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第三章「たくさん食べる女の子は嫌い?」
第241話 ディナーのお誘い
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「……………………」
余りに衝撃的なものを目撃してしまった双魔は閉じた扉に背を向け、両眼を閉じると左のこめかみを普段より強めにグリグリと親指で刺激していた。
しかし、目を瞑ると瞼の裏には先ほど見たロザリンの一糸纏わぬ芸術品のような肢体が浮かび上がってきてしまう。
美しさと強さと、そして今双魔を悩ませているエロスを兼ね備えた美体が焼きついてしまったかのようにはっきりと映っている。
「…………ダメだこりゃ………………」
煩悩を振り払えない己の不甲斐なさにその場でしゃがみ込むと双魔は両の手で黒と銀の入り混じった頭を掻きむしる。
「おーい、どうしたのー?」
部屋の中からはロザリンが吞気な声でこちらに呼び掛けてくるのが聞こえる。
「ヒッヒッヒ!初心だな!双魔!」
ゲイボルグは恐らくロザリンが裸であることを知っていたのだろう。明らかに双魔の反応を楽しんでいた。
「……………………」
言いたいことは色々とあるがやはりロザリンの裸体を見た衝撃が抜けきらず双魔は何も言えない。
「おーい……お腹でも痛いのかな?」
一方、ロザリンはベッドの上に両膝を曲げてペタンと座り込んで不思議そうに頭を左右に振っている。
「いや、面白れぇもん見せてもらったぜ!ヒッヒッヒ!」
「?何が面白いの?」
「こっちの話だ。取り敢えずいつも通り飯食いに行くだろ?着替えちまいな」
「あ、そっか。うん、分かった…………あの子はいいの?」
ロザリンが扉の向こうにいるであろう双魔を指差した。
「ああ、大丈夫だ。アイツにもまだ何も話してないからな。待ってるはずだ」
「………………私も何も聞いてないよ?」
「ああ、飯食いながら話すから安心しろ」
「じゃあ、今日はあの子も一緒?」
「…………嫌か?」
ロザリンが双魔に拒否反応が出ると都合が悪いのか寝そべっていたゲイボルグは身体を起してロザリンの顔を見た。
「ううん……いい感じ、だと思う……よ?」
「そうか、そいつは良かった!じゃ、あんまり待たせたら悪いからな、さっさと着替えちまいな」
「うん。おーい、着替えるからもう少し待ってねー」
しばらくゲイボルグと話していたと思われるロザリンの吞気な声が頭を掻きむしるのをやめて再びこめかみを刺激していた双魔の耳に届いた。
「……はあ…………」
双魔は返事を返すと立ち上がった。そして、ぼさぼさ度に磨きが掛かった髪や少し埃の付いたローブを綺麗にする。一応、ロザリンは双魔から見て目上だ。失礼があっても良くないだろう。
そうしてさらに十分ほど経っただろうか。ドアが静かに開き、中からひょっこりとロザリンとゲイボルグが顔を出した。
「お待たせ」
「…………服は着ていますか?」
双魔はロザリンから顔を背けたままそんなことを聞いた。
「うん、ばっちり」
「……そうですか」
ロザリンの言葉を信じて首を動かすと目に映った彼女は確かに遺物科の白い制服をきっちりと着こなしていた。
スレンダーながら起伏がはっきりとした女性らしい身体つきに長く伸び、さらさらと揺れる若草の髪が白の制服に非常に映える。
こんなに遺物科の制服が似合う人もそういないだろう。双魔は思わず目を奪われてしまった。
そして、何故か、否、やはりというべきだろうか。開いているのは右の目だけで左の瞼は閉じ切っていた。
(……………………この眼は…………)
ぐー……………
「……ん?」
双魔の興味がロザリンの左の眼に向きかけた時だった。どこからともなく聞き覚えのある音が鳴り双魔を現実に引き戻した。見るとロザリンはお腹を手で摩っている。
「うん、お腹減った。君も一緒にご飯食べるんでしょ?」
「は?」
ゲイボルグに目を遣ると「細かいことは気にするな」と言いたげな視線を送ってくる。
「いつもは食堂で食べてるんだけどな。双魔、どっかいい店知らないか?」
どうやら食事をすることは確定のようだ。
「…………」
ロザリンにも開いた右の目で見つめられて空腹であることをアピールされている。
「……………………わかりました」
