AIRIS

フューク

文字の大きさ
2 / 4

2 活動開始

しおりを挟む
11月25日 7:00
「起きてくださいマスター。朝ですよー」
 僕はアイリスに体を揺らされて目を覚ました。
 重い瞼をこじ開けるとアイリスの顔が見えた。よかった。正常に作動してる。
 もう一度じっとアイリスを見つめてから僕はほっと胸をなでおろした。すると少し照れたような表情をした。
「マスター。そんなじろじろ見ないでくださいよ」
「ご、ごめん!」
 僕は慌てて目をそらし、ぶんぶんと体の前で手を振った。
「いいえ、気にしないでください。そんなことよりご飯、できてますよ」
 女の子に起こしてもらうなんて、いい朝だなあ。なんて思いながらついていくようにリビングに行った。すると焼きあがったパンや目玉焼きなどがテーブルの上の皿にのっている。朝食などめったに取らない僕からすると少し不思議な光景であった。
 いわれるがままに椅子に座るとアイリスは僕に「召し上がれ」と言ってきた。
「いただきます」
 ぼそっと言って、朝食を食べ始めた。
「どうですか?」
 少し不安そうに顔を覗き込んでくる。
「おいしいよ」
 アイリスはぱあっと顔を明るくさせた。
「よかったぁ。マスターのこと私何にも知らないから、食べられないものとかあったらどうしようと思ってて。マスターのこともインプットしてくれればよかったのに」
「いや、僕のことは少しずつ知っていってほしいと思ってたから。わざとだよ」
 そう言うとアイリスはくすりと笑う。
「それはいいですね。でも、マスターは私のこと何でも知ってるんですから、私にもマスターのこと何でも教えてくださいね。約束ですよ」

 朝食の後すぐアイリスは僕に尋ねたいことがあると言ってきた。
「マスター。魔法って何ですか?」
「あれ? わからないの?」
「はい、マスターが寝てる間少し調べたんですけどよくわかんなくて」
 どうやら僕は魔法についてのデータを作り忘れたらしい。もしかしたら他にも何か忘れていることがあるかもしれないなあ。とりあえず教えるのが先だ。
「じゃあ簡単に説明するね」
「わかりました、先生」
 榊原博士についての宿題も出ているからちょうどいいかもしれない…… ん? ちょっと待ってくれ。
「先生ってなに? ちょっと恥ずかしいんだけど」
「いいじゃないですか。せーんせい」
 僕は少しため息をついた。設定いじってやろうか。
 わかったよと言った。僕はニコニコしながらこっちを見ているアイリスに説明を始めた。
「魔法っていうのは40年位前に榊原博士が『魔素』っていう物質を発見したところから始まる。魔素には一瞬のうちにすぐ別の物質に変化してしまう特徴があるんだ。そのせいでこれまで発見されなかったって言われているんだよね。
そしてその10年後くらいに魔素を制御する装置がまた榊原博士によって開発されたんだ。今はかなり小型化されて左手の甲に個人データファイルとともに制御装置が入っている人がほとんど」
 アイリスは興味津々といった風に話を聞いていた。話している僕も気分がいい。
「私にもあるんですか?」
「あるよ」
「先生! じゃあ私にはどんな魔法が」
 子供みたいにキラキラとした目で僕のほうを見てきた。
「正直わからない。なぜか人によって魔法の効果が全く違うからね。魔法と魔素の効果についてはまだわかってないことも多くて。例えば魔素はほかの物質に変化するって特徴のはずなのに運動能力が上昇する人がいるんだ。僕のもその類の魔法だし」
「どんな魔法が使えるのかチェックする方法とかないんですか?」
「あるよ」
 するとアイリスはぐっと僕に近づいて言った。
「どんなのですか!」
 近い近い。少しドキドキしてしまう。アイリスを少し離し、僕はまた話し始めた。
「一度魔法を暴発させるんだ。魔素を集めさえすれば魔法は発動するから。でもここでやるのはなあ」
 どんな魔法かわからない以上家の中でやるのは危険だ。火を起こすようなものなら大惨事になる。
「じゃあ外へ行こうか」
 今日は土曜日だ。僕に用事があるわけでもない。どう? と言ったらアイリスは驚いた表情をしている。
「えっ!? 私の正体がばれたらマスター大変なことになりますよ。大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。だって、僕が作ったんだから」
 アイリスのことをもう一度よく見る。どこからどう見ても人だ。正直誰にもばれない自信がある。きっとほかの人が見てもかわいい子だな、くらいにしか思わないだろう。
 アイリスはふふっと笑い、かわいい笑顔で言った。
「そうですね! マスター!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...