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第三章「いざ、愛しき人の家へ」
第163話 傀儡姫の告白!?
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「おかえりなさいませ、リビングでガビロール様がお待ちですよ」
ちびちびとコーヒーを飲みながらアパートに帰ると左文が外に出て待っていた。その表情はなぜか楽しそうだ。
「…………ん」
双魔の嫌な予感はさらに加速した。ミルクも砂糖も入れていないコーヒーの苦さがこれから起こる何かを予感させたようにも思えた。が、帰ってきてしまったものは仕方がない。
待たせても悪いので手も洗わずにリビングに直行する。
「…………」
リビングに入ると鏡華は何処に行ったのか姿はなく、イサベルが一人でソファーに座っていた。
左文とティルフィングもリビングには入ってこない。
「…………」
何か思惑を感じて仕方がないが、双魔は取り敢えずイサベルの向かいに腰掛けた。
その直後だった。
「そ、双魔くん!」
「な、なんだ?」
イサベルが真剣な面持ちで双魔の名を呼んだ。驚いた双魔は思わず背筋がしゃんと伸び、イサベルと向き合った。
双魔の目に映るイサベルの顔は薄く紅潮し、真っ直ぐな眼差しは双魔を刺し貫くようだった。
(…………な、なんだ?)
誰がどう見ても告白直前のワンカットなのだが、生憎双魔は恋愛文学はあまり嗜まない。テレビで放映している恋愛ドラマも鏡華と左文が観ているのは知っていても特に興味はなかった。
イサベルの変わり様に覇気はなくとも大概のことは冷静に受け止める双魔も今は珍しくただただ動揺するばかりだ。
それを知ってか知らずか、イサベルは双魔の心の懐へと一気に踏み込んだ。
「わ、私の!こ、恋人になって欲しいんです!」
「……………………は?」
「私とお付き合いしてください!わ、私のことはき、嫌いですか?」
「い、いや、ちょっと待て」
双魔は動揺しながらも頭の大部分にまだ残っている理性を総動員させた。
イサベルの様子とこの状況は明らかにおかしい。鏡華たちが出払っているのも気になる。まずは話をしっかりと聞くことがこの場においては肝要だ。
「待ちません!シーか、イエスか、はいで答えてください!双魔君は理由を知りたいんでしょう?私、首を縦に振ってもらうまで説明はしませんし、ここから動きません!」
「…………えぇ……」
イサベルは顔を真っ赤にしてしたまままくしたてる。ちなみに「シー」とはイスパニア語の「はい」にあたり、スペルは”Si”と綴る。
先ほど、いや、普段の凛とした雰囲気を身に纏い、真面目な性格は何処へやら、すっかり子供っぽくなり自分の主張を押し通そうとするイサベルに、双魔は困惑し、普段出さないようなか細い声が出てしまう。
「……少し落ち着け……そもそも、まあ、理由はともかくだ、恋人になってくれと言われても……その、俺には鏡華がいるわけだし……」
「鏡華さんには許可をもらいました!双魔君が他所に幾ら女の人を作ろうとも自分の所に戻って来てくれればそれでいいそうです!ですから、私のことを双魔君の恋人にしてください!お願いします!」
「…………えぇ……」
イサベルの発言でさらに状況がややこしくなった気がするが、双魔の脳裏には悪戯っぽく笑う鏡華の顔が思い浮かんだ。
何となく、この状況に持ってきたのは鏡華のような気もしてきた。
真剣に双魔の顔を見つめるイサベル。最早、観念するほかない雰囲気だ。
