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本性*
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玄関を開けてすぐ、狭山は靴を脱ぐこともせずに、俺を廊下の壁に押し当てた。見下ろしてくる彼の瞳は、瞬き一つすらしない。まるで、一瞬足りとも見逃さないと言わんばかりの視線に、俺は動揺を隠しきれなくて、そっと顔を逸らそうとする。
しかし、狭山は問答無用で俺の顎を掴むと、噛みつくほどの勢いでそのままキスをしてきた。
「っ!……ふっ、ん……!」
今までにない、食べられてしまうかのようなキス。俺が酸素を求めて口を大きく開けば、すかさず舌を入れ込まれる。その熱くて大きなそれは、こちらの意思も無視して口内を蹂躙する。
「は、ぁっ……さやっ、ん、っ」
喋る暇すら与えられない。キスで窒息死しそうだった。
「ぅ……んんっ、はっ……」
左手は壁に押し付けられて動かせないから、右手で狭山のシャツを掴む。与えられる刺激で足がガクガクと揺れる。
痺れるほどの快感が迸っていて、今にも崩れ落ちそうなのだ。
「……っ、ん゙ぅ……!」
「……ん……あれ、広崎、大丈夫?」
しばらくして、足の力が抜けた俺に狭山は漸く気づき、唇を離した。立っていられない俺の腰に手を添えて、抱き寄せてくれる。
「はあっ……は、あっ……」
「ごめん、ちょっとやりすぎた。……広崎が嫉妬してくれたって思ったらすごい衝動に駆られて、訳分かんなくなってた……」
「……っえ、」
聞きたくなかった言葉に、思いっきり目を見開く。
────やっぱり、バレてたんだ。俺の……知られたくないあの感情が。
「ご、ごめん……。俺も、まさかあんな風になるとは思わなくて。……め、めんどくさいよな? こんなの。……っなるべくこれからは、狭山の前で態度には出さないようにするから……」
「は? なに言ってんの? 面倒なわけないじゃん。俺こんな嬉しいのに」
「え……」
心底信じられないといった表情で狭山が見つめてくる。俺もつい、自分の耳を疑ってしまった。
「つか俺の方が圧倒的に嫉妬深いし。それに比べたら広崎の嫉妬なんてかわいいもんでしょ」
「ほ、本当に嫌じゃないのか……? だって、束縛とか、狭山嫌いだろ……」
「それは別の奴だったらの話。広崎なら、俺はいくらでもしてほしいよ」
「へっ……」
「てかさ、そんな嫉妬してくれんなら、とっくにもう俺のこと好きじゃん。え、抱いていい?」
「っちょ、それは待て……!!」
性急に服の中へ手を突っ込もうとする狭山を、俺は全力で止めた。
「……なんで? 俺のこと好きじゃないの?」
「お、俺は……よく、分からないんだ。だって、嫉妬……したら好き、なのか? 俺に、愛をくれる存在がいなくなるのが嫌だから、そう思ってるだけじゃないのか……?」
恐る恐る、そう問えば、狭山は深いため息を吐き出す。
「……はあ……、そんな深く考えなくても、好きだと思ったら好きになるんだよ、普通は。……あーあ、でも、その様子だとまだまだみたいだな」
残念そうに眉を下げた狭山が俺から手を引く。かなり期待をしていたみたいだ。
「ごめん……」
「謝んなよ。てか、俺の方こそ広崎に悲しい思いさせてごめんな。俺も早くあの女から離れるべきだった。……常連が一人でも多くいた方が独立した時に安定するかと思ったんだけど、広崎のこと悲しませてたら意味ないよな」
「それは、仕方ないだろ……。お客様なんだから……」
「俺の一番は、客じゃない。広崎だよ。それだけは絶対覚えてて」
「っ……わ、かった……」
強すぎる眼差しに当てられて、俺の愛情で飢えた心はどんどんと満たされていく。狭山のそれに、俺はいつか中毒になってしまうかもしれない。
だからこそ、余計に好きになってしまうのが怖いんだ。
「ねえ広崎、今日もうちょっと触っていい? もちろん、嫌だって思ったらちゃんと止めるから」
