リベナイト

ukon osumi

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第6章 黄泉醜女(女性感染者=自殺、黄泉からの追跡者)前編 

 喫茶モーツアルトの二階は、階段を上がった正面に細い廊下が続き、右手に四人掛けの丸テーブルが三つ並んでいた。壁は白。天井から吊られた丸い照明は三灯で、各テーブルの中央に円形の光を落としていた。窓は一枚ガラスで、外の街路樹の枝が低く揺れ、枝先がガラスに影の筋を作っていた。棚には古い楽譜の背表紙が水平に積まれ、角の欠けた茶色いケースが一つ置かれていた。店内の音は小さく、カップの触れる硬い音と、奥から流れるピアノの旋律が一定の間で重なっていた。一月の夜で、ドアの出入りがあるたび、冷気が階段の方から短く入ってきた。

香織は二人掛けの席の内側に入り、右手で椅子の背を押してから腰を下ろした。膝の位置をテーブルの下で決め、背筋を伸ばした。マフラーを外す動作はゆっくりで、端を左手でたぐり、丸めて膝の上に置いた。コートは着たまま。テーブルの上には水の入った細いグラスと、紙ナプキンが一枚。彼女は右手でグラスを持ち上げ、口に当て、少量を飲み、グラスを元の位置に戻した。戻したとき、底が木の表面に触れ、乾いた音が一度だけ鳴った。

向かいに高任が来た。彼は階段の方を一度見てから、コートの前を閉じたまま席に着いた。椅子の位置を両手で引き、足を入れ、背もたれに触れない姿勢で止めた。眼鏡のブリッジを右手の人差し指で押し上げ、視線をまっすぐに保った。店員がメニューを置いたが、二人とも開かなかった。店員は一礼して離れた。

「寒いですね」香織は声量を抑え、最初の言葉を出した。語尾まで一定の高さで揃え、相手の反応を待った。高任は短く頷き、左手でテーブルの縁を触れ、指先を離した。

「ここなら、人は少ない」彼は先に言った。言葉の区切りは明確で、間は短い。

店員が戻り、二人分のコーヒーを置いた。白いカップの縁から湯気が細く立ち上がり、照明の下で白く見えた。皿と皿の擦れる音は低く、一秒ほどで途切れた。砂糖とミルクの入った小さいトレイが中央に置かれた。店員が離れるのを目で確かめたあと、高任は両手を膝の上で組み、組んだ手を一度ほどいて、また組み直した。動作は大きくはないが、肩の位置が最初よりわずかに高くなった。

「言うべきことがある」彼はその姿勢のまま始めた。声は低いが、客席全体に響くほどではない。言葉の前に一拍の間を置いた。

香織は視線を相手の顔に固定した。瞬きの回数は増えず、呼吸は胸の上下でわずかに見える程度だった。右手はカップの取っ手に掛けたまま動かさなかった。

「私は……美幸を愛していた」高任は一文を区切りで切った。音量は変えず、語尾まで音程を下げなかった。

香織の喉が一度上下した。右手の指が取っ手から離れず、親指がゆっくりと角度を変えた。彼女は口を開きかけ、開いたまま閉じ、声を出す前に呼吸を一度整えた。

「……そうでしたか」彼女はそれだけを言った。声は平板で、語頭に力を入れず、最後まで一定で流した。

「隠す理由は、もうない」高任は続けた。「あのとき、私は彼女を守れなかった。守ろうとしていた、という言い訳も通らない。私は、手を出さなかった。出せなかったのではない。出さなかった」

彼は右手をテーブルの上に置き、指の背で木の木目を直線に撫でた。撫でた跡が光の角度でわずかに濃く見えた。左手は膝の上のまま動かない。

「……私は、進藤を許していない」

高任は言い切り、右手の指先をテーブルに置いたまま、次の言葉を切らずに続けた。

「彼女は言った。『一緒に行こう』と。場所も、時間も、手順も、彼女は自分で並べた。私はそれを知らされた側だ。だが肝心の相手は、来なかった。進藤は行かなかった。約束の刻限に現れず、連絡もしなかった。彼女は、捨てられたと受け取った。――その晩、自分で命を絶った」