(…………まあ、話が進まないなら一旦受け入れるしかないのか?……でも……ガビロールに悪いしな…………確実に何か事情がありそうだし…………)
このままでは本当に話が前に進みそうにない。それに、イサベルの本意は読み取れないが何か事情があるのは明らかだ。元々の相談事の内容がここに繋がっているなら、双魔はそれを聞いてやらなければならない。
双魔としては難しい決断を強いられている訳だが、性分的にイサベルを無下にはできない双魔であった。
それに双魔も年頃の健全な少年だ。「何か事情があるに違いない」と思いつつも。途轍もない美少女、それも数年来の知った仲であるイサベルに愛を告げられれば、悪い気はしない上に、急激に異性として意識してしまうのも何らおかしなことではなかった。
「……………………………………………………分かった……その、なんだ……よろしく頼む」
「っ!?本当ですか!?」
長い沈黙の後、双魔は拭いきれない照れくささを誤魔化そうと素っ気なく首を縦に振った。
そんな双魔を見てイサベルは紫紺の瞳を喜びに輝かせた。
「ん……まあ、二言はない。ガビロールと付き合うよ」
「っーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
双魔の答えを聞いたイサベルの表情が一気に明るくなり、ゆるゆると緩んだ。かと思うと両手を頬に当てて俯いてしまった。
「そ、その、その……ほ、本当にいいんですか?」
イサベルが上目遣いに再び双魔を見つめてくる。双魔の語彙では表しきれなかったが、非常に可憐で儚げな、乙女そのものであった。
「っ!?…………ん……」
ぎこちなく頷く双魔をみてイサベルは両手を頬に当てたまま嬉しそうに身体を左右に揺らしている。
その様子を見た双魔は思わず、胸が高鳴り、顔が熱くなる。今まで見たことのないイサベルの様子に、不覚にも双魔はときめきを感じていた。少し前に耳に挟んだ”ギャップ萌え”というものであろうか。
話を聞くために一旦、告白を受け入れただけのはずで、イサベルに異性としての好意を抱かれているはずもないと思っているのだが、勘違いしそうになってしまう。
尚、一応指摘しておくと双魔の思う”勘違い”は全くもって勘違いではないのだが。
普段、色恋にほとんど興味を持たない人間は突如崖から突き落とされ時のように為す術を持たない。
こうして、突然の告白をきっかけにイサベルは無上の喜びを感じつつ、双魔は多少の混乱したまま、晴れて二人は交際することとなった?のだった。
ちびちびとコーヒーを飲みながらアパートに帰ると左文が外に出て待っていた。その表情はなぜか楽しそうだ。
「…………ん」
双魔の嫌な予感はさらに加速した。ミルクも砂糖も入れていないコーヒーの苦さがこれから起こる何かを予感させたようにも思えた。が、帰ってきてしまったものは仕方がない。
待たせても悪いので手も洗わずにリビングに直行する。
「…………」
リビングに入ると鏡華は何処に行ったのか姿はなく、イサベルが一人でソファーに座っていた。
左文とティルフィングもリビングには入ってこない。
「…………」
何か思惑を感じて仕方がないが、双魔は取り敢えずイサベルの向かいに腰掛けた。
その直後だった。
「そ、双魔くん!」
「な、なんだ?」
イサベルが真剣な面持ちで双魔の名を呼んだ。驚いた双魔は思わず背筋がしゃんと伸び、イサベルと向き合った。
双魔の目に映るイサベルの顔は薄く紅潮し、真っ直ぐな眼差しは双魔を刺し貫くようだった。
(…………な、なんだ?)
