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初めての煙草
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昼間に寝て、夕方にまた仕事へと出かける。吏人に会ったせいか、高校時代のことを夢に見た。あの頃は仲良し3人組で吏人のことをいじめて可愛がっていた。吏人と出会ったのは高2になってから。文化祭で俺がコピーバンドのボーカルをした時。終わった後に駆け寄ってきて、告白をしてきた。
「一目惚れしました。好きです。付き合ってください」
と真っ直ぐと言われた。まだ人の残る体育館の中で。
「は?男と付き合えるわけねぇじゃん。きっしょ」
って俺はその告白を一刀両断して、無惨にも振った。だけど、そいつはそれでも付きまとってきて、
「じゃあ、友達から始めさせてください」
と真剣に俺の手を掴んで引き留めた。俺はとても面倒くさくなって、
「あー、はいはい」
と軽返事をしたんだと思う。そこから天乃 吏人に付きまとわれる生活が始まったんだ。
吏人は毎時間の休み時間、昼休み、放課後と頻繁に俺達のクラスにきて、俺に愛の告白をしてはいつも叩かれてた。
「キラくん、今日も格好良いね。素敵だね」
「キラくん、僕は本当に君のことを愛しているんだ」
「キラくん、僕が君のことを絶対に幸せにするよ」
そんな綺麗事を吐いてんのが、全て嘘くさく聞こえて気に入らないんだ。だから、パシリにもして何でも吏人に買ってこさせた。煙草も酒もエロ本もみんな、はやく大人になりたくて、大人を知ってみたくて買わせてた。
「吏人も煙草吸う?」
通学路の裏路地で美味さもわからない煙草をただ吸っていた。それをいつも見ているだけの吏人に1本だけあげたことがある。吏人はそれを受け取ると、
「ありがとう。一生大切にするね!」
と吸わないで丁寧にカバンにしまおうとするから、無理やり咥えさせて火を付けた。吏人はその煙でむせて涙目になっていた。
「おい、勿体ねぇだろ?ちゃんと味わえよ」
吏人にこうやって吸うんだよと手本を見せるように肺に煙を入れて、吐き出した。吏人は見様見真似で煙草を吸っていた。あまり上手く吸えてなかった。燃えさしが持ち手をまで届く頃、手持ち無沙汰で戸惑っている吏人が俺に救いを求める目で見つめてきた。
「キラくん、消えちゃうよ。消したくないのに、せっかく貰ったのに……」
「貸せよ。……はい、これで一生消えねぇな」
と吏人の左目のすぐ下にグリグリっと押し付けて、火を消した。痕を付けた瞬間は爛れて赤くなって、そのうち水脹れができて、しばらくして水脹れの皮も剥けてかさぶたになった。
「良かったじゃん、吏人」「大好きなキラくんからの根性焼き嬉しいでしょ?」
と仲間内ではやしたてて笑ってたが、吏人はぐすんっと泣いていた。少しやりすぎたかなって内心では思ってたが、後悔は先に立たないのでどうしようもなかった。
「吏人、そんなんで泣くなよ。帰ろうぜ」
と言うと、吏人は俺の制服の裾を掴んでくるから、ちょっぴり可愛かった。
「一目惚れしました。好きです。付き合ってください」
と真っ直ぐと言われた。まだ人の残る体育館の中で。
「は?男と付き合えるわけねぇじゃん。きっしょ」
って俺はその告白を一刀両断して、無惨にも振った。だけど、そいつはそれでも付きまとってきて、
「じゃあ、友達から始めさせてください」
と真剣に俺の手を掴んで引き留めた。俺はとても面倒くさくなって、
「あー、はいはい」
と軽返事をしたんだと思う。そこから天乃 吏人に付きまとわれる生活が始まったんだ。
吏人は毎時間の休み時間、昼休み、放課後と頻繁に俺達のクラスにきて、俺に愛の告白をしてはいつも叩かれてた。
「キラくん、今日も格好良いね。素敵だね」
「キラくん、僕は本当に君のことを愛しているんだ」
「キラくん、僕が君のことを絶対に幸せにするよ」
そんな綺麗事を吐いてんのが、全て嘘くさく聞こえて気に入らないんだ。だから、パシリにもして何でも吏人に買ってこさせた。煙草も酒もエロ本もみんな、はやく大人になりたくて、大人を知ってみたくて買わせてた。
「吏人も煙草吸う?」
通学路の裏路地で美味さもわからない煙草をただ吸っていた。それをいつも見ているだけの吏人に1本だけあげたことがある。吏人はそれを受け取ると、
「ありがとう。一生大切にするね!」
と吸わないで丁寧にカバンにしまおうとするから、無理やり咥えさせて火を付けた。吏人はその煙でむせて涙目になっていた。
「おい、勿体ねぇだろ?ちゃんと味わえよ」
吏人にこうやって吸うんだよと手本を見せるように肺に煙を入れて、吐き出した。吏人は見様見真似で煙草を吸っていた。あまり上手く吸えてなかった。燃えさしが持ち手をまで届く頃、手持ち無沙汰で戸惑っている吏人が俺に救いを求める目で見つめてきた。
「キラくん、消えちゃうよ。消したくないのに、せっかく貰ったのに……」
「貸せよ。……はい、これで一生消えねぇな」
と吏人の左目のすぐ下にグリグリっと押し付けて、火を消した。痕を付けた瞬間は爛れて赤くなって、そのうち水脹れができて、しばらくして水脹れの皮も剥けてかさぶたになった。
「良かったじゃん、吏人」「大好きなキラくんからの根性焼き嬉しいでしょ?」
と仲間内ではやしたてて笑ってたが、吏人はぐすんっと泣いていた。少しやりすぎたかなって内心では思ってたが、後悔は先に立たないのでどうしようもなかった。
「吏人、そんなんで泣くなよ。帰ろうぜ」
と言うと、吏人は俺の制服の裾を掴んでくるから、ちょっぴり可愛かった。
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