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小3で殺人鬼

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 喜びと束の間その続きはなんだろう

 「ふと」疑問に思えた瞬間だ

 この父親と母親は、いま急に大きくなったわけではないはずだ

 赤ちゃんの頃が存在した・・・・・・

 そう思うと自然と安らかな気持ちになれた

 そう、人は、最初から悪人ではなかった

 こんな親でも、いや、こんな親だからかも知れない

 過去があり、現在がある、そしてきっと未来もあるんだ

 これがシステムのはじまりだった

 運命というものがあるならば、穢れなき時代へ戻りたい

 人間としての自然な欲求だろうと思う

 それでも、変わらない日々が、繰り返された

 人間の苦痛というものが、存在するならば、

 それは、いまなのだろう・・・・・・

 それでも、生きていれば、何時かは変わると信じていた

 正直に言えば、そうとしか思えなかった

 システムとはとつぜん目の前に現れた

 人工知能の開錠だ

 知能はわたしを殺人鬼へと育て上げて行く

 花びらが美しいとか、動物が可愛いとか、

 そんな人生が送れるならば、最高だろう

 それこそ、驚嘆という風が吹き、緑一杯に囲まれた生活

 しかし、来なかったんだ・・・・・・

 そんな生活は実在しなかったんだ・・・・・・

 観るもの、聴くものは、大切だと聴いてはいた

 ホラーやサスペンスにのめり込むうちに、人が殺人鬼になる

 そんな統計はこの時代には、出ていなかった

 データが存在しないとは、致命的なことなんだ

 それを身をもって知るのは、遅かれ早かれ、訪れた

 肉体の筋力も大分マシになってきて、大人と刺し違える日

 そんなものを夢見ている子供は少ないだろう

 それでも、わたしには大切なミッションとなる

 そして運命の日・・・・・・

 わたしは小3にて、殺人鬼となった。

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