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その頃のオーガスタ邸では
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ジュリアーナがいなくなったオーガスタ邸では当然ながら大騒ぎになっていた。
いつまで経っても試着の部屋から出てこない主人を心配した侍女が様子を見に行くとそこにジュリアーナの姿はなく、付き添いの侍女だけが床に倒れ伏していた。薬のようなものを嗅がされ気を失っていた侍女を起こし、何があったのか聞くと顔面蒼白になり震えだす。
「ひ、姫様が……、あの女達に……!」
気を失う前に彼女が最後に見たのはあの異国の女がジュリアーナに襲い掛かった光景。
助けに入ろうとしたところでもう一人いた女によって何か香のようなものを嗅がされて意識を失った。
しかし、あの女達がこの部屋から出たところは見ていない。
なのにこの部屋の中には倒れていた侍女以外見当たらない。まるで煙の如く姿が消えてしまった。
どう考えてもおかしい。侍女や護衛達は総出で部屋の中を捜索すると、なんと隠し扉が見つかる。慌てて扉を開けて進むと、邸の裏へと到着した。周辺を捜索しても王女の姿は見当たらない。瞬時に誘拐されたと気づき、またそれにダニエルが関与していると理解した。
「辺境伯閣下は何処におわす! よくも姫様を……!」
鬼気迫る様子で走る護衛騎士達に何事かとオーガスタ邸の使用人達が問いかけ、王女が行方不明だと聞き青褪めた。すぐにラティーシャ夫人や子爵達が招集され、事態は騒然となる。
「王女殿下が拐かされた!? しかもダニエルが関与しているだと……?」
詳細を聞いた子爵は驚愕のあまり膝から崩れ落ちそうになる。
「あいつ……気が触れたのか! ダニエルは今どこにいる!?」
「は、はい! 先程馬車で南の方角へと向かいました!」
ダニエルを追いかけるべく子爵は馬を走らせる。
それはもう凄い速さで駆けていくと、視線の先にオーガスタ家の馬車が見えた。
「ダニエルッ! 貴様……!!」
馬車と並走した子爵が御者から手綱を奪い、無理やり馬を止める。
急停車した馬車の中から「うわっ!?」という男の悲鳴が聞こえた。
「おい、なんだ!? いったい何が……叔父上?」
外の様子を伺う為に窓を開けたダニエルの視界に鬼の形相をした叔父が映った。
嫌な予感がして急いで窓を閉めようとするも防がれてしまい、そのまま無理やり扉を開けられたせいで外へと体が放り出される。
「痛っ! な、何をするんですか、叔父上!!」
「それはこっちの台詞だ馬鹿者が! 貴様……王女殿下を何処へやった!?」
「お、王女? いったい何のことだか……」
誤魔化そうとしたダニエルだが一瞬目が泳いだのを子爵は見逃さない。
「誤魔化すな! お前が連れてきた商人共が王女殿下を拐かしたんだぞ? お前が何かやったんだろう!?」
「何だって? あの商人達が!?」
なおも誤魔化そうとするダニエルに腹を立てた子爵は彼の頬を平手で張り倒した。
「痛っ……!? な、なにを……」
「……お前、その年になってやっていい事と悪い事の区別もつかないのか? 王女の御身に傷一つつけてみろ……。必ずこの手でお前を殺してやる……!」
凄まじい怒気に気圧されたダニエルは恐怖で身を震わせた。
「ち、ちが……だって、あの女さえいなければ……私は今もあの邸でアニーと幸せに過ごせたのに……」
「何を馬鹿なことを言っているんだ!? 殿下に婚約を申し込んだのはお前だろう? ふざけているのか?」
「それはそうだが……ちっとも思い通りに動きやしない。だからもういらないんだよ! だからあの女達に頼んで排除したんだ! それの何が悪い!?」
「────っき、貴様ぁぁぁ!!」
あまりにも身勝手な言い分に子爵は全身の血が沸騰しそうな衝動に駆られた。
その衝動のままダニエルの上に馬乗りになり、何度も拳を打ち付ける。
