清少納言 春来たり

月野さい

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第三章 日常の憧憬

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 「ねえ、十六夜」
清少納言は十六夜に声を掛ける。
「んー?」
「どうやったら、平安時代に戻れるかな」
十六夜は斜め上を見上げる。そして言った。
「気まぐれ」
「気まぐれって…」
小納言は少し引いているが、十六夜は意外と真剣な顔だ。
「神様の悪戯、みたいな?私はそんなの信じていないけど、そういうの結構あるらしいからね」
「悪戯……」
小納言は顔を少ししかめる。
(定子さま…私は無事平安時代に戻れるのでしょうか)
小納言は心配するような表情になる。
…俺はその様子を見ている。
…何とも言えない。
「…………おっと」
そうだ。今日は、定期的に十六夜の廃病院を見に行く日だ。その前に、一度総理に声を掛ける。
イヤホンで許可を得る。
「総理。重要人物番号517-AC5239乙・人物名・十六夜の監視に行きます」
暫くすると、声が聞こえた。
『ああ。行きなさい』
「了解しました」
俺は足早に部屋を出た。

 高級なスポーツカーをかっ飛ばす。十六夜の廃病院はかなりの森の中だ。
運転している間も小納言と十六夜の会話は聞いている。

「今日、あのエージェントが来るから」
………十六夜の声。
気付かれていたか。

「そうなの?奥之浦さんが?」
「うん。定期的の見回りらしいよ」
十六夜が「やれやれ」と呟いたのが聞こえた。何処まで知っているのか。

「だよね?エージェント」
それは間違い無く、俺に話しかけていた。
一応、こちら側はからも応答は出来る。万一の事があるかもしれないから。
「…そうだが、お前はどこまで知っている?」
俺はゆっくりと答える。
「どこまでもさ。政府の仕組みは頭に叩き込んであるからね」
十六夜が偉そうに言った。
気付けば、廃病院は目の前だ。
俺は何時も裏口から入る。鍵は開いている。
「俺だ。入るぞ」
「エージェント、問題」
「急に何だ」
小納言は目を丸くして驚いている。
「ノーベル賞を受賞した日本人は何人も居るが、ノーベル文学賞を…」
「知らん」
俺は強引に十六夜の言葉を遮る。
「あはは……」
小納言が笑う。と、その時だった。

清少納言が、

十六夜と共に。
いや、消えたのでは無い。

その状況を俺は瞬時に理解した。
…俺はその場を暫く見ていた。そして、戻って行く。

「ーー清少納言、現場から失踪」








「……おお」
十六夜と清少納言は、今……
平安時代にワープして来た。
小納言は、驚いて瞬きも忘れていた。

この話はこれでお終い。
だが、物語は続く。
またのお越しを。



  ーーーーーーーーーーーーーー
《説明》
完結しました。と言っても、次作があります。(十六夜が平安時代にいるままだったら可笑しいですからね!)
しばらくしたら投稿しますが、なんか投げやりな感じで終わらせてしまい、申し訳御座いません。
ではまた、本作を宜しくお願いします。
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