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#044 収束へと向かう解
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二つの新たな光の参戦。それは人類の反撃の狼煙だった。
絶望的な物量と理不尽な法則の前にただ蹂躙されるだけだった戦場は、カノンが奏でる反逆のシンフォニーと、ギンコ・ビローバが示す不屈の黄金の輝きによってその様相を一変させていた。
『――全軍、再編成!』
カノンの支援によって九死に一生を得た軍場宗十郎の鋼のような声が、全軍へと轟いた。
『これより我々は最終作戦フェーズへと移行する!五つの光がそれぞれの役割を果たし、この神々の遊戯に終止符を打つのだ!』
その言葉と共に、人類最後の五機の特殊機体はまるで一つの生命体であるかのように完璧なフォーメーションを展開した。
それは神々の軍勢に一矢報いるための、人類の叡智と勇気の全てを結集した最後の陣形だった。
第一の光、シークェル。そして金剛・改部隊。
彼らの役割はただ一つ。デミウルゴスから今もなお無限に湧き出るセラフィムの群れを、可能な限りこの場に引きつけ続けること。アンファングたちが神の懐へと至るそのわずかな時間を稼ぎ出すための、血を流す『壁』となること。
『篝!オーディンの全リソースをカノンからの敵性情報パターンの処理に回せ!』
『言われなくとも、やってやるわよ……!』
シークェルはカノンがハッキングし混乱させたセラフィムの群れの中を再び突き進む。もはやそれは無謀な突撃ではなかった。真音が指揮する完璧な安全地帯を、軍場の神業的な操縦がトレースしていく。
『金剛・改部隊!弾を撃ち尽くせ!我々の後ろにはもう誰もいないと思え!』
一度は士気を砕かれたはずの金剛・改のパイロットたちもまた、最後の勇気を振り絞る。彼らはシークェルが切り開いた道を必死に守り抜いていた。
第二の光、ギンコ・ビローバ。
その役割はただ一体の敵……黒き巨人ジャッジメントをこの場に完全に釘付けにすること。その理不尽なまでの因果律攻撃から全ての味方を守り抜く、不動の『盾』。
『創磨!来るぞ、奴の最大出力の一撃だ!』
『……分かってる!斥力フィールド、最大展開!この黄金の葉一枚たりとも通すかよ……!』
ジャッジメントが放つ時空そのものを断裂させる漆黒の奔流。それをギンコ・ビローバはその身一つで受け止める。激しく火花を散らし、砕け散っては再生する。
それはまさに神話の光景。神の矛を人の盾が真っ向から受け止めていた。
第三の光、カノン。
その役割はこの広大な戦場全体の情報を支配し、セラフィムの指揮系統をハッキングし続ける戦場の『指揮者』。
『静海くん、敵の第二波、Bメロからサビに移行するわよ! もっと情熱的な不協和音をプレゼントして差し上げなさい!』
『は、はいっ!い、行きます……!』
真音が奏でる偽りの旋律がセラフィムのネットワークを内部から掻き乱し、飽和させていく。
そして、その三つの光が命を賭して作り出したただ一条の道。
そこを最後の二つの光が駆け抜けていく。
第四の光、エンデ。最強の『矛』。
第五の光、アンファング。最後の『鍵』。
『――行くぞ、物部君、琴吹君!我々に続け!』
蟹江教授の絶叫と共に、エンデはその禍々しい巨体をデミウルゴス本体へと向ける。
『紫京院教授!キメラ・システム最大!形態を突撃形態へとシフトする!』
『ええ!彼らに私たちの実力、とくと味わってもらいましょう!』
エンデの背部から昆虫の翅にも似た巨大な生体ウイングが展開される。それはロスト・エヴォルヴの細胞を極限まで進化させた究極の推進機関だった。
エンデとアンファングはシークェルが切り開いたセラフィムの群れの隙間を、一筋の光となって駆け抜けていく。