「え、ちょ、ちょっとって……どのくらい……」
「さあ……? それは人によるよな。だからここまでっていうところで広崎が止めて」
そう言うと、狭山は返事も聞かず俺を抱きかかえて部屋の中へと歩き出す。
「ちょっ……! く、靴まだ脱いでない……!」
「ん? ああ、そうだった。はい」
玄関に戻って俺を下ろしてくれたが、狭山の中ではもう先程の提案は決定事項らしい。俺も大人しく靴を脱げば、もう一度抱きかかえられて、キングサイズのベッドがある寝室まで連れていかれたのだった。
***
優しく体をベッドに下ろされる。ふかふかの枕に頭を乗せれば、狭山は我慢が効かない様子で、俺のシャツを捲り上げた。
そのまま、キスと同時に胸を弄られる。本当はそんなところ感じなかったはずなのに、もう何度か触られたそこは、狭山の手が当たるだけで体が反応する。突起を優しく揉まれ、擦られて。俺の口からは甘い声しか漏れ出ない。
「あっ、ぁ、ん……、」
「はあ、っ、広崎………かわいい……」
「ひ、ッあ、ああ、!」
「はは……気持ち良さそう。ここも、随分感度が良くなったな」
愛おしそうに微笑む狭山に、心臓が握り潰されそうだった。
そのまま弄られ続け、下半身に熱が溜まっていく。俺は両膝を擦り合わせ、それをなんとか耐えようとしていれば、狭山が唐突に告げた。
「なあ広崎……痕つけていい?」
「ぁ、は、……っへ、?」
「見えないところにするからさ」
そう言いながら、狭山は俺の首もとに唇を寄せる。チクッ……と、吸われたような感覚が走った。
しかし、その一回で終わることはなく、そこから二回三回。そして、胸元に続くまでそれは行われ、ざらついた舌が敏感な突起を這った。
「ッあ゙!?……だっ、ア、それ、ッああ、やば……ぃ、ッ!」
「んっ……は……」
ジュルジュルと、下品な音を立てて突起が吸われる。狭山の肩を押しても、まるで意味がない。
ここまでって言ったら止めるんじゃなかったのか。そんな俺の言葉は声になることはなく、矯声だけが口からは漏れ出ていた。
「ああっ、ぁ、ん……ァ、あっ……」
「…っ…はあっ、ん……ジュッ、……ひろさきぃ…………」
どれだけ時間が経ったんだろう。いたるところを舐めつくされたせいで、クーラーの風が当たるとすうすうする。
ようやく満足したのか顔を上げた狭山は、頬を赤く染め、瞳をとろめかせていた。見るものが見れば鼻血が出てしまいそうなほど、官能的な表情だ。
「っ、さや……ま……、今日は、ここまで……」
俺はもうやめるつもりで言った。
しかし、俺の足にゴリッ……と、固いものが当たる。同じ男なら容易に分かるそれに、俺は思わず息を飲んだ。
「っ、さ、狭山!?」
「っあ゙ー、ヤバい……今日マジで止まんねえ……。なあ……広崎のここも触っていい?」
「あっ、ちょっと……!!」
お願いが全然お願いになっていない。
完全に欲に支配された狭山は、俺のズボンを容赦なく下ろすと、既に緩く勃ち上がっているそれを見て嬉しそうに笑った。
今まで俺は気にしないようにしていたのに、実際に知られるととんでもなく恥ずかしい。咄嗟に顔を腕で隠せば、カチャカチャとベルトを緩めた音の後に、俺のそれと熱くて硬いものが合わさる感覚がした。
「な、なにして……っ、ア……!?」
見れば、狭山のものと一緒に大きな手で扱かれていた。
お互いの裏筋が擦り合って、強烈な快感を生む。一瞬で先端から垂れ落ちた先走りが、ジュポジュポと厭らしい音を響き渡らせる。俺は必死に狭山の服を掴んで、その刺激に耐えるしかない。
「あ゙、ぁっ、……さ、さや……ま、ッ、」
「あー、これ、すぐイキそ……」
「はぅ、っ、ん゙……ア、!」
「広崎……は…っ…顔、真っ赤……リンゴみたい、食いてえな……」
「んっ、ぶ……、ふぅ、ッ、」
もはや自制のじの字もない狭山は、本能に従って俺の唇を奪う。溢れ落ちた俺の唾液も、狭山は一滴だって残さず舐めとる。
