【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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サルヌリ朝

【自作】温熱

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あやぎり朝では、血は証。
命ある限り、当たり前に備わるもの。
血染めの衣服は日常の一部、恥ではない。

あやぎり朝・霧越京宮殿。
長上の留守中、霧彦(きりひこ)は、
ライバル媛・杼媛(とちひめ)を訪ねた。





杼媛は、対サルヌリ朝の防衛戦力トップ、刺羽氏(さしばし)直系の孫娘。

対して霧彦は、長上のーー
生き別れ弟・靉(あい)の、
その妻・しせらの、
唯一の弟という出自。

霧彦が市井から宮殿に呼ばれたのは、たったこれだけの理由。

これ以外にも一応、霧彦は功績がある。
長上の健康問題ーー拒食傾向の対処療法を、
幼い霧彦が思いつきで口走った結果、

靉から吐き気止め坐薬投与✨!
霧彦のウルウル~😿食べてよ~💧攻撃により、
だいぶ回復したのだし。





杼媛は、普段と違って血を流し、簡素な湯帳に身を包んでいた。
その手には、湯桶。

「ムムム、霧彦。
 なにをしにいらっしゃいましたか?
 あたくしは、腹痛対処に
 今から温泉でひと泳ぎするので、
 大っ変忙しいのです♨」

「杼媛が、本来なら長上の正妻格という噂は、
 まことですか?」

杼媛は、霧彦を無視して湯殿へ出向いた。
霧彦は、勝手について行く。

「前王朝・かはそに朝の宗女の座は、杼媛が受け継いだのでしょう?」

杼媛は、スイスイと平泳ぎ。

「そのとおり😤!
 ねえねの後継者は、このあたくし。
 長上は、その後見人なのだ♡」







この類の腹痛は、ヒイナにとって未知の領域だ。
従者女は、火鉢を焚いた。
下流の川べりに転がる磁石石を拾い集め、火で炙ってヒイナに渡す。
ヒイナは布越しに、それを抱きかかえる。

これから一生、この痛みを抱え、
ヒイナは生きていかなくてはならないのか。

「なあ従者……ヒイナは、ちっとも嬉しくない」




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