ついにデミウルゴス本体の目前へと到達した。
だがその前には、最後の防壁が立ちはだかっていた。
デミウルゴスの自己修復能力が生み出した、物理法則が凝縮されたかのような超高密度のエネルギーシールド。
『……ちぃっ!この壁を破らねば中枢へは……!』
エンデが剣で何度もシールドを斬りつける。しかし、その空間ごと断裂させるはずの刃ですら、その表面にわずかな亀裂を入れることしかできない。
その絶望的な壁を前に、人類は最後の、そして最も尊い決断を下す。
『――道は作ったぞ……行け、アンファング……!』
後方でセラフィムの群れを引きつけていた軍場の最後の声が響いた。
シークェルは残された全てのエネルギーを一点に集中。そして生き残っていた最後の金剛・改部隊と共に、デミウルゴスのエネルギーシールドへと特攻を敢行した。
凄まじい閃光。
人類の勇気の全てが凝縮されたその一撃は、確かに神の盾の表面にこれまでとは比較にならないほどの深い深い亀裂を刻み込んだ。
そしてシークェルはその役目を終え、大破。だがそのコックピットブロックは爆炎の中から確かに射出されていた。
『――創磨ッ!!』
昴の絶叫が響く。
シールドの亀裂も、デミウルゴスの驚異的な自己修復能力の前には瞬時に塞がってしまう。
そのコンマ数秒にも満たない好機。
それを結城創磨は見逃さなかった。
『昴!エネルギーを全て槍に回せ!』
『創磨、やるのか!?あれを使ったら……!』
『……道を開けるのが俺たちの仕事だ!……お前たちの夢想への道をな!』
ジャッジメントの猛攻を満身創痍で受け止め続けていたギンコ・ビローバ。その黄金の機体が初めて攻撃の咆哮を上げた。
背部のシェルが前方へと展開し合体。その内部から極太の巨大な槍が姿を現す。
『――行けェェッ!ガイア・スピアァァァッ!!』
創磨の魂の絶叫。
三重加速された超質量の一撃。それはもはや物理法則ではなかった。ただ純粋な破壊の意志。
黄金の槍はシールドの亀裂に寸分違わず吸い込まれるように叩き込まれた。
そして神の盾を物理的に粉砕した。
デミウルゴスの中枢へと至る最後の突破口が開かれた。
だがその代償は大きかった。全てのエネルギーを使い果たし、最大の防御手段を失ったギンコ・ビローバはジャッジメントの無慈悲な反撃の前に、その黄金の装甲を砕け散らせ沈黙した。こちらもまた、パイロットは無事に脱出していた。
『――よくやってくれた……!我が誇るべき友人たちよ……!』
蟹江教授が血を吐くような声で叫んだ。
開かれた突破口。そのわずかな時間。
エンデとアンファングがその中へと侵入する。
だが内部は、無数の自己防衛機構が蠢く悪夢のような空間だった。
『ここまでだ、若人たちよ!我々が見た夢のその先を、君たちの目で確かめてこい!』
「蟹江教授!?何を……!」
エンデはアンファングを庇うようにその前面に立つ。そしてその最後の力を振り絞り、ジェネシス・レクイエムをデミウルゴスのシステム中枢へと撃ち込んだ。
それは破壊のためではない。
その一撃は、デミウルゴスのシステム中枢とジャッジメントが鎮座する高次元空間、そしてアンファングが存在する現実空間を一時的に繋ぐ『扉』をこじ開けるための最後の鍵だった。
全ての力を使い果たし内部からの崩壊に巻き込まれたエンデは、その役目を終え光の粒子となって霧散していく。
「あっ……!教授が!」
「死なせはしない!」
その最後の光の中から二人の教授を乗せたコアユニットが射出され、アンファングの巨大な白い手にそっと包み込まれるように保護された。二人は気を失っているようだった。
そして最後に残ったのは、アンファング。僕らは全員の思いを受けて、今ここにいる。
始まりの機体は開かれた扉の向こう側へと、ただ一機、そして二人っきりで進んでいく。
