【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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管媛《くだひめ》

【横文字推奨】お告げ

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 機織小屋は、いつもより少しだけ静かだった。
 杼媛(とちひめ)――本名・せうびん英賀手(せうびんのあがで)は、

 機の前に座り、規則正しく杼(ひ)を往復させていた。  
 糸が鳴る音だけが、陽だまりの中で心地よく響く。
 そこへ、身軽な足音が近づいてきた。

「ねえ、英賀手♪」

 管媛(くだひめ)――またの名を蒿雀亜久里(あおじのあぐり)が、
 侍女を伴い、ニコニコと機織小屋に顔を出した。  
 いつものように、悪戯っぽい笑みを浮かべて。

「なんです管媛? あたくしは忙しいのです」

 杼媛が少しだけ顔を上げた瞬間――

 ぷに🫵

 管媛の指が、丸っこい杼媛の頬を軽く小突いた。

「ひぇっ!?」

 杼媛の肩がビクっと跳ねる。

「なにをなさるのです💢」
「まだまだ初心な英賀手♪ カワイ~♡」
「うるさい! 管媛はいつもいつも……!」

 杼媛がぷーっと頬を膨らませる。  
 両手を握りしめて、プンプン٩(๑`^´๑)۶
 その姿は、どう見てもリス🐿️だった。

 だが次の瞬間――

 杼媛の体が、フッと傾く。

「英賀手?!」

 管媛は、驚愕した。
 杼媛は、機の前に座ったまま、前のめりに倒れる。  
 糸が切れて絡まり、杼は床に落ち、乾いた音を立てる。
 機織小屋の中は、一瞬で騒然となった。
 管媛は、傍に控える侍女に鋭く命じた。

「医女を早く!」

 ✦

 長上は知らせを受け、杼媛の自室へと駆けつける。  
 杼媛は既に、彼女自身の寝台に横たえられていた。
 凄腕医女が脈を測り、眉を寄せている。

 ――と、

 杼媛が、ガバっと上体を起こした。
 瞳は妖しく光り輝き、声も普段の調子ではなく、  
 どこか遠く、深くから響くような、
 一度聴いたら忘れられない声だ。

「青二才を追放せよ!」

 その神託で、部屋にいた全員が凍りついた。
 長上も、管媛も、医女も、誰もが言葉を失い――
 杼媛の、はるか遠くを眺める眼差しを注視した。

 そしてその「青二才」が誰を指すのか、  
 即座に分かる者も、分からない者も、  
 ただ静かに、息を呑んだ。

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