捕食者のような瞳だ。化けの皮が、完全にもう剥がれ落ちていた。
「……お、れ…ぁ、っイ、く……!」
「ん……俺も……、一緒にイこ、広崎……」
さらに激しく上下に扱かれて、奥から衝動が迫り上がってくる。俺の限界はもうすぐそこだった。狭山も、余裕がなさそうに眉をしかめている。
そして────ぎゅっと俺が目の前のシャツを握ったその瞬間、狭山の性器がドクドクと脈打って、同時に達したのがなんとなく分かった。
「~~~ッッぁあ゙……!!」
「っ、は……」
ビュッと勢いをつけて、白濁としたものが俺の腹と狭山の手に飛び散る。俺は久しぶりのその解放感に、体の力がドッと抜ける感じがした。
しかし狭山は、いまだ熱に浮かされた表情で自分の手を見ると、白濁液がついたままのそれを口に含んだ。ベロリと、舌が指先を這っている。彼はまるで高級な蜂蜜でも食しているかのように、酷く魅惑的な表情でそれを舐めあげていた。
「えっ……はっ……?」
だけど、俺にはとんでもない光景すぎて。
考える間もなく、俺はその手を掴んでいた。
「ちょっと……なにすんの広崎」
「いやっ……え!? そ、そっちこそ何してんだよ!」
「なにって……広崎の精液舐めてる」
「ばっ……馬鹿か!? そんなの汚いだろ……!?」
「ああ……俺のが混じってんのがクソ最悪だけどな」
そういう問題じゃない……!
そう言いたいのに、狭山は至極当然のように最後までそれを止めなかった。なんなら俺の腹にまで飛び出たものも舐めようとしてきたので、流石に逃げた。
寝室から飛び出す。
体はベタベタしていて気持ちが悪いし、俺は、やっぱりとんでもない男に捕まってしまったのかもしれない。片鱗はこれまでにもあったけど、きっと、あれが狭山の本性だ。
でも、それに気づいたところでもう遅かった。だって、俺にはこの強烈すぎるほどの愛がないと、もう満たされないんだ。
「広崎、大好き」
逃げた先で、後ろから狭山に抱き締められる。俺はまだ、同じ言葉を返すことはできない。
それでも、そっと、前で組まれた彼の手に触れた。このがんじがらめの愛が、俺には丁度良くて、心地よかった。
しかし、狭山は問答無用で俺の顎を掴むと、噛みつくほどの勢いでそのままキスをしてきた。
「っ!……ふっ、ん……!」
今までにない、食べられてしまうかのようなキス。俺が酸素を求めて口を大きく開けば、すかさず舌を入れ込まれる。その熱くて大きなそれは、こちらの意思も無視して口内を蹂躙する。
「は、ぁっ……さやっ、ん、っ」
喋る暇すら与えられない。キスで窒息死しそうだった。
「ぅ……んんっ、はっ……」
左手は壁に押し付けられて動かせないから、右手で狭山のシャツを掴む。与えられる刺激で足がガクガクと揺れる。
痺れるほどの快感が迸っていて、今にも崩れ落ちそうなのだ。
「……っ、ん゙ぅ……!」
「……ん……あれ、広崎、大丈夫?」
しばらくして、足の力が抜けた俺に狭山は漸く気づき、唇を離した。立っていられない俺の腰に手を添えて、抱き寄せてくれる。
「はあっ……は、あっ……」
「ごめん、ちょっとやりすぎた。……広崎が嫉妬してくれたって思ったらすごい衝動に駆られて、訳分かんなくなってた……」
「……っえ、」
聞きたくなかった言葉に、思いっきり目を見開く。
────やっぱり、バレてたんだ。俺の……知られたくないあの感情が。
「ご、ごめん……。俺も、まさかあんな風になるとは思わなくて。……め、めんどくさいよな? こんなの。……っなるべくこれからは、狭山の前で態度には出さないようにするから……」
「は? なに言ってんの? 面倒なわけないじゃん。俺こんな嬉しいのに」
「え……」
心底信じられないといった表情で狭山が見つめてくる。俺もつい、自分の耳を疑ってしまった。
「つか俺の方が圧倒的に嫉妬深いし。それに比べたら広崎の嫉妬なんてかわいいもんでしょ」
