9 / 50
8.夜風と火照り
しおりを挟む
自室に戻り布団を被る。絆されそうになるたびに、過去の失恋がちらつく。どうせまた傷つくだけだと。どこかで、これ以上はダメだと警鐘を鳴らす。それでも、今日はおそらく結界は張れていないだろうという事を物哀しく思う。素直に受け入れられない自分が憎い。守られることに慣れすぎた自分にうんざりする。こんなに一人でいることが寂しいと思ったことはない。
到底眠れる気がせず夜風にあたりに行こうと外へ出る。すっかり暗くなった庭園には誰もいない。ガーデンライトは灯っているが限られる視界の中で見る景色は、まるで元の世界に戻ったように錯覚させる。ただ一つ、違和感を感じ花壇に近づいてみる。元の世界でもよく見かける花だ。ただ青い色は自然では咲かないと聞いた事がある。自分の常識がここでは通用しないことを再認識する。夜露に濡れる青い花びらがあまりにも綺麗で見惚れていると後ろから足音が聞こえる。
「一日に何回心配させれば気が済むんだ。」
突然声をかけられた驚きはすぐに安堵に変わる。振り返らなくても分かる、聞き慣れた声はアルベルトだ。
「ごめん。なんだか寝れなくて。慰労会は終わったの?」
「まだ飲んでるやつもいるが、私はもういい。こうやってナオトと話せる時間を作れたから結界を張っておいて良かった。」
「は?結界張ってたの?今日魔力使いすぎてフラフラしてたのに?」
「当たり前だろ。ナオトに何かあれば気が気じゃない。それに夕食のあと、部屋に二人で入っていたらと思うと・・・。」
昼間のことは俺が悪いけど、いつも毅然としてるアルベルトがあんなにフラフラになって顔色も悪くて、呼吸も苦しそうにしてたのに・・・
俺は、両手を伸ばしアルベルトの頬を包み固定する。お酒のせいかちょっと火照ってるけど、顔色は悪くない。呼吸も整ってるし、今は大丈夫そうだ。うん。
アルベルトは意表をつかれたように目を見開く。その後、直人の右手を掴み頬から離す。
「どういうつもりだ?」
「昼間あんなに体調悪かったのに、結界なんかで魔力使ったらだめだろ!俺だってアルベルトのことが心配なんだ!」
被せるように言うと、アルベルトはもう片方の手で俺の顎を少し持ち上げる。瞑色の瞳が近づいてくる。夜空のような瞳に魅入ってしまう。すんでのところでアルベルトの唇を手で覆い防ぐ。
「あっ、えっと嫌とかじゃないんだけど・・・。」
俺は、自分の感情をどう表せば良いのか分からず言い留まる。
「今は、その言葉だけで十分だ。過去の恋愛を引きずっていることはわかる。だからこそ遠慮はしない。私が全部塗り替えてやる。」
アルベルトは俺の左手のひらに口付けをし、にへらと笑う。
夜の庭園、まだ少し肌寒いはずなのに身体中がフツフツと火照って来るのを感じる。
到底眠れる気がせず夜風にあたりに行こうと外へ出る。すっかり暗くなった庭園には誰もいない。ガーデンライトは灯っているが限られる視界の中で見る景色は、まるで元の世界に戻ったように錯覚させる。ただ一つ、違和感を感じ花壇に近づいてみる。元の世界でもよく見かける花だ。ただ青い色は自然では咲かないと聞いた事がある。自分の常識がここでは通用しないことを再認識する。夜露に濡れる青い花びらがあまりにも綺麗で見惚れていると後ろから足音が聞こえる。
「一日に何回心配させれば気が済むんだ。」
突然声をかけられた驚きはすぐに安堵に変わる。振り返らなくても分かる、聞き慣れた声はアルベルトだ。
「ごめん。なんだか寝れなくて。慰労会は終わったの?」
「まだ飲んでるやつもいるが、私はもういい。こうやってナオトと話せる時間を作れたから結界を張っておいて良かった。」
「は?結界張ってたの?今日魔力使いすぎてフラフラしてたのに?」
「当たり前だろ。ナオトに何かあれば気が気じゃない。それに夕食のあと、部屋に二人で入っていたらと思うと・・・。」
昼間のことは俺が悪いけど、いつも毅然としてるアルベルトがあんなにフラフラになって顔色も悪くて、呼吸も苦しそうにしてたのに・・・
俺は、両手を伸ばしアルベルトの頬を包み固定する。お酒のせいかちょっと火照ってるけど、顔色は悪くない。呼吸も整ってるし、今は大丈夫そうだ。うん。
アルベルトは意表をつかれたように目を見開く。その後、直人の右手を掴み頬から離す。
「どういうつもりだ?」
「昼間あんなに体調悪かったのに、結界なんかで魔力使ったらだめだろ!俺だってアルベルトのことが心配なんだ!」
被せるように言うと、アルベルトはもう片方の手で俺の顎を少し持ち上げる。瞑色の瞳が近づいてくる。夜空のような瞳に魅入ってしまう。すんでのところでアルベルトの唇を手で覆い防ぐ。
「あっ、えっと嫌とかじゃないんだけど・・・。」
俺は、自分の感情をどう表せば良いのか分からず言い留まる。
「今は、その言葉だけで十分だ。過去の恋愛を引きずっていることはわかる。だからこそ遠慮はしない。私が全部塗り替えてやる。」
アルベルトは俺の左手のひらに口付けをし、にへらと笑う。
夜の庭園、まだ少し肌寒いはずなのに身体中がフツフツと火照って来るのを感じる。
42
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】ただの狼です?神の使いです??
野々宮なつの
BL
気が付いたら高い山の上にいた白狼のディン。気ままに狼暮らしを満喫かと思いきや、どうやら白い生き物は神の使いらしい?
司祭×白狼(人間の姿になります)
神の使いなんて壮大な話と思いきや、好きな人を救いに来ただけのお話です。
全15話+おまけ+番外編
!地震と津波表現がさらっとですがあります。ご注意ください!
番外編更新中です。土日に更新します。
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
【完結】ひかりのそばで、またあした
香澄京耶
BL
異世界に召喚された少年ヒナタ。
世界を救う存在として迎えられた彼は、王子セリアスをはじめとする人々との関わりの中で、少しずつ心を通わせていく。
※「ep15.5 こころの温度」 は規約上、ムーンライトノベルズ様のみの投稿になります。(他媒体でも公開中です)
※完結いたしました。
※ハッピーエンドを保証します。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
✻✻✻
2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる