131 / 268
第三部『傀儡姫の危機一髪』プロローグ
第130話 予想外のライバル? 騒動の予感
しおりを挟む
冬期休暇が終わってから二回目の週末、日曜日の昼過ぎ。ブリタニア王立魔導学園のから少し離れた古風な赤レンガ造りのアパートの前に一人の少女が立っていた。
紫黒色の髪を白のシュシュでサイドテールに纏めている少し背の高い少女だ。
アイボリーのセーターに白黒のチェック柄のプリーツスカート。スラリと長い脚を覆った黒の厚手のストッキングと小さなリボンの付いたグレーのショートブーツが寒さから少女の足を守っている。
セーターの上にはベージュのノーカラーコートを羽織り、首には深緑のマフラー、肩には白のポシェットを掛け、手には少し大きめのバスケットを持っている。
「…………」
少女は整った顔に緊張した表情を浮かべて、目の前の建物の玄関の扉を見つめている。
そして、意を決したのか、意思の強さを感じさせる濃紺の瞳が輝きを帯びた。
扉に近づき、ベルを鳴らす。
「はいはーい!」
扉の奥から女性の声と共にパタパタとこちらに近づいてくる足音が聞こえて来る。
やがて、扉の鍵が解かれ、ガチャリと音を立てて扉が開く。
「あらぁ!話には聞いてたけど、えらい美人さんやねぇ!」
「…………え?」
来客をを出迎えたのはイサベル=イブン=ガビロールが出会ったことのない、和服を纏った品のよさそうな美少女だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
暦が一巡りし、新年となってから一週間と少し経った頃、ロンドンの駅に聖フランス王国の王都、花の都、パリからの直行列車が到着した。
やがて、列車が完全に停止し、乗降口の扉が開くと多くの人々が降りてくる。
家族連れの観光客やかっちりとした服装のビジネス客が続々と降車し、人が少なくなった頃、一人の若い男がプラットフォームに降り立った。
スラリとした長身にグレーのダブルスーツを纏い、その上にベージュのロングコートを着込んでいる。
少し面長だが整った顔には銀縁眼鏡を掛けている。輝く金髪を七三分けにしているが癖っ毛なのか所々でくるくると渦巻いている髪が妙な愛嬌を醸し出している。
右手には古めかしく、幾つもの鍵で厳重にロックされた革製のトランクを持ち、左手には豪奢な金細工が施されたステッキを持っている。
見目麗しい男が視線をぐるりと巡らすと少し離れたところで男を見ていた女たちが黄色い悲鳴を上げた。
「…………」
目が合った女たちに向けて男が微笑みかけると更なる歓声が上がる。
男はそのことで自分の美しさを再自覚した。親から与えられた、ただそこにいるだけで女たちにもてはやされる素晴らしい肉体と顔への絶対的な自信が漲ってくる。
男はゆっくりと改札口の方に足を進めだした。
そして、口元に見る者が見れば一瞬で見抜けるような軽薄な笑みを浮かべ呟いた。
「フフフ……待っていろよ、僕のイサベル…………君とエヴァの心臓は僕のものだ」
そのまま、金髪の男は駅構内の雑踏に消えていった。
紫黒色の髪を白のシュシュでサイドテールに纏めている少し背の高い少女だ。
アイボリーのセーターに白黒のチェック柄のプリーツスカート。スラリと長い脚を覆った黒の厚手のストッキングと小さなリボンの付いたグレーのショートブーツが寒さから少女の足を守っている。
セーターの上にはベージュのノーカラーコートを羽織り、首には深緑のマフラー、肩には白のポシェットを掛け、手には少し大きめのバスケットを持っている。
「…………」
少女は整った顔に緊張した表情を浮かべて、目の前の建物の玄関の扉を見つめている。
そして、意を決したのか、意思の強さを感じさせる濃紺の瞳が輝きを帯びた。
扉に近づき、ベルを鳴らす。
「はいはーい!」
扉の奥から女性の声と共にパタパタとこちらに近づいてくる足音が聞こえて来る。
やがて、扉の鍵が解かれ、ガチャリと音を立てて扉が開く。
「あらぁ!話には聞いてたけど、えらい美人さんやねぇ!」
「…………え?」
来客をを出迎えたのはイサベル=イブン=ガビロールが出会ったことのない、和服を纏った品のよさそうな美少女だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
暦が一巡りし、新年となってから一週間と少し経った頃、ロンドンの駅に聖フランス王国の王都、花の都、パリからの直行列車が到着した。
やがて、列車が完全に停止し、乗降口の扉が開くと多くの人々が降りてくる。
家族連れの観光客やかっちりとした服装のビジネス客が続々と降車し、人が少なくなった頃、一人の若い男がプラットフォームに降り立った。
スラリとした長身にグレーのダブルスーツを纏い、その上にベージュのロングコートを着込んでいる。
少し面長だが整った顔には銀縁眼鏡を掛けている。輝く金髪を七三分けにしているが癖っ毛なのか所々でくるくると渦巻いている髪が妙な愛嬌を醸し出している。
右手には古めかしく、幾つもの鍵で厳重にロックされた革製のトランクを持ち、左手には豪奢な金細工が施されたステッキを持っている。
見目麗しい男が視線をぐるりと巡らすと少し離れたところで男を見ていた女たちが黄色い悲鳴を上げた。
「…………」
目が合った女たちに向けて男が微笑みかけると更なる歓声が上がる。
男はそのことで自分の美しさを再自覚した。親から与えられた、ただそこにいるだけで女たちにもてはやされる素晴らしい肉体と顔への絶対的な自信が漲ってくる。
男はゆっくりと改札口の方に足を進めだした。
そして、口元に見る者が見れば一瞬で見抜けるような軽薄な笑みを浮かべ呟いた。
「フフフ……待っていろよ、僕のイサベル…………君とエヴァの心臓は僕のものだ」
そのまま、金髪の男は駅構内の雑踏に消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
霊力ゼロの陰陽師見習い
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる