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episode A アイとヒューゴ カロンとユアン
006. Healing Oil / 年下攻め
暑くもなく寒くもない穏やかな昼下がり。
アイは机に向かいパーチメントにペンを走らせていた。
簡素な焦げ茶色の机にはインク坪、文鎮、辞書と銀色の小鳥のオブジェが置かれていたが
この小鳥は
先日森で手負いのドワーフを介抱し病院まで背負って運んだお礼にと貰ったもの。
なんでも、手紙をこの小鳥に入れて飛ばすと何処にでも誰のもとにも届けてくれるのだとか。
半信半疑のアイだったが銀色の小さな蓋を空け綴った手紙をしまうと窓を空けそれを手放した
機械の音とともに羽根を広げキラキラと輝きながら空に吸い込まれていく鳥を見届け
「本当に飛んでいった…」
呟き、しばらく流れる雲を眺めていた
:
5ヶ月後
それは届けられた。
アイはそんな出来事をすっかり忘れて
ひとつの季節を恋人であり家族でもあるヒューゴと幸せに過ごし、大工の仕事にも手応えを感じ
今は実りの秋を迎えたところだった。
家の前に置かれたそれを見つけアイは瞳を輝かせ階段をかけあがりヒューゴの部屋に飛び込む。
バタン!
「ヒューゴ!これを見て」
「アイ、ノックぐらいしなさい」
ヒューゴは分厚い本から顔を上げ興奮気味なアイの顔とその手に抱えられている茶色の油紙の包みに目を向ける
タグには白のエルフの紋章。
「ヒューゴ!これで元に戻れるかも知れないんだよ」
「どういうことだ?」
アイは5ヶ月前の出来事とエルフの国へ火傷の跡を治せる薬を分けて貰えるか手紙を綴ったことを説明した
が、
ヒューゴの表情はみるみる雲っていった
「なぁに?ヒューゴ、嬉しくないのかい」
「アイ、何故そんな貴重な物を俺のために使ってしまうんだ?そういうものは自分のために…」
「あー!もう、」
ヒューゴの言葉はほんのり怒気を含みながらも明るいアイの声で遮られた
「僕はヒューゴのことが何よりも大事なんだよ。あんな鳥の置物なんて半信半疑だったけど。僕は火傷の跡も含めてヒューゴを素敵だと思ってるけど、ホラ」
手を伸ばし、ヒューゴの顔の左側を覆う髪の毛をさらりと払う
「ヒューゴはまだ悲しいと思ってる。それに、」
「アイ、」
ヒューゴが何かを言うより先に
「それに、未だに火に怯えてる」
「アイ…、」
「そのトラウマは克服してくれなきゃ困るんだよ。僕、いつかヒューゴと世界中を旅してみたいんだ。このままじゃ野宿が出来ないだろ?」
「アイ…!」
突然告白されたアイの夢にヒューゴの胸が踊った
二人きりで旅をする。見たことのないもの、聞いたことのないこと、知らない味や匂い
それはなんという…
「火傷の跡が少しでも治れば、何か良い方向にいく予感がしたんだ」
「アイ…」
ヒューゴはありがとうと言う代わりに大きな体を抱き寄せキスを、触れるだけだが少し長めの…
:
「うわぁ…」
包みを開けたとたんに立ち込める清涼感にアイが歓声をあげる
中にはたっぷりの乾燥した丸い葉と琥珀色の液体で満たされた瓶、それと
「手紙だ…うわ、ルーン文字読めないよ」
「貸してごらん」
ヒューゴはパーチメントに目を走らせ翻訳した
丸い葉を瓶に入ったオイルで戻して患部に塗ること
数回分は入っていること
残った葉は茶にして飲めること
それを聞いたアイの目が好奇心いっぱいに輝いた。
:
空に星が瞬くころ
素晴らしく爽やかな香りで満たされた部屋のベッドに恋人たちは腰掛けていた。
エルフからの贈り物を早速試すことにしたのだ。
「アイ、俺自分で塗れるってば」
「そんなツレナイこと言わないで」
言いながらアイはオイルで濡れた大きな手のひらをヒューゴの素肌、火傷の跡を撫でていく。
「ーーーーー…」
ヒューゴもまんざらでもない様子で鼻で深呼吸し清爽な香りを満喫する。
腕、首、顔、と塗り広げるとうっとりと目を閉じた。
そんなヒューゴの様子にアイの心にもあたたなものが広がりつつも
呼吸をするたびに上下に動く白く華奢な胸板を見てるうちに抑えきれない気持ちも込み上げてくる訳で…
「ヒューゴ、ちょっとオイルが残ってしまったよ」
「ん…?」
琥珀色の液体で揺らめく小皿を見せられ、明日にとっておけば良いじゃないか、と言おうとするのに
「これさ、アソコも治るんじゃない?」
「は?」
「ほら、一昨日の夜、僕が目一杯こすちゃってアソコ赤くなってたじゃない。これで治せると思わない?」
「バ…ッ…!アイ!」
うっとりしたのも束の間、とんでもないことをペラペラ喋る憎たらしい口を黙らせねば、貴重な薬草でこいつはなんということを…
