絶対盟約の美少年従者(メイデンメイド)

あさみこと

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#027 メイド服を脱がさせて♡

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 翌日の放課後。
 僕は、一人で学園内の渡り廊下を歩いていた。美王先生からの理不尽な要求をどう断るか、考えがまとまらないまま、重い足取りで寮へと向かう。
 その時だった。
 ガション! ガション!
 背後から、複数の重い金属音が聞こえてきた。振り返ると、そこには、いつの間に現れたのか、五体の戦闘用ロボットが僕の退路を塞いでいた。
「な、なんだ、こいつらは!?」
 僕が狼狽える間に、ロボットたちは僕を完全に包囲し、その赤いカメラアイを、一斉に僕へと向けた。
『――ターゲット、七座晴人ヲ、確認。コレヨリ、実力行使ニ、移行スル』
 無機質な合成音声と共に、ロボットたちが一斉に襲いかかってきた。
「うわっ!」
 僕は咄嗟に身を翻し、それをかわす。幸い、ロボットの動きはそれほど速くない。だが、問題はその装甲だった。僕は近くにあった消火器を掴み、一体の頭部めがけて全力で殴りつけたが、ガン! と鈍い音が響くだけで、そのボディには傷一つついていなかった。
 殺傷能力は低い。だが、生身のままでは、いずれジリ貧になる。
 一体、誰が、何のために……?
 いや、今は考えている暇はない。こうなっては、仕方ない!
 僕は覚悟を決め、叫んだ。
「――メイド・アップ!」
 眩い光が僕の身体を包み込み、見慣れた黒と白のメイド服姿へと変身を遂げる。手には、二振りのナイフ。腰には、磁力で操る『双極』。
「行くぞ!」
 僕は、一体のロボットの懐へと潜り込むと、その関節部を狙い、ナイフで連続して斬りつけた。火花が散り、装甲の隙間を的確に突かれたロボットは、動きを止めてその場に崩れ落ちる。
「残り、四体!」
 僕は、残りのロボットから距離を取ると、腰の『双極』を抜き放ち、宙へと放った。
「これで、終わりだ!」
 僕の意志に応え、四本のナイフが、四方から、それぞれ異なる軌道を描いてロボットたちに襲いかかる。一体は頭部を、一体は脚部を。精密な遠隔操作によって、ロボットたちの弱点を同時に貫かれたそれらは、機能を停止し、次々と床に倒れ伏した。
「……はぁ、はぁ。なんとか、なった……」
 僕は、その場に膝をつき、荒い息を整える。一体、何だったんだ、今の襲撃は……。
 まあいい。とにかく、早くこの姿を解かないと、誰かに見られたら……。
 僕は、いつものように、変身を解除するイメージを頭に描いた。
 だが。
「……あれ?」
 何も、起こらない。
 もう一度、強く、イメージする。光に包まれ、いつもの制服姿に戻る、その光景を。
 しかし、僕の身体は、可憐なメイド服に包まれたまま、うんともすんとも言わない。
「うそ……だろ? なんで……!」
 焦りが、僕の心を支配する。こんなこと、今まで一度もなかった。
 何かが、おかしい。
 僕は、震える手でスマートフォンを取り出し、このギアの開発者である、ただ一人の人物に、電話をかけた。
『――あらあら、どうしたのかしら、晴人くん? そんなに慌てちゃって♡』
 電話の向こうから聞こえてきたのは、全てを見透かしたような、美王先生の楽しげな声だった。
「先生! 大変なんです! 変身が、変身が解けないんです!」
『あらあら、どうしたのかしら? プログラムに、何かバグでもあったのかなぁ?』
「バグって……! お願いします、何とかしてください!」
『うーん……』と、彼女はわざとらしく、少し考えるそぶりを見せた。
『原因を調べるには、あたしの研究室で、ずーっと、その姿のまま暮らしてもらうしかないかもねぇ♡ もちろん、あたしの身の回りのお世話をしながら、ね?』
 その言葉を聞いた瞬間、僕の背筋を、氷のように冷たい汗が伝った。
 デジャヴ。いや、これは、まさか――。
 僕の脳裏に、嫌な予感がよぎる。僕は、震える足で、倒したロボットの一体へと近づいた。そして、その残骸を、注意深く観察する。
 その、装甲の継ぎ目の、ほんの僅かな隙間に。
 それは、まるでデザイナーのサインのように、小さく、しかし、はっきりと刻まれていた。
 美王先生が仕込んだものだ、というその証拠となるマークが。
「………………はめられた」
 僕の口から、絶望の呟きが漏れた。
 完全に、一杯食わされたのだ。この襲撃も、変身が解けないのも、全て、あの人の描いたシナリオ通りだったのだ。
 その瞬間、まるでタイミングを計ったかのように、僕のスマートフォンから、悪魔の囁きが聞こえてきた。
『――ハルくぅ~ん?♡ これで、分かったでしょ?』
 その声は、どこまでも甘く、そして、どこまでも残酷だった。
『君の学園生活は、あたしに、完全に支配されてるってことが♡ ず~っと、この姿のままでいたくなかったら……分かるわよね?♡』
 僕は、もう、何も言い返せなかった。
 ただ、涙目で、降伏の言葉を口にするしかなかった。
「……分かりました! 分かりましたから、これを、解除してください!」
『よくできました♡』
 電話の向こうで、満足げな笑い声が響く。
 僕は、ひらひらと揺れるメイド服のスカートの裾を、忌々しげに睨みつけた。
 そして、この屈辱の元凶が待つ、彼女の研究室へと、全力で駆け出した。
 僕の、メイドとしての、新しい、そして、全く望んでいない日常が、今、始まろうとしていた。
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