【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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管媛《くだひめ》

【自作】激痛

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蒿雀とは、送り雀。
夜道で送り狼を呼ぶ魔物。
蒿雀氏(あおじし)も同じく、足りない武芸を補うために、
かはそに朝一帯から、
広く腕に覚えのあるつわ者どもを集めて雇う。

なぜなら蒿雀氏は、長寿で子沢山。
だが気質的には穏和傾向。
黒曜石の一大産地・血盥渓谷を本拠地としたのがーー
ある意味では、不幸のはじまりはじまり~♪




長上の懐刀・匪躬も、かつてはその一人。
蒿雀氏のジジイこと、現在に至るまで領主を務めるーー
驚異的長寿老人は、アイツ仙人じゃね?疑惑をものともせず、親戚関係を整えた。

傭兵将軍・匪躬には、
ジジイの兄弟の娘を、妻女として嫁がせた。
結果は、諸事情により匪躬出奔。離縁成立。

元妻女は医女となり、知り合った軍医と再婚。
匪躬に世話を頼まれた、戦災孤児の兄妹ーー
兄カンカ(のちの軍医)と、
妹タマリス(のちの鈴媛)の二人を、
養父母として、立派に育て上げた。



青二才はーージジイにとっては、ひ孫に当たる。

生涯現役ジジイは、いつまで経っても領主。
ジジイの跡取りはーー
ジジイの息子どころか、
ジジイの孫まで余りまくっているのだから。
ひ孫なんて、言わずもがな。

そして亜久里(あぐり)。
亜久里は、言わずと知れた蒿雀氏の才媛。
ジジイの兄弟の孫娘。
現代ではちょっと遠いがーー
古代ではれっきとした親戚だ。
ちなみに亜久里は、ジジイの兄弟の娘である、
匪躬の元妻女の姪でもある。



亜久里には、兄だけが沢山居た。
姉妹はひとりも居ない。

そんな亜久里は、従姉妹たちのたわいのない、
ありふれたお喋りに、あこがれを抱いた。

従姉妹たちは、二人で都のひそかな名店を訪れ、珍しい反物を見定める。
姉はこれが良いと選び、妹と取り合いっこ。
結局2番手の反物も買い、布地を半々で分ける。
姉妹はコツコツと内職し、互いが仕立てた衣服を褒めそやしーー
お揃いで、また都に繰り出すのだ。

「いいなあいいなあ!
 我は結婚したら、娘がほしい♪」





だが亜久里の望みは、叶わなかった。
青二才との初夜で、激痛にのたうち回る。
青二才が、いわゆるテクなしだからではない。

古代の亜久里たちには知る由もないが、
亜久里の激しい腹痛や吐いて寝込む程の体調不良はーー

現代でいう、
プロスタグランジン受容体が原因だ。
これは、治療でどうこうなるものでもない。
単なる体質なのだ。

「それでも、一人くらいはがんばろ……」

亜久里は土気色の顔で、悲壮な決意を固めた。
つわりはひどく、精神も危うく、毎日泣き叫ぶ亜久里。
ようやく一人息子が産まれたときは、喜びよりも安堵がまさった。
青二才も大号泣。

「亜久里! 命が無事で、ほんとうによかった…
 もう俺達夫婦には、この子で十分だ」

蒿雀氏のジジイ領主も頷く。

「当たり前じゃ! 青二才だけでは、いくさになど出せぬ!」

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