誰がどう見ても告白直前のワンカットなのだが、生憎双魔は恋愛文学はあまり嗜まない。テレビで放映している恋愛ドラマも鏡華と左文が観ているのは知っていても特に興味はなかった。
イサベルの変わり様に覇気はなくとも大概のことは冷静に受け止める双魔も今は珍しくただただ動揺するばかりだ。
それを知ってか知らずか、イサベルは双魔の心の懐へと一気に踏み込んだ。
「わ、私の!こ、恋人になって欲しいんです!」
「……………………は?」
「私とお付き合いしてください!わ、私のことはき、嫌いですか?」
「い、いや、ちょっと待て」
双魔は動揺しながらも頭の大部分にまだ残っている理性を総動員させた。
イサベルの様子とこの状況は明らかにおかしい。鏡華たちが出払っているのも気になる。まずは話をしっかりと聞くことがこの場においては肝要だ。
「待ちません!シーか、イエスか、はいで答えてください!双魔君は理由を知りたいんでしょう?私、首を縦に振ってもらうまで説明はしませんし、ここから動きません!」
「…………えぇ……」
イサベルは顔を真っ赤にしてしたまままくしたてる。ちなみに「シー」とはイスパニア語の「はい」にあたり、スペルは”Si”と綴る。
先ほど、いや、普段の凛とした雰囲気を身に纏い、真面目な性格は何処へやら、すっかり子供っぽくなり自分の主張を押し通そうとするイサベルに、双魔は困惑し、普段出さないようなか細い声が出てしまう。
「……少し落ち着け……そもそも、まあ、理由はともかくだ、恋人になってくれと言われても……その、俺には鏡華がいるわけだし……」
「鏡華さんには許可をもらいました!双魔君が他所に幾ら女の人を作ろうとも自分の所に戻って来てくれればそれでいいそうです!ですから、私のことを双魔君の恋人にしてください!お願いします!」
「…………えぇ……」
イサベルの発言でさらに状況がややこしくなった気がするが、双魔の脳裏には悪戯っぽく笑う鏡華の顔が思い浮かんだ。
何となく、この状況に持ってきたのは鏡華のような気もしてきた。
真剣に双魔の顔を見つめるイサベル。最早、観念するほかない雰囲気だ。
(…………まあ、話が進まないなら一旦受け入れるしかないのか?……でも……ガビロールに悪いしな…………確実に何か事情がありそうだし…………)
このままでは本当に話が前に進みそうにない。それに、イサベルの本意は読み取れないが何か事情があるのは明らかだ。元々の相談事の内容がここに繋がっているなら、双魔はそれを聞いてやらなければならない。
双魔としては難しい決断を強いられている訳だが、性分的にイサベルを無下にはできない双魔であった。
それに双魔も年頃の健全な少年だ。「何か事情があるに違いない」と思いつつも。途轍もない美少女、それも数年来の知った仲であるイサベルに愛を告げられれば、悪い気はしない上に、急激に異性として意識してしまうのも何らおかしなことではなかった。
「……………………………………………………分かった……その、なんだ……よろしく頼む」
「っ!?本当ですか!?」
長い沈黙の後、双魔は拭いきれない照れくささを誤魔化そうと素っ気なく首を縦に振った。
そんな双魔を見てイサベルは紫紺の瞳を喜びに輝かせた。
「ん……まあ、二言はない。ガビロールと付き合うよ」
「っーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
双魔の答えを聞いたイサベルの表情が一気に明るくなり、ゆるゆると緩んだ。かと思うと両手を頬に当てて俯いてしまった。
「そ、その、その……ほ、本当にいいんですか?」
イサベルが上目遣いに再び双魔を見つめてくる。双魔の語彙では表しきれなかったが、非常に可憐で儚げな、乙女そのものであった。
「っ!?…………ん……」
ぎこちなく頷く双魔をみてイサベルは両手を頬に当てたまま嬉しそうに身体を左右に揺らしている。
その様子を見た双魔は思わず、胸が高鳴り、顔が熱くなる。今まで見たことのないイサベルの様子に、不覚にも双魔はときめきを感じていた。少し前に耳に挟んだ”ギャップ萌え”というものであろうか。
話を聞くために一旦、告白を受け入れただけのはずで、イサベルに異性としての好意を抱かれているはずもないと思っているのだが、勘違いしそうになってしまう。
尚、一応指摘しておくと双魔の思う”勘違い”は全くもって勘違いではないのだが。
普段、色恋にほとんど興味を持たない人間は突如崖から突き落とされ時のように為す術を持たない。
こうして、突然の告白をきっかけにイサベルは無上の喜びを感じつつ、双魔は多少の混乱したまま、晴れて二人は交際することとなった?のだった。
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