魔剣少女と契約した低血圧系魔術師、実は  の生まれ変わりでした?魔導学園で学生と講師を両立しながら何とか生きていこうと思います。

精神感応4

文字の大きさ
166 / 268
第三章「いざ、愛しき人の家へ」

第165話 恋人(仮)なんですから……

しおりを挟む
 アパートを出た二人は着かず離れず距離で横に並んで歩いていた。

 「…………」
 「…………」

 まだそれほど歩いたわけではないが互いに沈黙してしまう。

 (……ガビロールの寮までそんなに距離もないし、少し話しとかなきゃな)
 (な、何か話した方が良いわよね…………でも、何を……あ、そうだわ!す、少し恥ずかしいけど…………うん!)
 「なあ……」「あの……」

 二人とも話しかけるタイミングを窺っていたのだろう、互いに話しかけようと出した声が見事に重なった。

 「…………」
 「…………そ、双魔君から先にどうぞ…………」
 「ん……そうか、じゃあ……その、なんだ?今日は突然告白されたのかと思って驚いた…………初めから恋人の振りをして欲しいって言ってくれればよかったんだが…………」
 「そ、それは……その、勢いでああ言ってしまって……驚かせてしまってすいません」
 横で申し訳なさそうに縮こまって歩くイサベルがおかしくて、自然と双魔は笑顔になった。
 「ハハハ……まあ、いい……そこそこ長い付き合いなのに、今日のガビロールは新鮮だった」
 「新鮮……ですか?」
 「ん、いつもはしっかり者で少し硬い感じだからな……なんというか……今日は女の子って感じです可愛かったんじゃないか?」
 「かっ!?可愛い!?そ、そうですか……そ、その、ありがとうございます……」

 もう暗くなってしまったのでイサベルの表情は双魔からよく見えないが言葉が尻すぼみになっているので照れているのだろうか。その様に双魔の心はフワフワと落ち着かなくなってしまう。

 「それで?ガビロールは何だ?言いたいことがあるなら聞くぞ?」
 浮つきを振り払おうとすぐにイサベルに話を振る。
 「わ、私ですか?わ、私は……話と言うかですね…………追加でお願いがあるというか…………」
 「ん?なんだ?この際だから俺にできることなら何でもするぞ?」
 「な、なんでも!?ほ、本当ですか?」
 「ん、任せろ」
 「そ、それじゃあ…………その、ですね……わ、私たちは振りとはいえ恋人になったわけじゃないですか」
 「……ん……そう、だな」

 イサベルは双魔と視線を合わせずに俯いて、手袋に包まれた手でトレードマークのサイドテールの毛先を撫でている。

 「で、ですから…………その、な、名前で呼んで欲しいんですけど…………」
 「名前でって……イサベルって呼べばいいのか?」

 双魔に確認されたイサベルはコクリと一度だけ頷いた。そう言えばいつの間にかイサベルも

 ”伏見君”ではなく”双魔君”と呼び方を変えていた。

 (…………まあ、そんなもんか)

 特に考える必要もないほど妥当性はあるし、本人がそうして欲しいと言っているのだから希望に沿えばいい。

 「ん、じゃあ、イサベル」
 「は、はい!な、何ですか?」

 イサベルはびくりと身体を震わせると顔を上げて双魔の顔を見た。街灯の明かりに照らされたその顔はやはり、紅潮していたが、穏やかで嬉しそうに笑っていた。

 「まあ、不束者だけど…………よろしく頼む」
 「こ、こちらこそ!よろしくお願いします!」
 「それと、だ。俺からも一つ提案がある」
 「な、何ですか?」
 「まあ、仮にも恋人同士なら、それやめてみた方が良いんじゃないか?」
 「……それ?何のことです?」
 「敬語だ、敬語。別に俺は構わないけど、親密さを見せるのに支障があるんじゃないか?」
 「た、確かにそうですね……」
 「と、いう訳でどうにかしよう」
 「わ、分かりまし……じゃなくて、分かった」
 「ん、その調子だ」
 「え、ええ……来週までにどうにかするわ、が、頑張る」
 「……また、新鮮だなイサベル」
 「も、もう!からかわないでください!」
 「ほら、戻ってるぞ?」
 「あ……も、もう!からかわないでください!」

 双魔が敬語に戻っているのをニヤニヤしながら指摘するとイサベルはそっぽを向いてしまう。

 「悪かった……そう怒るな……」
 
 双魔も照れているのを隠すために少し意地の悪い言い方になってしまった自覚があるのですぐに謝る。

 「…………仕方ないです、じゃなくて!仕方ないわね……許してあげる」
 「「…………」」

 それから、二人はお互い笑顔を浮かべて残りの道を歩いた。人の行き交う週末の夜の並木道、街灯が地面に映し出す影は自然と寄り添っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

霊力ゼロの陰陽師見習い

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...