「ギルバート様! お待ちください!」
あわやダニエルを殺しかけた時、間にシーザーが割って入った。
いつまで経っても試着の部屋から出てこない主人を心配した侍女が様子を見に行くとそこにジュリアーナの姿はなく、付き添いの侍女だけが床に倒れ伏していた。薬のようなものを嗅がされ気を失っていた侍女を起こし、何があったのか聞くと顔面蒼白になり震えだす。
「ひ、姫様が……、あの女達に……!」
気を失う前に彼女が最後に見たのはあの異国の女がジュリアーナに襲い掛かった光景。
助けに入ろうとしたところでもう一人いた女によって何か香のようなものを嗅がされて意識を失った。
しかし、あの女達がこの部屋から出たところは見ていない。
なのにこの部屋の中には倒れていた侍女以外見当たらない。まるで煙の如く姿が消えてしまった。
どう考えてもおかしい。侍女や護衛達は総出で部屋の中を捜索すると、なんと隠し扉が見つかる。慌てて扉を開けて進むと、邸の裏へと到着した。周辺を捜索しても王女の姿は見当たらない。瞬時に誘拐されたと気づき、またそれにダニエルが関与していると理解した。
「辺境伯閣下は何処におわす! よくも姫様を……!」
鬼気迫る様子で走る護衛騎士達に何事かとオーガスタ邸の使用人達が問いかけ、王女が行方不明だと聞き青褪めた。すぐにラティーシャ夫人や子爵達が招集され、事態は騒然となる。
「王女殿下が拐かされた!? しかもダニエルが関与しているだと……?」
詳細を聞いた子爵は驚愕のあまり膝から崩れ落ちそうになる。
「あいつ……気が触れたのか! ダニエルは今どこにいる!?」
「は、はい! 先程馬車で南の方角へと向かいました!」
ダニエルを追いかけるべく子爵は馬を走らせる。
それはもう凄い速さで駆けていくと、視線の先にオーガスタ家の馬車が見えた。
「ダニエルッ! 貴様……!!」
馬車と並走した子爵が御者から手綱を奪い、無理やり馬を止める。
急停車した馬車の中から「うわっ!?」という男の悲鳴が聞こえた。
「おい、なんだ!? いったい何が……叔父上?」
外の様子を伺う為に窓を開けたダニエルの視界に鬼の形相をした叔父が映った。
嫌な予感がして急いで窓を閉めようとするも防がれてしまい、そのまま無理やり扉を開けられたせいで外へと体が放り出される。
「痛っ! な、何をするんですか、叔父上!!」
「それはこっちの台詞だ馬鹿者が! 貴様……王女殿下を何処へやった!?」
「お、王女? いったい何のことだか……」
誤魔化そうとしたダニエルだが一瞬目が泳いだのを子爵は見逃さない。
「誤魔化すな! お前が連れてきた商人共が王女殿下を拐かしたんだぞ? お前が何かやったんだろう!?」
「何だって? あの商人達が!?」
なおも誤魔化そうとするダニエルに腹を立てた子爵は彼の頬を平手で張り倒した。
「痛っ……!? な、なにを……」
「……お前、その年になってやっていい事と悪い事の区別もつかないのか? 王女の御身に傷一つつけてみろ……。必ずこの手でお前を殺してやる……!」
凄まじい怒気に気圧されたダニエルは恐怖で身を震わせた。
「ち、ちが……だって、あの女さえいなければ……私は今もあの邸でアニーと幸せに過ごせたのに……」
「何を馬鹿なことを言っているんだ!? 殿下に婚約を申し込んだのはお前だろう? ふざけているのか?」
「それはそうだが……ちっとも思い通りに動きやしない。だからもういらないんだよ! だからあの女達に頼んで排除したんだ! それの何が悪い!?」
「────っき、貴様ぁぁぁ!!」
あまりにも身勝手な言い分に子爵は全身の血が沸騰しそうな衝動に駆られた。
その衝動のままダニエルの上に馬乗りになり、何度も拳を打ち付ける。
「ギルバート様! お待ちください!」
あわやダニエルを殺しかけた時、間にシーザーが割って入った。
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