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蓮の謎

嘘つき狼・1

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蓮に遅れて一階で待つ紅の元に行き付いていくと一階の長い廊下をまっすぐ通ると二つの分かれ道の奥に男湯と女湯と書かれた暖簾が飾られ目の前に立つ紅が立ち止まり虎牙の方を振り向くとにっこりと笑いかける。

「女湯は右になります。上がり次第先程の台所にて私をお呼びください。蓮さんには上がり次第ここで虎ちゃんを待つよういっておりますので心配無用ですよ?ふふ…」

いやいや、心配だらけなんですけど!?
早く上がらなかったら後で蓮に怒られる…
あの蓮を待たせるなんて真似やろうものなら馬鹿しかいないだろう…

紅の一言にお風呂を楽しみだった心が急激に冷め青ざめる。

「あら、相当お寒いのですね?早く湯船に入って身も心も暖かくしなければお風邪を引きますわ…」

紅さんって天然入ってるわ…絶対

ニコッと計算のない笑顔に心の中で呟く。

「あ…えっと、お言葉に甘えてお風呂頂きます…」

「はい!ごゆるりと…」

紅はお淑やかに頭を下げるとゆっくりとした足取りで元に戻っていった。
その様子を見送り見えなくなったと同時に走って女湯にかけこむ。

急がないと私の身が危ないっ…

女湯と書かれた暖簾を潜ると誰も人はいなく楠木で作られた脱衣場に藁で作られた複数の籠と着替えと思われる着物と木綿の布が何枚か一緒に棚に入っていた。

「未来での温泉旅館の脱衣場と少し似てるかも…」

一つの籠を手に取り脱いだ衣服を畳んでいれると木で作られた扉を開ける。

「うわぁ…バスタブ大きい!」

未来でいつも入っていたバスタイムよりも大きな木で作られたバスタブに興奮すると湯気が立ち込めるお湯に右手だけ浸かる。

「…あったかい」

辺りを見渡すと木で作られた桶や椅子に微かに香る楠木の香りが鼻をくすぐる。

「は!?やばい急いで入ってあがらないと…」

初めて見る昔のお風呂に興奮してしまっていた気持ちを鎮め慌てて体や髪を洗い大きなバスタブにゆっくりと浸かる。

「今日は色々あったな…まるで現実じゃないみたい。こんな私が時代劇みたいな昔の世界にいるなんて…」

小さく両手でお湯を掬い見つめながら今日あった出来事を思い返す。

「私がこの世界に飛ばされたのには何か理由があるのかな?それに、蓮との出会いも…」

そう考えると頭の中にある言葉が過ぎる。

”運命”

もし、その言葉の通りそれが私の運命なら何かしらそれ相応の理由があるのかもしれない…

「はぁ…考えると頭痛くなってきた。大体、こんな頭使って探偵みたいに考えるの向いてないんだよなぁ…私、考えるより先に行動だし!」

そう両手に小さく拳を作ると不安でしかなかった心が少しだけ晴れた気がした。

急いでお風呂から上がり脱衣場にて体や髪を拭き用意されていた着物に袖を通し髪用の手拭いを肩にかけ女湯と書かれた暖簾を潜り蓮の待つ分かれ道に向かう。
だが、時すでに遅し…イライラしている蓮が濡れた髪と上半身だけはだけた着物を着て待っていた。

「遅いっ!いつまで待たせてるんだ」

「うっ…」

予想通りの一喝に耳を塞ぎたくなる衝動を抑え体を縮こまらせる。

「だって…昔のお風呂なんて初めてで…」

「はぁ…もういい。早く飯にしよう…」

そう言うと蓮はスタスタと早歩きで紅が待つ台所に向かった。

「ま、待って!置いてかないで~」

慌ててはす蓮に追いつくと上半身裸という状態にまともに蓮が見れず周りの襖に目を向ける。

「おい、何であからさまに顔背けてるんだ?」

「へ?」

唐突に蓮から質問され視線が泳ぐとさらに眉間の皺が深くなる蓮の顔が見えた。

見れるわけないじゃん!私、男の免疫ゼロなんだよ!そりゃあ、父の上半身裸はいくらでも見てるけど親と他人は別というか…
それに、父より無駄に引き締まってるし鍛えられて筋肉あって色気やばいし…見れるわけない!

「むっ、無理なん…だも…ん!」

「は?何が?」

「うぅ…私、男の免疫ゼロでそういうの慣れてないの!」

真っ赤になって若干叫びに似た声で訴えると一瞬驚いた顔をしつつもすぐに獲物を見つけた時みたいな視線になり思わず一歩下がる。

何か嫌な予感する…

「へ~、慣れてないね…」

「な、何よっ!」

徐々に縮む蓮との距離に怯みつつもキッと睨みつける。
すると、蓮はフッと笑うと虎牙の右腕を掴み襖と襖の間にある板壁に押し付け長く逞しい腕で囲む。

「っ…」

「…免疫ないなら教えてやるよ?本物の男がどういうものか…」

「い、いいっ…」

蓮はゆっくりと顔を近づけると触れるか触れないかぐらいの距離になりさらに虎牙の真っ赤な薔薇のような淡い色の唇に近づく。

っ…キスされる!

思わず目を瞑ると予想していた感触はなく小さく蓮の笑い声が聞こえた。

あれ?

不思議に思いゆっくりと瞼をあけるとお腹を抱えて笑いをこらえる蓮がいた。

「えっ…」

「お前、素直すぎっ…ははははっ」

だ、騙されたー!!

「何?口づけでもされると思った?」

「うぅ…もう、知らないっ!」

真っ赤になりながらも騙された事に腹が立ち未だに笑いをこらえてる蓮を置いてスタスタ先に進む。

「おい、一人で行くと迷子になるぞ…」

その言葉にピタと足を止めると蓮の元に戻りはだけた着物を無理やり着せる。

「ちょ…何して…」

「ちゃんと着てくれないと私が困るの!」

キッと睨みつけすぐさま顔を逸らすと蓮の腕を取り再び台所に向かって歩き出す。
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