乙女ゲームの悪役令嬢に転生したらミスって推しを殺してしまったので早急に死亡フラグを回収したいのですが何故か溺愛される

もか♡

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序章

死にたくなった日。【結愛視点】

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「はぁぁぁ...てぇてぇよぉぉぉ...」





 今日もいつものようにエナドリ片手に乙女ゲー「異世界令嬢」をプレイする。


     「異世界令嬢」というのは私が大大大大大好きな乙女ゲームである。


 我ながら毎日毎日よく飽きないものだ...けど、飽きないのは推しのお陰である。

 私の推し『エリエール・グランテ』様は高貴で誰にも媚びない素敵な女性___この乙女ゲームの主人公である。


 黒髪ボブで、一見飾りっ気のない女の子___だが、内面は強くて聡明、一見完璧に見える彼女であるが裏では毎日勉強と鍛錬に励む努力家な1面もある。その上男慣れしておらず、少し距離を縮めただけでも顔が紅に染まってしまう純粋さ。


 そんな彼女に私は惹かれ、推し始めたのだ。

 明日も明後日も明明後日もその後も、私はずっとゲームをプレイしていたい___そう思いながら、PCを操作していたのだが、突然猛烈な眠気と頭痛にに襲われ目が覚めたら


 ______転生をしていた。



 何が最悪かと言うと、私が転生したのでは エリエール推しでなく、悪役令嬢である『ナキア・アイルス』だからだ。

 よりにもよって私がいちばん嫌いなキャラに転生してしまった。




「う、嘘でしょぉぉ...」




 絶望した。とてつもなく。


 ナキアといえばゲーム内でエリエールと殿方との恋をただただ邪魔する存在である。


 毛先だけゆるふわに巻かれた長髪、豊満な胸と甘い声で男を惑わす魔性の女。


 ゲーム内での彼女の立ち位置はこんな感じである。


 そのナキアが今は、私...

 動く度に揺れる髪と胸、言葉を発する度に出る蕩けるような甘い声。これでこそ、ナキアだ。




「でも、落ち込んでる場合じゃないわよね、!ここは...王宮かしら、?」




 ずっと落ち込んでいても仕方がないため、まずは状況を整理していくことにした。


 きっとここ...私が転生した場所は王宮内の客室、そしてゲーム内ではエリエールが使っていた一室である。





「何故...こんなところに私が...」




 警戒、疑念、不安、様々な感情が押し寄せる中、廊下から『コツ、コツ、』と音が聞こえた。


 足音が部屋の前でピタリと止んだのと同時に、部屋のドアを叩く音が耳に入る。

「ナキア、そろそろ行くぞ」

 ドア越しに聞こえる私を呼ぶ声、聞き覚えがある。
 

 彼の名前は『レオ・スペード』。


 彼は国王長男...それ即ち第1次期王子候補であり、頭が良いが、冷酷無慈悲な男である。

 わがままで王子様気質のある彼だが、イケメンな上に好感度が上がると徐々に甘々になるためユーザーの間では割と高い支持を得ている。

 __ギィ...と音を鳴らしながら扉を開けて「どこへ行くの、?」と問うと彼は食い気味に


「処刑場だよ!!!今日だぞエリエールが処刑される日!」


 と発した。


 嘘だ、そんなわけない。

 ゲームにそんな...エリエールが処刑されるルートなんてなかった。

 なのに、何故...


「ほら、始まっちまうぞ!!!早く走れ!!!!」



 戸惑い、悩んでいる私とは対照に何故かウキウキで処刑場に向かうレオ。

 え、怖くないの?処刑場だよ?そんなルンルンして行くとこじゃなくない?...というのは置いといて、最推しの処刑だなんて…絶対に阻止しなければならない。



 レオについて歩くこと数分、彼の足がピタリと止まり、何やら騒がしい場所についた。


 喧騒によくよく耳を傾けると「いいぞー!」「悪女が、ブチ殺せ!!!」などなどの罵詈雑言が聞こえた。

 人々の中心の処刑台に括り付けられてるのはお察しの通り、私の最推しである黒髪ボブの女性_____エリエールだ。

 何故、どうして、こんなことは転生したばかりの私には知る由もない。

 ただ一つ確かなのは、エリエールがもうすぐで処刑されそうであること。

 下を向いて思考を巡らせていると、ピコン、とどこからか音が鳴って、何かと思って前を向くと



 ______________________






  エリエールのことを


  >助ける
  >放置する
  >自ら手を下す





 _______________________________________


「こ、れは…」

 驚いた。

 今目の前に映るのは前世で恐らく親の顔よりも見た乙女ゲームの選択画面。

 答えは、無論「助ける」に決まっ__


「何ぼーっとしてんだよ」
「?!」


 選択画面に指を置こうとした時、急にレオが声を上げて肩に手を置いて___手元が狂った



 よりにもよって 【自ら手を下す】を選択してしまったのだ。


「ぇ、ぁ...」
「どうしたんだよ素っ頓狂な顔しやがって」


 不思議そうに顔を覗き込むレオ。
 
    当然だ。だってこれ選択画面は私にしか見えないのだから。


「なっ、、ぇ、、、」


 選択したらもう取り消しは出来ない。それがこのゲームの掟である。

 乙女ゲームの仕様に沿うように、私の体が勝手に動いていた。

 急にレバーに手をかけた私に慌てたように声をかけてくれるレオ。
 だが、今は自分の意思で口を動かすことができないのだ。
 勿論、手足も自分の言うことを聞いてはくれない。


 そのまま、為す術もなく____私はレバーを下ろしてしまった。





 この日、私の推しを私自身が殺してしまったのだ。
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