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お風呂
しおりを挟む東雲がテキパキと着替えとタオルを準備し、シャンプーの場所を教えてくれる。
「…わかった、ありがとお」
「いえ……では私はドアの前で待機しておりますので、何かございましたらお声がけ下さい」
服を脱ぎ、シャワーを全身に浴びる。
3日に1度、夜遅くに監視の人と一緒に来てたから、こんな朝から浴びるのは初めてで何だか気持ちがいい。
シャーっと浴び終わり、ゆっくり浴槽へ浸かる。
そういえば、東雲のことまだ何も知らないなぁ...
「あの、しおおめはどこからきたの?」
僕のいきなりの質問に東雲は嫌な顔せずすんなりと答える。
「フランスのパリから参りました」
「ぱり……じゃあええと、としは?」
「今年で20になります。坊ちゃんとは5つ程離れておりますね」
「5つ……えと、じゃあ、どうしてぼくのところへきたの?」
東雲は僕のことどのくらい知ってるんだろう…
僕の昔のこと……知ってたりするのかな
「どうしても守りたかったから…ですかねぇ。私の主人、初めての主人、こんなに時間がかかってしまいましたが」
目の前がぼんやりしてきて、頭が暑い。
クラクラしてきて東雲の最後の答えが聞き取れず、そのまま意識を手放した。
「やれやれ、手のかかる坊ちゃんだ」
少し湯の揺れが大きく感じ、開けるとやはり逆上せて沈みかけていた。
ザバァッと浴槽から抱き上げ体を拭いていく。その時に体に傷がないかもチェックしたが見当たらず、ホット息を吐く。
「……なんで来たの、か」
その質問に一瞬言葉が詰まった。
何年経とうが忘れられなかった。
あの強気でどこまでも自信家でいつも笑っていた小さな私の主人……
ソッとベッドへ下ろし、軽く額にキスをする。
「良い夢を……日向」
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