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霧彦《きりひこ》
【自作】悪人成敗
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阿諛は、その言質を待っていた。
念押しの意味も込め、力強く抱きついておく。
「おぢさま優しいっ、他の人とは全然違う……もっと一緒に居たい」
「阿諛ぅ……お……たから……」
「そうでしょう? ーー匪躬(ひきゅう)。
おたからを守る為には、野盗なんか滅ぼさなきゃ♡」
✦
「おかしらー、ちょっといいっすか? うわああ!!」
そこへ最後の一人となった、野盗の手下がやって来た。
辺りは一面、血の海だ。
背を向けて走り出したのもつかの間、
すぐに匪躬から背中を袈裟斬りされて、野盗仲間のもとへ旅立った。
「これにて一件落着。都への近道は平和となった。
ところで、おぢさま。
昔は結構ブイブイ云わせてたよね?
端々の言葉遣いで分かる」
✦
阿諛は、匪躬を調髪して身なりを整えた。
それから共に、連れ去り場所の屋敷へと戻った。
ーー通りすがりの匪躬が、野盗をすべて手打ちとし、阿諛を救出したという筋書きで。
門客は、知らせに屋敷から走り出て、更に驚いて声を上げた。
「まさかあなたは蒿雀氏(あおじし)の――
勁槍(けいそう)将軍!?
以前出奔して行方知れずになった……?
阿諛、いったいどこで知り合ったんだ」
「なんだお前、おたからとはどういう関係だ」
「匪躬、この人はただの兄弟子さん。
そうですよね? 門客」
「そうだな、……残念ながら師匠はとうに亡くなってしまった」
(はなからどこにもいないがな)
✦
阿諛は連れ去り後の経緯を聞くと、地団駄を踏んだ。
「傅役め。あんな冷血漢、旦那さますら失格だ。
妾奉公を辞職がてら、一発殴る」
「そりゃあいい♪ 阿諛ぅ、某と都へ!」
「ありがとう! おぢ大好き♡」
常識を知る門客はひとり、危機感を抱く。
このおぢは、かつて都に武勇を轟かした男ーー
放って置くと、要人暗殺にまで発展しかねない。
「待て、私も同行する」
✦
三人は都へ到着し、
傅役の動向を探ったところ、
盛り場に出入りしていることが判明した。
彼もまた一青年。
苦労続きの小寿林氏から出て、ひとときの都。
盛り場での夜遊びは、さぞ楽しかろう。
阿諛は、正面からすれ違いざまに声をかけた。
「クソ旦那、覚悟っ」
傅役は、むこう脛を蹴飛ばされ、油断も相まって即転倒。
地面に肘をついて、阿諛を見上げる格好となった。
「なんだつまらん。まだ生きていたのか」
「三行半って、知ってる?
帰って失脚しろ! この逃亡犯💢」
念押しの意味も込め、力強く抱きついておく。
「おぢさま優しいっ、他の人とは全然違う……もっと一緒に居たい」
「阿諛ぅ……お……たから……」
「そうでしょう? ーー匪躬(ひきゅう)。
おたからを守る為には、野盗なんか滅ぼさなきゃ♡」
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「おかしらー、ちょっといいっすか? うわああ!!」
そこへ最後の一人となった、野盗の手下がやって来た。
辺りは一面、血の海だ。
背を向けて走り出したのもつかの間、
すぐに匪躬から背中を袈裟斬りされて、野盗仲間のもとへ旅立った。
「これにて一件落着。都への近道は平和となった。
ところで、おぢさま。
昔は結構ブイブイ云わせてたよね?
端々の言葉遣いで分かる」
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阿諛は、匪躬を調髪して身なりを整えた。
それから共に、連れ去り場所の屋敷へと戻った。
ーー通りすがりの匪躬が、野盗をすべて手打ちとし、阿諛を救出したという筋書きで。
門客は、知らせに屋敷から走り出て、更に驚いて声を上げた。
「まさかあなたは蒿雀氏(あおじし)の――
勁槍(けいそう)将軍!?
以前出奔して行方知れずになった……?
阿諛、いったいどこで知り合ったんだ」
「なんだお前、おたからとはどういう関係だ」
「匪躬、この人はただの兄弟子さん。
そうですよね? 門客」
「そうだな、……残念ながら師匠はとうに亡くなってしまった」
(はなからどこにもいないがな)
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阿諛は連れ去り後の経緯を聞くと、地団駄を踏んだ。
「傅役め。あんな冷血漢、旦那さますら失格だ。
妾奉公を辞職がてら、一発殴る」
「そりゃあいい♪ 阿諛ぅ、某と都へ!」
「ありがとう! おぢ大好き♡」
常識を知る門客はひとり、危機感を抱く。
このおぢは、かつて都に武勇を轟かした男ーー
放って置くと、要人暗殺にまで発展しかねない。
「待て、私も同行する」
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三人は都へ到着し、
傅役の動向を探ったところ、
盛り場に出入りしていることが判明した。
彼もまた一青年。
苦労続きの小寿林氏から出て、ひとときの都。
盛り場での夜遊びは、さぞ楽しかろう。
阿諛は、正面からすれ違いざまに声をかけた。
「クソ旦那、覚悟っ」
傅役は、むこう脛を蹴飛ばされ、油断も相まって即転倒。
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