【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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ごめんねぇぇ長上!! 昔の男なんか今すぐ始末するから……!そこをどいてぇ!!

正義感 ⚠️虐待に関する内容が含まれます⚠️

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 人は己の正しさ、道義を確信したとき、いくらでも残忍になれるのだ。

 その相手が咎人であれば、なおさらだ。


 ✦


「放火犯を更生させる!!」

 傅役(のちの補佐役)は、力を込めてそう語る。
 傍らの阿諛(のちの長上)は、力なく頷く。

 傅役(ふえき)とは本来ーー
 異父弟の幼君領主・しつりの傅育業務を担当する役職だ。

 だが。

 彼ら異父兄弟の母・幽鏡の死因は産褥死。
 傅役はしつりを、陰で肉塊呼ばわりした。
 しつりもまた、傅役に身の危険を感じ、
 普段は没交渉そのものだった。


 ✦


 傅役は他に、牢と刑場の管理を担う刑部(ぎょうぶ)職も兼任していた。

 ある日傅役は、咎人を入手した。
 自身の乳母からの、たっての要望。

「お願いだよ……あの子をどこかへ預けておくれ!」

 それは、乳母の夫が耕作地から連れ帰った放火犯。
 母・幽鏡の命日に現れた名無し。
 傅役はーーそいつに、阿諛(あゆ)と名付けた。

「死罪を逃れたお前は、俺が更生させてやる」  


 ✦


 朝は牢を見学しながら、白粉稽古。
 阿諛を牢に連れ込み、囚人に死刑宣告させる。
 刑場に出向き、死にたてホヤホヤの生首に、白粉塗り練習。

「お前も美しく死ねるように」

 傅役はそう言いながら、阿諛の頬にも白粉を引いた。
 阿諛の手つきは震えている。

「これが更生だ!!」  


 ✦


 昼間は延々と処刑場見学。
 並行して、へつらい訓練。

「放火犯の末路を見よ」  

 阿諛を処刑に立ち会わせ、最前列で磔刑を見せてやる。

 ぶっとい杭が打たれた両手のひら、
 ザクザクと刺される黒曜石の鏃。
 それでも致命傷には至らず、足元の薪に火が焚べられる。

「己の咎から、目を逸らすな」

 お次は斬首刑。
 最期に暴れて逃走を図るとは、往生際の悪い。
 傅役手ずから一刀両断。

「お前の代わりに処刑された父親みたいだなあ」

 黙りこくる阿諛。
 傅役は、その口に指を突っ込む。

「俺にへつらえ。毎日感謝しろ」

 泣きながらえづく阿諛。

「これで更生する!!」  


 ✦



 夕方。ようやく調髪と美の武器教育。

「美は武器だ。お前も美しく、しとやかに」  

 傅役は、阿諛の髪を無理やり梳いて母・幽鏡のかんざしをさす。

「もっと女みたいに可愛くしてやる」 

 傅役はそう言いながら、激しめのボディタッチ。
 抵抗する阿諛には一言。

「更生のためだ!!」  


 ✦


 夜は、傅役がいちばん重要視する実力行使。

「これが最終の更生だ!!実力行使で生まれ変われ!!」  

 阿諛を寝台に押し倒し、「痛い? これで罪が消える!!」
 と言いながら実力行使。

 阿諛が絶叫しても「更生!!更生!!」 

 毎夜「将来は俺の妾になれ!!」と、怒鳴る殴る蹴る。


 ✦


 深夜。添い寝して、ようやく長い一日が終わる。

「更生完了だ……おやすみ」  

 阿諛は気絶。
 傅役は、汗と涙でぐちゃぐちゃの阿諛を抱きしめて、
 母の死以来、初めて感じた心地よさと共に、穏やかに眠る。

「明日も更生するぞ!!」  



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