日日是好日

葉月よる

文字の大きさ
上 下
5 / 13

お風呂

しおりを挟む


東雲がテキパキと着替えとタオルを準備し、シャンプーの場所を教えてくれる。


「…わかった、ありがとお」

「いえ……では私はドアの前で待機しておりますので、何かございましたらお声がけ下さい」


服を脱ぎ、シャワーを全身に浴びる。
3日に1度、夜遅くに監視の人と一緒に来てたから、こんな朝から浴びるのは初めてで何だか気持ちがいい。
シャーっと浴び終わり、ゆっくり浴槽へ浸かる。

そういえば、東雲のことまだ何も知らないなぁ...


「あの、しおおめはどこからきたの?」


僕のいきなりの質問に東雲は嫌な顔せずすんなりと答える。


「フランスのパリから参りました」

「ぱり……じゃあええと、としは?」

「今年で20になります。坊ちゃんとは5つ程離れておりますね」

「5つ……えと、じゃあ、どうしてぼくのところへきたの?」


東雲は僕のことどのくらい知ってるんだろう…

僕の昔のこと……知ってたりするのかな


「どうしても守りたかったから…ですかねぇ。私の主人、初めての主人、こんなに時間がかかってしまいましたが」


目の前がぼんやりしてきて、頭が暑い。
クラクラしてきて東雲の最後の答えが聞き取れず、そのまま意識を手放した。









「やれやれ、手のかかる坊ちゃんだ」

少し湯の揺れが大きく感じ、開けるとやはり逆上せて沈みかけていた。

ザバァッと浴槽から抱き上げ体を拭いていく。その時に体に傷がないかもチェックしたが見当たらず、ホット息を吐く。


「……なんで来たの、か」


その質問に一瞬言葉が詰まった。

何年経とうが忘れられなかった。

あの強気でどこまでも自信家でいつも笑っていた小さな私の主人……

ソッとベッドへ下ろし、軽く額にキスをする。

「良い夢を……日向」















    
しおりを挟む

処理中です...