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第六章 夫妻の穏やかな日々 (短編集)
75 小さな日常 会えない時間に 2
「おや? これはどういうことかな」
お兄様は面白そうに目を細めて私とルノーさん達を見比べている。私も状況が飲み込めなくてチェレステさんの顔を見上げた。
「コイツだよ、私が言ってた妙な客! やっぱりシルフィアちゃんを探してたんだね。安心しな、指一本触れさせないから!」
「えっ? ええっ!?」
「シルフィアさん、コイツに散々虐められたんだろ! 幼い妹をモップを食うほど空腹にさせたり骨が折れるほど踏みつけるなんて人じゃねえや」
ビシッとモップを構えるチェレステさんとプルプル震える手で包丁を握りしめているルノーさんの言葉でハッとした。
……これは、兄違いだっ! ダメ、このままだと大事な人達が皇太子に武器を向けたって捕まってしまう。
「待ってください! あの、私の話を聞いてくださいっ」
慌ててチェレステさんとルノーさんの前に飛び出して止める。お兄様の表情だと大丈夫そうだけど、まわりにいるだろう護衛の人が黙っていないかも。私のためを思って戦おうとしてくれているこの二人を守らなくちゃ。
周囲に聞こえるように声を張り上げる。
「あのっ、こちらの方は私を虐めていた人ではなく、養女先の優しい素敵なお兄様なのです!」
「養女先……てことは義理の? 虐めたほうじゃないのかい?」
「ハイッ、そうです! 私は実の兄を『お兄様』なんて呼んだことはありません」
そんなことしたら髪を引きちぎられて殴られていただろう。……あの人を兄と思ったことも呼ぼうと思ったこともない。
「あの、あの、お兄様! ですから、これは勘違いなのです。お二人は私を助けてくれようとしただけなのです」
怒らないでください、と周りの人の耳に届けと願いながら必死で頼み込めば、正面のお兄様が小さく吹き出した。
「大丈夫だ、愛する妹に『優しい素敵なお兄様』なんて言われて喜びこそすれ怒るわけが無い。むしろ、シルフィアが良いところで働いていると分かって安心したよ」
まあ、あのテオドールが少しでも瑕疵がある場所で君を働かせるはずがないとは思ってたけどな、と続けてにっこりと笑う。
その笑顔を見たルノーさん達もホッとした表情になって、武器を本来の用途に戻した。疑ってすみません、怪しい素振りをしていたようですまない、と双方が謝罪し合う。
……よかった。私の大切な人達が傷つけ合わなくて。
「では、お互い誤解が解けたところでランチを食べさせてもらえるだろうか」
「ハイッ」
お兄様がおどけたように首を傾げて言うと、ルノーさんがどうぞと扉を開けてチェレステさんがモップを持って先導してくれる。
「常々ここの食事は美味いと思っていたが、シルフィアと一緒に食べると最高だな!」
お兄様が食堂に居て、目の前で豪快にパンとお肉を口に運んでいる。お城ではあんなに上品に食べるのに、今は街の人達と変わらぬ雰囲気だ。
ギリギリで来たのはこちらだから気を遣わないでくれ、とお兄様が言ってくれたので、私達も看板をしまい、賄いを食べることになった。せっかくだからとチェレステさんが私の分をお兄様と同じテーブルに出してくれ、お兄様が大喜びしている。
……お兄様もテオも、私と食べると美味しいって言ってくれるけど、他の人と何か違うんだろうか?
離れたテーブルでワイワイと同じ物を食べている三人をこっそり眺める。
「どれだけおいしい食事でも、嫌いな奴と食べれば不味く、気が塞いでいると味がせず、好ましい相手と食べれば何倍にも美味くなる、ということだ」
口に出していないのに、答えをもらってしまった。
「お兄様もテオみたいに私が考えていることが分かるのですね」
「……まあ、顔に出てるからな。公爵夫人になるには直したほうがいいが、我々としてはそのままでいてほしくもある、悩ましい所だ」
「それは大丈夫です。お母様が社交の時だけ感情を出さないようにすればいいのよって」
「そりゃ、母上はそれが可能なのだろうが、シルフィアは出来るのか?」
「練習中です!」
「……そうか。頑張れ」
お兄様は何か大きな物を飲み下したような顔をしながら励ましてくれた。
もしや、お兄様の頼んだ物に私の切った大きなジャガイモが入ってたかな?
ごちそうさまでした、と手を揃えお兄様の分もまとめて食器を片付ける。
「シルフィアは週に2回ここで働いているんだったな。またその日に合わせて来よう」
「お兄様、そんなに来ても大丈夫なのですか?」
「両親にはズルいと言われるかもしれないが、仕事上は問題ない。街の見回りついでの昼食だ。もしかしてシルフィアは嫌なのか?」
「いいえ、私は嬉しいですよ!」
「それなら問題ないな」
笑顔全開で手を振って帰っていくお兄様を見送る。
「テオドール様は来られませんでしたね」
後ろにいたルイーゼが残念そうに言って私を店内へ促した。
「テオはお勉強が最優先ですからね!」
元気よく答えておいて、そっと学院へ通じる街角を振り返る。
……やっぱり、いない。来る約束はしていないし、きっと忙しいんだ。…………久しぶりにお友達と会って私を忘れているのかもしれないけど。
なんだか胸のあたりが重くてもやもやする。なんでかなあ?
その後、ルイーゼと食堂の片付けをして少しだけ夜の仕込みを手伝い、夕飯のおかずを分けてもらう。
「シルフィア様、テオドール様のお好きな料理を頂けてよかったですね」
「はいっ、テオと一緒に食べるのが楽しみです!」
もしかしたら、テオももう帰宅しているかもしれない。ワクワクしながらアパートメントの扉を開けると、目の前にウータさんとフリッツさんがいた。
「あっ、フリッツ、おかえりなさい!……テオは上ですか?」
予想が当たった、と嬉しくなって二段飛ばしに階段を上がりかけたところでフリッツさんが気まずそうな声を出した。
「すみません、テオドール様は新学期早々、先生方とお話をしておりましたら片付けねばならないことが増えてしまいまして、夕食は学院で済ますそうです。ですから、シルフィア様はテオドール様を待たずに夕食を召し上がったら先に休んでいてくださいと伝言です」
…………え? テオ、いないの? ご飯も一緒に食べられないし、夜遅くまで帰って来ないってこと? 昨日も恒例の学院の夜会に行っていたから、一緒に夕食を摂れなかったのに。
色々な感情が押し寄せてきて、一瞬、言葉に詰まる。目線を上げれば、フリッツさんもウータさんも気の毒そうな複雑な顔で私を見ていた。
ここは平気なふりしないと!
くっと顔に力を入れて笑顔を作る。
こういう時にもマナーレッスンって役に立つんだ。
「わかりました。テオには……ええと、帰って来なくても私は全然平気ですので、こちらのことは心配しないでしっかり勉強してきてください、と伝えてください」
私としてはにっこり笑ったつもりでいたけど、上手くできてなかったらしく、フリッツさんが渋い顔をしていた。
……うーん、どんな時でも笑顔になれるよう、もっともっと練習しないと。今度マナーの先生にコツを聞いてみようかな。
そう、テオがいなくても私は大丈夫! ウータさんもルイーゼもいるもの。
それなのに、夕食は味がしなかった。ルノーさんの料理だから、うんと美味しいはずなのに胃に無理やり詰め込むようで、あんまりたくさん食べられなかった。
……これってお兄様が言っていたように気が塞いでるからなのかな? 気が塞ぐってこんな風に身体の中が重苦しいんだ。
その後も何もする気が起きなくて、私は早めに寝室へ行った。
……寝てしまえばこの状態から抜け出せるし、起きたらきっとテオがいるはずだから。
だけど、ベッドに入って目を閉じてみても眠れなかった。しばらく考えて壁際の棚にいるウサギさん達を連れてきて一緒に寝てみたものの、グルグルと嫌な思い出が頭の中を回るだけでちっとも眠れなかった。
なんだかずっとお腹の上辺りが重たくて、テオに会いたいって思っちゃダメだって考える度にそれが段々硬くなって、喉まで何か詰まっているような感じになってきた。
……テオ、まだかな。
フラフラとベッドを出て窓の外を見る。もう遅い時間だと思うのに、眼下の通りには少なくない人が行き交っている。
窓ガラスに額をつけてじっと見ていても、テオもフリッツさんも現れなかった。
テオ、なんでこんな遅くまで帰って来ないのだろう。もしかして、急に私のことが嫌いになっちゃったんだろうか? それとも、もっといい人に出会って私を置いてどっかに行っちゃったとか。
どんどん怖い想像が膨らんできて耐えられなくなった私は、ウサギさん達を抱いたまま、そうっと廊下へ出た。
二階の自室にいるルイーゼや、一階に住んでいるウータさん夫婦と護衛の人達にバレないよう、抜き足差し足で階段を降りて、玄関前の一番下の段に座る。
ここにいたら一番にテオに会えるはず。テオに会ったらきっとさっきの怖い想像なんて吹き飛ぶに違いない。
アパートメントの中は静まり返っていて、私はここにずっと一人きりのような気がしてきた。
……テオに会ってから今までのことが全部夢だったらどうしよう。ううん、そんなはずはない。あの幸せは幻なんかじゃない。
その証拠であるお義母様からもらったウサギさん達をぎゅううっと抱きしめながらテオの帰りを待った。
……そして、いつの間にか寝てしまった私は、ふわふわの雲に乗ってテオを探しに行く夢を見た。
お兄様は面白そうに目を細めて私とルノーさん達を見比べている。私も状況が飲み込めなくてチェレステさんの顔を見上げた。
「コイツだよ、私が言ってた妙な客! やっぱりシルフィアちゃんを探してたんだね。安心しな、指一本触れさせないから!」
「えっ? ええっ!?」
「シルフィアさん、コイツに散々虐められたんだろ! 幼い妹をモップを食うほど空腹にさせたり骨が折れるほど踏みつけるなんて人じゃねえや」
ビシッとモップを構えるチェレステさんとプルプル震える手で包丁を握りしめているルノーさんの言葉でハッとした。
……これは、兄違いだっ! ダメ、このままだと大事な人達が皇太子に武器を向けたって捕まってしまう。
「待ってください! あの、私の話を聞いてくださいっ」
慌ててチェレステさんとルノーさんの前に飛び出して止める。お兄様の表情だと大丈夫そうだけど、まわりにいるだろう護衛の人が黙っていないかも。私のためを思って戦おうとしてくれているこの二人を守らなくちゃ。
周囲に聞こえるように声を張り上げる。
「あのっ、こちらの方は私を虐めていた人ではなく、養女先の優しい素敵なお兄様なのです!」
「養女先……てことは義理の? 虐めたほうじゃないのかい?」
「ハイッ、そうです! 私は実の兄を『お兄様』なんて呼んだことはありません」
そんなことしたら髪を引きちぎられて殴られていただろう。……あの人を兄と思ったことも呼ぼうと思ったこともない。
「あの、あの、お兄様! ですから、これは勘違いなのです。お二人は私を助けてくれようとしただけなのです」
怒らないでください、と周りの人の耳に届けと願いながら必死で頼み込めば、正面のお兄様が小さく吹き出した。
「大丈夫だ、愛する妹に『優しい素敵なお兄様』なんて言われて喜びこそすれ怒るわけが無い。むしろ、シルフィアが良いところで働いていると分かって安心したよ」
まあ、あのテオドールが少しでも瑕疵がある場所で君を働かせるはずがないとは思ってたけどな、と続けてにっこりと笑う。
その笑顔を見たルノーさん達もホッとした表情になって、武器を本来の用途に戻した。疑ってすみません、怪しい素振りをしていたようですまない、と双方が謝罪し合う。
……よかった。私の大切な人達が傷つけ合わなくて。
「では、お互い誤解が解けたところでランチを食べさせてもらえるだろうか」
「ハイッ」
お兄様がおどけたように首を傾げて言うと、ルノーさんがどうぞと扉を開けてチェレステさんがモップを持って先導してくれる。
「常々ここの食事は美味いと思っていたが、シルフィアと一緒に食べると最高だな!」
お兄様が食堂に居て、目の前で豪快にパンとお肉を口に運んでいる。お城ではあんなに上品に食べるのに、今は街の人達と変わらぬ雰囲気だ。
ギリギリで来たのはこちらだから気を遣わないでくれ、とお兄様が言ってくれたので、私達も看板をしまい、賄いを食べることになった。せっかくだからとチェレステさんが私の分をお兄様と同じテーブルに出してくれ、お兄様が大喜びしている。
……お兄様もテオも、私と食べると美味しいって言ってくれるけど、他の人と何か違うんだろうか?
離れたテーブルでワイワイと同じ物を食べている三人をこっそり眺める。
「どれだけおいしい食事でも、嫌いな奴と食べれば不味く、気が塞いでいると味がせず、好ましい相手と食べれば何倍にも美味くなる、ということだ」
口に出していないのに、答えをもらってしまった。
「お兄様もテオみたいに私が考えていることが分かるのですね」
「……まあ、顔に出てるからな。公爵夫人になるには直したほうがいいが、我々としてはそのままでいてほしくもある、悩ましい所だ」
「それは大丈夫です。お母様が社交の時だけ感情を出さないようにすればいいのよって」
「そりゃ、母上はそれが可能なのだろうが、シルフィアは出来るのか?」
「練習中です!」
「……そうか。頑張れ」
お兄様は何か大きな物を飲み下したような顔をしながら励ましてくれた。
もしや、お兄様の頼んだ物に私の切った大きなジャガイモが入ってたかな?
ごちそうさまでした、と手を揃えお兄様の分もまとめて食器を片付ける。
「シルフィアは週に2回ここで働いているんだったな。またその日に合わせて来よう」
「お兄様、そんなに来ても大丈夫なのですか?」
「両親にはズルいと言われるかもしれないが、仕事上は問題ない。街の見回りついでの昼食だ。もしかしてシルフィアは嫌なのか?」
「いいえ、私は嬉しいですよ!」
「それなら問題ないな」
笑顔全開で手を振って帰っていくお兄様を見送る。
「テオドール様は来られませんでしたね」
後ろにいたルイーゼが残念そうに言って私を店内へ促した。
「テオはお勉強が最優先ですからね!」
元気よく答えておいて、そっと学院へ通じる街角を振り返る。
……やっぱり、いない。来る約束はしていないし、きっと忙しいんだ。…………久しぶりにお友達と会って私を忘れているのかもしれないけど。
なんだか胸のあたりが重くてもやもやする。なんでかなあ?
その後、ルイーゼと食堂の片付けをして少しだけ夜の仕込みを手伝い、夕飯のおかずを分けてもらう。
「シルフィア様、テオドール様のお好きな料理を頂けてよかったですね」
「はいっ、テオと一緒に食べるのが楽しみです!」
もしかしたら、テオももう帰宅しているかもしれない。ワクワクしながらアパートメントの扉を開けると、目の前にウータさんとフリッツさんがいた。
「あっ、フリッツ、おかえりなさい!……テオは上ですか?」
予想が当たった、と嬉しくなって二段飛ばしに階段を上がりかけたところでフリッツさんが気まずそうな声を出した。
「すみません、テオドール様は新学期早々、先生方とお話をしておりましたら片付けねばならないことが増えてしまいまして、夕食は学院で済ますそうです。ですから、シルフィア様はテオドール様を待たずに夕食を召し上がったら先に休んでいてくださいと伝言です」
…………え? テオ、いないの? ご飯も一緒に食べられないし、夜遅くまで帰って来ないってこと? 昨日も恒例の学院の夜会に行っていたから、一緒に夕食を摂れなかったのに。
色々な感情が押し寄せてきて、一瞬、言葉に詰まる。目線を上げれば、フリッツさんもウータさんも気の毒そうな複雑な顔で私を見ていた。
ここは平気なふりしないと!
くっと顔に力を入れて笑顔を作る。
こういう時にもマナーレッスンって役に立つんだ。
「わかりました。テオには……ええと、帰って来なくても私は全然平気ですので、こちらのことは心配しないでしっかり勉強してきてください、と伝えてください」
私としてはにっこり笑ったつもりでいたけど、上手くできてなかったらしく、フリッツさんが渋い顔をしていた。
……うーん、どんな時でも笑顔になれるよう、もっともっと練習しないと。今度マナーの先生にコツを聞いてみようかな。
そう、テオがいなくても私は大丈夫! ウータさんもルイーゼもいるもの。
それなのに、夕食は味がしなかった。ルノーさんの料理だから、うんと美味しいはずなのに胃に無理やり詰め込むようで、あんまりたくさん食べられなかった。
……これってお兄様が言っていたように気が塞いでるからなのかな? 気が塞ぐってこんな風に身体の中が重苦しいんだ。
その後も何もする気が起きなくて、私は早めに寝室へ行った。
……寝てしまえばこの状態から抜け出せるし、起きたらきっとテオがいるはずだから。
だけど、ベッドに入って目を閉じてみても眠れなかった。しばらく考えて壁際の棚にいるウサギさん達を連れてきて一緒に寝てみたものの、グルグルと嫌な思い出が頭の中を回るだけでちっとも眠れなかった。
なんだかずっとお腹の上辺りが重たくて、テオに会いたいって思っちゃダメだって考える度にそれが段々硬くなって、喉まで何か詰まっているような感じになってきた。
……テオ、まだかな。
フラフラとベッドを出て窓の外を見る。もう遅い時間だと思うのに、眼下の通りには少なくない人が行き交っている。
窓ガラスに額をつけてじっと見ていても、テオもフリッツさんも現れなかった。
テオ、なんでこんな遅くまで帰って来ないのだろう。もしかして、急に私のことが嫌いになっちゃったんだろうか? それとも、もっといい人に出会って私を置いてどっかに行っちゃったとか。
どんどん怖い想像が膨らんできて耐えられなくなった私は、ウサギさん達を抱いたまま、そうっと廊下へ出た。
二階の自室にいるルイーゼや、一階に住んでいるウータさん夫婦と護衛の人達にバレないよう、抜き足差し足で階段を降りて、玄関前の一番下の段に座る。
ここにいたら一番にテオに会えるはず。テオに会ったらきっとさっきの怖い想像なんて吹き飛ぶに違いない。
アパートメントの中は静まり返っていて、私はここにずっと一人きりのような気がしてきた。
……テオに会ってから今までのことが全部夢だったらどうしよう。ううん、そんなはずはない。あの幸せは幻なんかじゃない。
その証拠であるお義母様からもらったウサギさん達をぎゅううっと抱きしめながらテオの帰りを待った。
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