その先にある情報の宇宙。
人類の存亡をかけた最後の対話の舞台へと。
絶望的な物量と理不尽な法則の前にただ蹂躙されるだけだった戦場は、カノンが奏でる反逆のシンフォニーと、ギンコ・ビローバが示す不屈の黄金の輝きによってその様相を一変させていた。
『――全軍、再編成!』
カノンの支援によって九死に一生を得た軍場宗十郎の鋼のような声が、全軍へと轟いた。
『これより我々は最終作戦フェーズへと移行する!五つの光がそれぞれの役割を果たし、この神々の遊戯に終止符を打つのだ!』
その言葉と共に、人類最後の五機の特殊機体はまるで一つの生命体であるかのように完璧なフォーメーションを展開した。
それは神々の軍勢に一矢報いるための、人類の叡智と勇気の全てを結集した最後の陣形だった。
第一の光、シークェル。そして金剛・改部隊。
彼らの役割はただ一つ。デミウルゴスから今もなお無限に湧き出るセラフィムの群れを、可能な限りこの場に引きつけ続けること。アンファングたちが神の懐へと至るそのわずかな時間を稼ぎ出すための、血を流す『壁』となること。
『篝!オーディンの全リソースをカノンからの敵性情報パターンの処理に回せ!』
『言われなくとも、やってやるわよ……!』
シークェルはカノンがハッキングし混乱させたセラフィムの群れの中を再び突き進む。もはやそれは無謀な突撃ではなかった。真音が指揮する完璧な安全地帯を、軍場の神業的な操縦がトレースしていく。
『金剛・改部隊!弾を撃ち尽くせ!我々の後ろにはもう誰もいないと思え!』
一度は士気を砕かれたはずの金剛・改のパイロットたちもまた、最後の勇気を振り絞る。彼らはシークェルが切り開いた道を必死に守り抜いていた。
第二の光、ギンコ・ビローバ。
その役割はただ一体の敵……黒き巨人ジャッジメントをこの場に完全に釘付けにすること。その理不尽なまでの因果律攻撃から全ての味方を守り抜く、不動の『盾』。
『創磨!来るぞ、奴の最大出力の一撃だ!』
『……分かってる!斥力フィールド、最大展開!この黄金の葉一枚たりとも通すかよ……!』
ジャッジメントが放つ時空そのものを断裂させる漆黒の奔流。それをギンコ・ビローバはその身一つで受け止める。激しく火花を散らし、砕け散っては再生する。
それはまさに神話の光景。神の矛を人の盾が真っ向から受け止めていた。
第三の光、カノン。
その役割はこの広大な戦場全体の情報を支配し、セラフィムの指揮系統をハッキングし続ける戦場の『指揮者』。
『静海くん、敵の第二波、Bメロからサビに移行するわよ! もっと情熱的な不協和音をプレゼントして差し上げなさい!』
『は、はいっ!い、行きます……!』
真音が奏でる偽りの旋律がセラフィムのネットワークを内部から掻き乱し、飽和させていく。
そして、その三つの光が命を賭して作り出したただ一条の道。
そこを最後の二つの光が駆け抜けていく。
第四の光、エンデ。最強の『矛』。
第五の光、アンファング。最後の『鍵』。
『――行くぞ、物部君、琴吹君!我々に続け!』
蟹江教授の絶叫と共に、エンデはその禍々しい巨体をデミウルゴス本体へと向ける。
『紫京院教授!キメラ・システム最大!形態を突撃形態へとシフトする!』
『ええ!彼らに私たちの実力、とくと味わってもらいましょう!』
エンデの背部から昆虫の翅にも似た巨大な生体ウイングが展開される。それはロスト・エヴォルヴの細胞を極限まで進化させた究極の推進機関だった。
エンデとアンファングはシークェルが切り開いたセラフィムの群れの隙間を、一筋の光となって駆け抜けていく。
ついにデミウルゴス本体の目前へと到達した。
だがその前には、最後の防壁が立ちはだかっていた。
デミウルゴスの自己修復能力が生み出した、物理法則が凝縮されたかのような超高密度のエネルギーシールド。