真っ赤になったヒューゴの頬は次の瞬間更に赤く染められる羽目になった。
「や…ッ、あ…!」
オイルでぬるつく指先が胸の飾りを下から上へと掠めたのだ。
「ちょ…ッ、バカ、アイ!」
ヒューゴは声を荒あげるがその抗議は無視され
両方の乳首がぬるぬると捕らえられてしまう。
オイルの滑りで逃げてしまう小さな果実を摘まむのを諦めた指はくるくるくるくると乳輪や乳頭の上で踊り始める。
敏感な場所に与えられる未知の刺激に
体をピクリピクリさせながら
「やめ、て…、あ…ッあぁぁ」
もう溺れてしまいそうになる。
胸への愛撫だけで腰がくだけそう、堪らずベッドに沈んだ愛しい体をアイが追いかける、逃がさない。
ちゅっ、ちゅと唇を食み
くねる腰をやんわり制止ながら
淫らに湿った寝間着のズボンを脱がしていった。
「あぁ…ッ、恥ずかしい、アイ…ッ」
「はぁ…ッ、ヒューゴ、なんてかわいらしい…」
大好きな大事なヒューゴの雄芯は大きくかたちを変え柔らかな陰毛は愛液で濡れキラキラと輝き興奮を誘ったが
アイはソコには触れず
目的の再奥を目指しヒューゴの体を反転させた。
形の良い尻を指で開くと
ヒューゴの息を飲む音が聞こえ白い背中がフレッシュピンクに染まった。
「アイ…ッ、見ないで…」
「大丈夫、小さくて震えていて可愛いよ。僕ココが好きなんだ」
「やぁ…ッ…」
羞恥のあまり抗議の声に泣きが入る。
真っ赤な耳が美味しそうでアイはそれを食みながら震える髪を撫で
「ヒューゴ、やっぱりまだ少し赤くなってた…お薬塗ろうね…」
言うと皿に残っていたオイルをたっぷりまぶした指を
尻の間に潜りこませた。
「ひあぁ…ッ、やぁ!だ、」
「しっ、ヒューゴ良い子にして」
「ふぅぅ…ッん~」
蕾の周りをぬるつく指がはいまわり甘い刺激にジンジンする。
「あぁ…ッ、あん~ッ」
「ヒューゴ、ああ…」
鼻にかかった高い鳴き声に誘われてアイの長いが蕾の中
に侵入する。
オイルの滑りで一気に奥までちゅるりと挿さってしまった
「はぅ…ッ?…あぁあぁ…ッ」
その不意討ちにかたくなったヒューゴの筋肉をもう片方の手とキスの雨で宥めアイは指を納めたまま止めた。
「アイ、アイ…ッ!そんなところ、まで塗るの…ッ?」
息も絶え絶えな抗議を一応聞くだけ聞いて無言のまま指をゆっくり中で回される。
「あぁあぁ…ッ、アイ!聞いてる?…ッねぇ…」
指は二本に増やされ、オイルが淫らな音を立てる。
まるで言葉代わりに返答するかのように
ぐちゅぐちゅ、にゅぷにゅぷ と
敏感なところを容赦なく苛める指、オイルの極上の質感、ピュアの象徴ともいえるエルフからの贈り物でこんな風になってしまう背徳感、アイの興奮しきった息づかい…
全てがヒューゴの快楽を煽る材料になってしまう
もうダメ、もうダメ
「アイ…ッ!アイ!ああぁんんん…もう、もうーーーーー」
ヒューゴの体が一際大きく跳ね淫らな肉がアイの指を強く吸う
長い長い波がおさまるのをシーツを握りしめながら待つ彼をアイは優越感を噛みしめながら見守った。
:
「アイ…返して」
「ん~?」
「さっきまでの感動を返せ」
「え~?恋人たちが気持ち良く愛しあえたらエルフも喜んでくれるよ、きっと」
「言ってる意味がわからん」
「あはは」
快楽の余韻に浸るヒューゴを腕枕に抱きながらアイは笑った。
あの後、今日は挿入はよそうと決め、互いの雄芯を擦り合わせ一緒に昇りつめたためアイの体もまだ甘い。
ふたりして布団にくるまり
オイルが浸透したヒューゴの火傷の跡の肌触りを手のひらで味わいながらアイは目を閉じた。
:
それから時が経ち
次の季節が訪れ
凍える夜に街のはずれの丘の上
厚手の毛布を被りパチパチと弾ける焚き火にあたるふたりの姿があった。
温めたワインと熱々のスモアに舌鼓をうち流れ星の数を数えるふたりのシルエット。
「ヒューゴ、あれやって」
魔法をせがむアイの目はキラキラに輝き
まだどこかあどけなさを残す年若い恋人に微笑むと
ヒューゴは色とりどりの薄紙を焚き火の中にパラパラと蒔いた。
数秒後、浅葱色や葵色や鬱金色の炎が弾け無数の蝶々が瞬く。
「うわぁ…」
アイは輝きを増した目でそのさまを眺め
ふと視線を恋人に向けると息をのむ。
エルフの薬草は彼の肌からケロイドを消し去りほんの僅かな斑を残したが、その薄いそばかすのような斑のコントラストはヒューゴの新たなチャームポイントとなっていた。
アイは焚き火のカラフルな光が引き立てる誰よりも美しいと思える顔に唇を寄せた。
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