相変わらずこの状況を作ったゲイボルグからの説明はないが、流石に食事の時にしてくれるだろう。そう期待して双魔はロザリンを伴って思い当たった店。いつもの店へと足を向けるのだった。
余りに衝撃的なものを目撃してしまった双魔は閉じた扉に背を向け、両眼を閉じると左のこめかみを普段より強めにグリグリと親指で刺激していた。
しかし、目を瞑ると瞼の裏には先ほど見たロザリンの一糸纏わぬ芸術品のような肢体が浮かび上がってきてしまう。
美しさと強さと、そして今双魔を悩ませているエロスを兼ね備えた美体が焼きついてしまったかのようにはっきりと映っている。
「…………ダメだこりゃ………………」
煩悩を振り払えない己の不甲斐なさにその場でしゃがみ込むと双魔は両の手で黒と銀の入り混じった頭を掻きむしる。
「おーい、どうしたのー?」
部屋の中からはロザリンが吞気な声でこちらに呼び掛けてくるのが聞こえる。
「ヒッヒッヒ!初心だな!双魔!」
ゲイボルグは恐らくロザリンが裸であることを知っていたのだろう。明らかに双魔の反応を楽しんでいた。
「……………………」
言いたいことは色々とあるがやはりロザリンの裸体を見た衝撃が抜けきらず双魔は何も言えない。
「おーい……お腹でも痛いのかな?」
一方、ロザリンはベッドの上に両膝を曲げてペタンと座り込んで不思議そうに頭を左右に振っている。
「いや、面白れぇもん見せてもらったぜ!ヒッヒッヒ!」
「?何が面白いの?」
「こっちの話だ。取り敢えずいつも通り飯食いに行くだろ?着替えちまいな」
「あ、そっか。うん、分かった…………あの子はいいの?」
ロザリンが扉の向こうにいるであろう双魔を指差した。
「ああ、大丈夫だ。アイツにもまだ何も話してないからな。待ってるはずだ」
「………………私も何も聞いてないよ?」
「ああ、飯食いながら話すから安心しろ」
「じゃあ、今日はあの子も一緒?」
「…………嫌か?」
ロザリンが双魔に拒否反応が出ると都合が悪いのか寝そべっていたゲイボルグは身体を起してロザリンの顔を見た。
「ううん……いい感じ、だと思う……よ?」
「そうか、そいつは良かった!じゃ、あんまり待たせたら悪いからな、さっさと着替えちまいな」
「うん。おーい、着替えるからもう少し待ってねー」
しばらくゲイボルグと話していたと思われるロザリンの吞気な声が頭を掻きむしるのをやめて再びこめかみを刺激していた双魔の耳に届いた。
「……はあ…………」
双魔は返事を返すと立ち上がった。そして、ぼさぼさ度に磨きが掛かった髪や少し埃の付いたローブを綺麗にする。一応、ロザリンは双魔から見て目上だ。失礼があっても良くないだろう。
そうしてさらに十分ほど経っただろうか。ドアが静かに開き、中からひょっこりとロザリンとゲイボルグが顔を出した。
「お待たせ」
「…………服は着ていますか?」
双魔はロザリンから顔を背けたままそんなことを聞いた。
「うん、ばっちり」
「……そうですか」
ロザリンの言葉を信じて首を動かすと目に映った彼女は確かに遺物科の白い制服をきっちりと着こなしていた。
スレンダーながら起伏がはっきりとした女性らしい身体つきに長く伸び、さらさらと揺れる若草の髪が白の制服に非常に映える。
こんなに遺物科の制服が似合う人もそういないだろう。双魔は思わず目を奪われてしまった。
そして、何故か、否、やはりというべきだろうか。開いているのは右の目だけで左の瞼は閉じ切っていた。
(……………………この眼は…………)
ぐー……………
「……ん?」
双魔の興味がロザリンの左の眼に向きかけた時だった。どこからともなく聞き覚えのある音が鳴り双魔を現実に引き戻した。見るとロザリンはお腹を手で摩っている。
「うん、お腹減った。君も一緒にご飯食べるんでしょ?」
「は?」
ゲイボルグに目を遣ると「細かいことは気にするな」と言いたげな視線を送ってくる。
「いつもは食堂で食べてるんだけどな。双魔、どっかいい店知らないか?」
どうやら食事をすることは確定のようだ。
「…………」
ロザリンにも開いた右の目で見つめられて空腹であることをアピールされている。
「……………………わかりました」
相変わらずこの状況を作ったゲイボルグからの説明はないが、流石に食事の時にしてくれるだろう。そう期待して双魔はロザリンを伴って思い当たった店。いつもの店へと足を向けるのだった。
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