2 / 3
事件簿1
しおりを挟む
「おはようございます!!お嬢様」
階段上から降りてきたお嬢様に向かいご挨拶をする。一度皆で合わせて挨拶した後は、順番に挨拶をして行く。
「おはよう」
その一人一人にきちんとお返事をしてくれるお嬢様。
「おっ、おはようございます!!お嬢様っ」
「ティノ……」
「はっ、はいっ。お嬢様っ」
「お前わざとなの?」
「なっ、何がでしょうか」
今日はきちんと間に合わせられたと思った。
「その毎度毎度私をむかつかせる遅れた挨拶の事よ」
顎を鷲掴みにされ、上を向かさせられる。
「そんなことはっ、そんなことは無いですっ」
全身から滝汗のように汗が湧いてくる。顔まで汗が来る前に放してもらわなくては。お嬢様にご迷惑が掛かってしまう。
「次したらお前は解雇よ、お前に払うお金は無いの」
私の頬にお嬢様の綺麗な爪が食い込む。怒りに充ちたお嬢様のお顔でさえも美しい。けれど、こんな顔をさせたかったのではございません。
「申し訳ございませんっ、お嬢様」
「何度目だと思ってるの、許さないわ」
「お嬢様お言葉ですが、ティノは言葉に少々難があるもののそれ以外はここに居る執事の誰よりも完璧でございます。お嬢様がお好きなエッグタルトや、プティング。そして、お嬢様の婚約者様であるルイス王子はティノが育てた花を大層お気に召されておりました」
隣に居り、助け舟を出してくれた執事。お嬢様からもここに居る執事全てからも慕われているアルト。
「煩いっ!!」
その彼の頬を引っぱたく。
「おっ、お、お嬢様っ叩かれるのはこの私ですっ」
「黙りなさいっ!!お前のせいよ。ティノ」
「お嬢様、お嬢様の美しい手はこのように使う為のものではありません。美しい花を愛でたり、美味しい茶菓子を食べたり、ルイス王子の為のものでございます」
その手を取り、優しく微笑むアルト。
「何事だ」
「旦那様」
「恐れ入ります」
皆で深深と挨拶をする。
「お父様」
その後だった部屋に乾いた音が鳴ったのは。
「お前はどうして下のものに優しく出来ないのだ」
「おっ、お父さまっ」
お嬢様の美しい頬に少し赤みが広がる。
「皆すまないね、どうやら私の育てかたが悪かったようだ」
その場は旦那様の指示で、上手くまとまり私の事も水に流して頂けました。
階段上から降りてきたお嬢様に向かいご挨拶をする。一度皆で合わせて挨拶した後は、順番に挨拶をして行く。
「おはよう」
その一人一人にきちんとお返事をしてくれるお嬢様。
「おっ、おはようございます!!お嬢様っ」
「ティノ……」
「はっ、はいっ。お嬢様っ」
「お前わざとなの?」
「なっ、何がでしょうか」
今日はきちんと間に合わせられたと思った。
「その毎度毎度私をむかつかせる遅れた挨拶の事よ」
顎を鷲掴みにされ、上を向かさせられる。
「そんなことはっ、そんなことは無いですっ」
全身から滝汗のように汗が湧いてくる。顔まで汗が来る前に放してもらわなくては。お嬢様にご迷惑が掛かってしまう。
「次したらお前は解雇よ、お前に払うお金は無いの」
私の頬にお嬢様の綺麗な爪が食い込む。怒りに充ちたお嬢様のお顔でさえも美しい。けれど、こんな顔をさせたかったのではございません。
「申し訳ございませんっ、お嬢様」
「何度目だと思ってるの、許さないわ」
「お嬢様お言葉ですが、ティノは言葉に少々難があるもののそれ以外はここに居る執事の誰よりも完璧でございます。お嬢様がお好きなエッグタルトや、プティング。そして、お嬢様の婚約者様であるルイス王子はティノが育てた花を大層お気に召されておりました」
隣に居り、助け舟を出してくれた執事。お嬢様からもここに居る執事全てからも慕われているアルト。
「煩いっ!!」
その彼の頬を引っぱたく。
「おっ、お、お嬢様っ叩かれるのはこの私ですっ」
「黙りなさいっ!!お前のせいよ。ティノ」
「お嬢様、お嬢様の美しい手はこのように使う為のものではありません。美しい花を愛でたり、美味しい茶菓子を食べたり、ルイス王子の為のものでございます」
その手を取り、優しく微笑むアルト。
「何事だ」
「旦那様」
「恐れ入ります」
皆で深深と挨拶をする。
「お父様」
その後だった部屋に乾いた音が鳴ったのは。
「お前はどうして下のものに優しく出来ないのだ」
「おっ、お父さまっ」
お嬢様の美しい頬に少し赤みが広がる。
「皆すまないね、どうやら私の育てかたが悪かったようだ」
その場は旦那様の指示で、上手くまとまり私の事も水に流して頂けました。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
真実の愛ならこれくらいできますわよね?
かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの
でもそれは裏切られてしまったわ・・・
夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。
ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる