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なず

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「今までそうゆう格好がしたくても出来なかったんですよね」
「いや…」
  遥さんは先程より表情が曇り、何だか元気がないように見える。どうしてなのだろうか。普通だったら本当の自分を受け入れて貰えたら嬉しいものなのでは無いのだろうか。
「大丈夫です、この夢いつ覚めるか分かりませんがヘアアレンジもお化粧も出来ます!少しですが…」
   立ち上がり、自分の小指を遥さんに差し出す。
「…ありがとう嬉しい。ゆっくり話したいから先に片そう。ね、みみ」
「はい、お皿洗いは任せてください」
その時だった、寝室からヴーヴーとバイヴ音の振動音が聞こえた。
「なずかな」
「なず?」
「彼女だよ」 
   意味深にそう言う遥さん。
「えっ?!!」
妻がいて尚且つ、彼女が居るというのは
「そう」
「遥さん…」
浮気をしてたなんて。昨日喧嘩していたというのはこのことだろうか。
「やっぱり過去から来たんだね」
「さっきからそう言ってるんですが、それより浮気なんて私にばれたらどうするつもりなんですか」
「してないよ、するわけないでしょ」
こんなに顔が整ってて、料理もできる。唇も艶々で色気に溢れててエプロンも作れるなんて可笑しい。
「いや、こんなにイケメンな人が私以外に居ないなんてそんなの考えられない」
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