『……ちぃっ!この壁を破らねば中枢へは……!』
エンデが剣で何度もシールドを斬りつける。しかし、その空間ごと断裂させるはずの刃ですら、その表面にわずかな亀裂を入れることしかできない。
その絶望的な壁を前に、人類は最後の、そして最も尊い決断を下す。
『――道は作ったぞ……行け、アンファング……!』
後方でセラフィムの群れを引きつけていた軍場の最後の声が響いた。
シークェルは残された全てのエネルギーを一点に集中。そして生き残っていた最後の金剛・改部隊と共に、デミウルゴスのエネルギーシールドへと特攻を敢行した。
凄まじい閃光。
人類の勇気の全てが凝縮されたその一撃は、確かに神の盾の表面にこれまでとは比較にならないほどの深い深い亀裂を刻み込んだ。
そしてシークェルはその役目を終え、大破。だがそのコックピットブロックは爆炎の中から確かに射出されていた。
『――創磨ッ!!』
昴の絶叫が響く。
シールドの亀裂も、デミウルゴスの驚異的な自己修復能力の前には瞬時に塞がってしまう。
そのコンマ数秒にも満たない好機。
それを結城創磨は見逃さなかった。
『昴!エネルギーを全て槍に回せ!』
『創磨、やるのか!?あれを使ったら……!』
『……道を開けるのが俺たちの仕事だ!……お前たちの夢想への道をな!』
ジャッジメントの猛攻を満身創痍で受け止め続けていたギンコ・ビローバ。その黄金の機体が初めて攻撃の咆哮を上げた。
背部のシェルが前方へと展開し合体。その内部から極太の巨大な槍が姿を現す。
『――行けェェッ!ガイア・スピアァァァッ!!』
創磨の魂の絶叫。
三重加速された超質量の一撃。それはもはや物理法則ではなかった。ただ純粋な破壊の意志。
黄金の槍はシールドの亀裂に寸分違わず吸い込まれるように叩き込まれた。
そして神の盾を物理的に粉砕した。
デミウルゴスの中枢へと至る最後の突破口が開かれた。
だがその代償は大きかった。全てのエネルギーを使い果たし、最大の防御手段を失ったギンコ・ビローバはジャッジメントの無慈悲な反撃の前に、その黄金の装甲を砕け散らせ沈黙した。こちらもまた、パイロットは無事に脱出していた。
『――よくやってくれた……!我が誇るべき友人たちよ……!』
蟹江教授が血を吐くような声で叫んだ。
開かれた突破口。そのわずかな時間。
エンデとアンファングがその中へと侵入する。
だが内部は、無数の自己防衛機構が蠢く悪夢のような空間だった。
『ここまでだ、若人たちよ!我々が見た夢のその先を、君たちの目で確かめてこい!』
「蟹江教授!?何を……!」
エンデはアンファングを庇うようにその前面に立つ。そしてその最後の力を振り絞り、ジェネシス・レクイエムをデミウルゴスのシステム中枢へと撃ち込んだ。
それは破壊のためではない。
その一撃は、デミウルゴスのシステム中枢とジャッジメントが鎮座する高次元空間、そしてアンファングが存在する現実空間を一時的に繋ぐ『扉』をこじ開けるための最後の鍵だった。
全ての力を使い果たし内部からの崩壊に巻き込まれたエンデは、その役目を終え光の粒子となって霧散していく。
「あっ……!教授が!」
「死なせはしない!」
その最後の光の中から二人の教授を乗せたコアユニットが射出され、アンファングの巨大な白い手にそっと包み込まれるように保護された。二人は気を失っているようだった。
そして最後に残ったのは、アンファング。僕らは全員の思いを受けて、今ここにいる。
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その先にある情報の宇宙。
人類の存亡をかけた最後の対話の舞台へと。
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