「ほ、本当に嫌じゃないのか……? だって、束縛とか、狭山嫌いだろ……」
「それは別の奴だったらの話。広崎なら、俺はいくらでもしてほしいよ」
「へっ……」
「てかさ、そんな嫉妬してくれんなら、とっくにもう俺のこと好きじゃん。え、抱いていい?」
「っちょ、それは待て……!!」
性急に服の中へ手を突っ込もうとする狭山を、俺は全力で止めた。
「……なんで? 俺のこと好きじゃないの?」
「お、俺は……よく、分からないんだ。だって、嫉妬……したら好き、なのか? 俺に、愛をくれる存在がいなくなるのが嫌だから、そう思ってるだけじゃないのか……?」
恐る恐る、そう問えば、狭山は深いため息を吐き出す。
「……はあ……、そんな深く考えなくても、好きだと思ったら好きになるんだよ、普通は。……あーあ、でも、その様子だとまだまだみたいだな」
残念そうに眉を下げた狭山が俺から手を引く。かなり期待をしていたみたいだ。
「ごめん……」
「謝んなよ。てか、俺の方こそ広崎に悲しい思いさせてごめんな。俺も早くあの女から離れるべきだった。……常連が一人でも多くいた方が独立した時に安定するかと思ったんだけど、広崎のこと悲しませてたら意味ないよな」
「それは、仕方ないだろ……。お客様なんだから……」
「俺の一番は、客じゃない。広崎だよ。それだけは絶対覚えてて」
「っ……わ、かった……」
強すぎる眼差しに当てられて、俺の愛情で飢えた心はどんどんと満たされていく。狭山のそれに、俺はいつか中毒になってしまうかもしれない。
だからこそ、余計に好きになってしまうのが怖いんだ。
「ねえ広崎、今日もうちょっと触っていい? もちろん、嫌だって思ったらちゃんと止めるから」
「え、ちょ、ちょっとって……どのくらい……」
「さあ……? それは人によるよな。だからここまでっていうところで広崎が止めて」
そう言うと、狭山は返事も聞かず俺を抱きかかえて部屋の中へと歩き出す。
「ちょっ……! く、靴まだ脱いでない……!」
「ん? ああ、そうだった。はい」
玄関に戻って俺を下ろしてくれたが、狭山の中ではもう先程の提案は決定事項らしい。俺も大人しく靴を脱げば、もう一度抱きかかえられて、キングサイズのベッドがある寝室まで連れていかれたのだった。
***
優しく体をベッドに下ろされる。ふかふかの枕に頭を乗せれば、狭山は我慢が効かない様子で、俺のシャツを捲り上げた。
そのまま、キスと同時に胸を弄られる。本当はそんなところ感じなかったはずなのに、もう何度か触られたそこは、狭山の手が当たるだけで体が反応する。突起を優しく揉まれ、擦られて。俺の口からは甘い声しか漏れ出ない。
「あっ、ぁ、ん……、」
「はあ、っ、広崎………かわいい……」
「ひ、ッあ、ああ、!」
「はは……気持ち良さそう。ここも、随分感度が良くなったな」
愛おしそうに微笑む狭山に、心臓が握り潰されそうだった。
そのまま弄られ続け、下半身に熱が溜まっていく。俺は両膝を擦り合わせ、それをなんとか耐えようとしていれば、狭山が唐突に告げた。
「なあ広崎……痕つけていい?」
「ぁ、は、……っへ、?」
「見えないところにするからさ」
そう言いながら、狭山は俺の首もとに唇を寄せる。チクッ……と、吸われたような感覚が走った。
しかし、その一回で終わることはなく、そこから二回三回。そして、胸元に続くまでそれは行われ、ざらついた舌が敏感な突起を這った。
「ッあ゙!?……だっ、ア、それ、ッああ、やば……ぃ、ッ!」
「んっ……は……」
ジュルジュルと、下品な音を立てて突起が吸われる。狭山の肩を押しても、まるで意味がない。
ここまでって言ったら止めるんじゃなかったのか。そんな俺の言葉は声になることはなく、矯声だけが口からは漏れ出ていた。
「ああっ、ぁ、ん……ァ、あっ……」
「…っ…はあっ、ん……ジュッ、……ひろさきぃ…………」
どれだけ時間が経ったんだろう。いたるところを舐めつくされたせいで、クーラーの風が当たるとすうすうする。
ようやく満足したのか顔を上げた狭山は、頬を赤く染め、瞳をとろめかせていた。見るものが見れば鼻血が出てしまいそうなほど、官能的な表情だ。
「っ、さや……ま……、今日は、ここまで……」
俺はもうやめるつもりで言った。
しかし、俺の足にゴリッ……と、固いものが当たる。同じ男なら容易に分かるそれに、俺は思わず息を飲んだ。
「っ、さ、狭山!?」
「っあ゙ー、ヤバい……今日マジで止まんねえ……。なあ……広崎のここも触っていい?」
「あっ、ちょっと……!!」
お願いが全然お願いになっていない。
完全に欲に支配された狭山は、俺のズボンを容赦なく下ろすと、既に緩く勃ち上がっているそれを見て嬉しそうに笑った。
今まで俺は気にしないようにしていたのに、実際に知られるととんでもなく恥ずかしい。咄嗟に顔を腕で隠せば、カチャカチャとベルトを緩めた音の後に、俺のそれと熱くて硬いものが合わさる感覚がした。
「な、なにして……っ、ア……!?」
見れば、狭山のものと一緒に大きな手で扱かれていた。
お互いの裏筋が擦り合って、強烈な快感を生む。一瞬で先端から垂れ落ちた先走りが、ジュポジュポと厭らしい音を響き渡らせる。俺は必死に狭山の服を掴んで、その刺激に耐えるしかない。
「あ゙、ぁっ、……さ、さや……ま、ッ、」
「あー、これ、すぐイキそ……」
「はぅ、っ、ん゙……ア、!」
「広崎……は…っ…顔、真っ赤……リンゴみたい、食いてえな……」
「んっ、ぶ……、ふぅ、ッ、」
もはや自制のじの字もない狭山は、本能に従って俺の唇を奪う。溢れ落ちた俺の唾液も、狭山は一滴だって残さず舐めとる。
捕食者のような瞳だ。化けの皮が、完全にもう剥がれ落ちていた。
「……お、れ…ぁ、っイ、く……!」
「ん……俺も……、一緒にイこ、広崎……」
さらに激しく上下に扱かれて、奥から衝動が迫り上がってくる。俺の限界はもうすぐそこだった。狭山も、余裕がなさそうに眉をしかめている。
そして────ぎゅっと俺が目の前のシャツを握ったその瞬間、狭山の性器がドクドクと脈打って、同時に達したのがなんとなく分かった。
「~~~ッッぁあ゙……!!」
「っ、は……」
ビュッと勢いをつけて、白濁としたものが俺の腹と狭山の手に飛び散る。俺は久しぶりのその解放感に、体の力がドッと抜ける感じがした。
しかし狭山は、いまだ熱に浮かされた表情で自分の手を見ると、白濁液がついたままのそれを口に含んだ。ベロリと、舌が指先を這っている。彼はまるで高級な蜂蜜でも食しているかのように、酷く魅惑的な表情でそれを舐めあげていた。
「えっ……はっ……?」
だけど、俺にはとんでもない光景すぎて。
考える間もなく、俺はその手を掴んでいた。
「ちょっと……なにすんの広崎」
「いやっ……え!? そ、そっちこそ何してんだよ!」
「なにって……広崎の精液舐めてる」
「ばっ……馬鹿か!? そんなの汚いだろ……!?」
「ああ……俺のが混じってんのがクソ最悪だけどな」
そういう問題じゃない……!
そう言いたいのに、狭山は至極当然のように最後までそれを止めなかった。なんなら俺の腹にまで飛び出たものも舐めようとしてきたので、流石に逃げた。
寝室から飛び出す。
体はベタベタしていて気持ちが悪いし、俺は、やっぱりとんでもない男に捕まってしまったのかもしれない。片鱗はこれまでにもあったけど、きっと、あれが狭山の本性だ。
でも、それに気づいたところでもう遅かった。だって、俺にはこの強烈すぎるほどの愛がないと、もう満たされないんだ。
「広崎、大好き」
逃げた先で、後ろから狭山に抱き締められる。俺はまだ、同じ言葉を返すことはできない。
それでも、そっと、前で組まれた彼の手に触れた。このがんじがらめの愛が、俺には丁度良くて、心地よかった。
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