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エメラルドのブローチは忠誠の証
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「いえ、その必要はないわ。それよりローゼとアリス、後でわたくしの部屋に来てもらえるかしら?」
「え? は、はい、畏まりました!」
名指しで呼び出された侍女二人は互いに顔を見合わせて驚いていた。
二人はこのタイミングでどうして自分達が呼ばれたのか不思議で仕方ないのだろう。
*
「え……? 姫様、こちらをわたくし共に……?」
私の部屋へと呼び出されたローゼとアリスは、目の前に差し出された物に驚きを隠せなかった。
目を丸くし、口をポカンと開けてただそれを凝視している。
「ええ、貴女達はわたくしによく仕えてくれているわ。これはその忠誠心に対する褒美よ」
彼女達に差し出したのはユリを象ったエメラルドのブローチ。
ユリは王家の紋章にも使われ、エメラルドは私の瞳と同じ色。
これをつけているだけで、きっと周囲は察することだろう。
彼女達は王女から特別に認められた存在だということを。
「こんな高価な物を……わたくし達に?」
「ええ、わたくしが女公爵になっても、貴女達には傍で仕えてほしいの。その証としてこのブローチを受け取って頂戴」
女公爵の専属侍女となれる。
それは彼女達にとって喉から手が出るほど欲しい座だ。
「…………っ!! 身に余る光栄に存じます……!!」
「わたくし共の忠誠はいつまでも姫様にあります! どうぞ、末永くお傍に置いてくださいませ」
涙を流して歓喜する彼女達を、私は満足気に眺めた。
あの時、セレスタンの態度に侍女達がどのような反応を見せるかを私は注意深く凝視した。
皆憤ってはいたけれど、その中でもローゼとアリスは別格。
彼女達は主を軽んじられたことに怒っていた。それは彼女達がそれだけ私に忠誠心がある証に見えたのだ。
彼女達ならば、傍に置いて間違いない。
アンヌマリーのように、平然と裏切るような真似はしないのではないかと。
「嬉しいわ。今日からそれを着けて仕事してね」
「え? よろしいのですか?」
「ええ、皆にも分かるように。貴女達はわたくしにとって特別なのだと。勿論、今後も渡す相手は増やすつもりだけどね。それでも貴女達は別よ」
自分は特別。そんな甘美な響きを含んだ言葉を、王族から告げられたらどう思うか。
瞳を潤ませ歓喜する彼女達の顔を見れば一目瞭然だ。
これで彼女達は自ら私の為に動いてくれるだろう。
より、私に気に入られるために。
そしてそんな彼女達を見て、周りは……特にアンヌマリーはどう思うか。
考えただけで笑いがこみ上げてくる。
翌日以降、ローゼとアリスに贈ったエメラルドのブローチは侍女の間で瞬く間に知れ渡った。
王女自ら手渡される、王家の象徴であるユリを象った美しいそれは侍女の羨望の視線を集め、彼女達は自分も欲しいと望み始める。
それはアンヌマリーもそうだったようで、羨ましそうな顔でブローチを眺めていた。
私はそれを見て笑いをこらえるのに必死だった。
忠誠の証を、現在進行形で主を裏切っているお前が望むのかと。
「え? は、はい、畏まりました!」
名指しで呼び出された侍女二人は互いに顔を見合わせて驚いていた。
二人はこのタイミングでどうして自分達が呼ばれたのか不思議で仕方ないのだろう。
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「え……? 姫様、こちらをわたくし共に……?」
私の部屋へと呼び出されたローゼとアリスは、目の前に差し出された物に驚きを隠せなかった。
目を丸くし、口をポカンと開けてただそれを凝視している。
「ええ、貴女達はわたくしによく仕えてくれているわ。これはその忠誠心に対する褒美よ」
彼女達に差し出したのはユリを象ったエメラルドのブローチ。
ユリは王家の紋章にも使われ、エメラルドは私の瞳と同じ色。
これをつけているだけで、きっと周囲は察することだろう。
彼女達は王女から特別に認められた存在だということを。
「こんな高価な物を……わたくし達に?」
「ええ、わたくしが女公爵になっても、貴女達には傍で仕えてほしいの。その証としてこのブローチを受け取って頂戴」
女公爵の専属侍女となれる。
それは彼女達にとって喉から手が出るほど欲しい座だ。
「…………っ!! 身に余る光栄に存じます……!!」
「わたくし共の忠誠はいつまでも姫様にあります! どうぞ、末永くお傍に置いてくださいませ」
涙を流して歓喜する彼女達を、私は満足気に眺めた。
あの時、セレスタンの態度に侍女達がどのような反応を見せるかを私は注意深く凝視した。
皆憤ってはいたけれど、その中でもローゼとアリスは別格。
彼女達は主を軽んじられたことに怒っていた。それは彼女達がそれだけ私に忠誠心がある証に見えたのだ。
彼女達ならば、傍に置いて間違いない。
アンヌマリーのように、平然と裏切るような真似はしないのではないかと。
「嬉しいわ。今日からそれを着けて仕事してね」
「え? よろしいのですか?」
「ええ、皆にも分かるように。貴女達はわたくしにとって特別なのだと。勿論、今後も渡す相手は増やすつもりだけどね。それでも貴女達は別よ」
自分は特別。そんな甘美な響きを含んだ言葉を、王族から告げられたらどう思うか。
瞳を潤ませ歓喜する彼女達の顔を見れば一目瞭然だ。
これで彼女達は自ら私の為に動いてくれるだろう。
より、私に気に入られるために。
そしてそんな彼女達を見て、周りは……特にアンヌマリーはどう思うか。
考えただけで笑いがこみ上げてくる。
翌日以降、ローゼとアリスに贈ったエメラルドのブローチは侍女の間で瞬く間に知れ渡った。
王女自ら手渡される、王家の象徴であるユリを象った美しいそれは侍女の羨望の視線を集め、彼女達は自分も欲しいと望み始める。
それはアンヌマリーもそうだったようで、羨ましそうな顔でブローチを眺めていた。
私はそれを見て笑いをこらえるのに必死だった。
忠誠の証を、現在進行形で主を裏切っているお前が望むのかと。
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