………」
 「ん…………そうだな」
 「次は…………もう少し…………分かりやすく…………姿を……現すと…………しよう…………それよりも……だ……準備が……出来た……ようだ」

 浄玻璃鏡はそう言って食堂の入り口の方に目を遣った。


 すると、丁度、檀が入ってくるところだった。

 「お待たせしてしまって申し訳ありません!人員の選定が終わりましたのでこちらにお願いします!」
 「ん、了解した」

 双魔はティルフィングがあんみつを食べ終わっているのを確認すると立ち上がる。鏡華とティルフィングもそれに続く。

 テーブルの上に置かれた大量の食器は「急ぎなら任せなさい」と言ってくれた気さくなおばさま方に頼んでしまったのだ少し申し訳なかったが、檀を先頭に双魔たちは足早に食堂を後にした。
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