言葉の列は短く、間は一定だった。湯気は静かに上へ伸び、カップの縁で薄く曲がった。奥の棚で皿が一枚、低い音を立て、すぐ止んだ。

香織は視線を下げず、呼吸の間隔を一つだけ詰めた。右手の親指が取っ手の内側をゆっくり滑り、元の位置に戻った。

「彼は『行けなかった』のではない。『行かなかった』」高任は語を強めず、語尾まで同じ高さで運んだ。「彼女は待った。時刻を越え、場所を変えずに待った。結果は、その夜の記録の通りだ」

香織はカップを口に運び、液面を傾けすぎない角度で一口だけ飲んだ。皿に戻す動作を一度で完了させ、取っ手の向きを直した。

「状況は理解しました」彼女は事実だけをまとめ、評価を加えなかった。

高任は頷き、眼鏡の位置を人差し指で一度だけ整えた。窓の外の信号が青に変わり、歩行者が動き出した。店内の音量は変わらず、二階には他の客はいなかった。

店の奥でカップが重なる音が鳴り、すぐ止んだ。階段を上がってきた客はおらず、二階は二人だけのままだった。窓の外の枝は風でまた左右に二回揺れ、影の筋がテーブルの光の輪の端を横切った。

香織はカップを持ち上げ、口に運んだ。上唇が熱さに反応し、接触の時間を短くして戻した。皿に戻すとき、取っ手の向きを元の角度に合わせ直した。彼女は視線をテーブルの中央に落とし、砂糖のスティックを一本、右手で取り、縦のまま置き直した。置き直しの動作は一度で終え、元の位置から二センチだけずれた。


「残さない」高任は即答した。彼は笑わなかったが、口元の筋肉が一度だけ動いた。「だが、伝える。君に」

「私に伝える理由を、具体的に教えてください」香織は声を少しだけ落とし、語尾を短く切った。

「理由は、君が医師だからだ。記録に残らないことでも受け止められる。外に漏らさないと判断できる相手は、君しかいない」

香織は片手で頬に触れず、手は動かさなかった。彼女はその言葉を遮らず、受け取っただけの動きをした。まばたきは三度。呼吸は先ほどより短い間隔で続いた。

高任は口の端をわずかに下げ、視線をテーブルに落とし、すぐに戻した。
高任は、右手でコートの袖口を一度整え、指先を止めた。「私の責任だ」彼は言った。「彼女に起こったこと。進藤に起こったこと。ここに至るすべてが、私の領分に入っている。私は中心にいた。いまも、外れていない」

彼はそこで言葉を切り、視線を窓に向けた。外の信号が赤から青に変わり、交差点の歩行者が動き、車のライトが流れた。彼は視線を戻し、眼鏡の位置を直した。

二人はそこで同時にカップを持ち上げ、同じ速度で口に運び、同じ速度で戻した。カップの音は二つ、同じ高さで鳴った。

「もう一つだけ」高任は姿勢を変えず、声も変えずに言った。「私は、進藤を許していない。彼が彼女にしたことを、許していない。――それだけは、先に置いておく」

香織はその言葉に合わせて、視線を一度だけ下に落とし、すぐに戻した。「了解しました」彼女は言った。了承の語を使い、評価の語を使わなかった。

階段を上がる靴音が一度聞こえ、途中で止まり、下へ戻る足音に変わった。店員が二階の様子を見に上がる気配はなく、奥の食器棚の開閉音が一回響いた。照明は変わらず、テーブル上の白い輪は同じ大きさで保たれた。

高任は立ち上がる前にコートのボタンを一つ留め直した。椅子を静かに引き、足をそろえ、テーブルの横を回った。彼は会計のために階段の方へ向かい、途中で一度だけ振り返り、視線を合わせ、再び前を向いた。

香織は席に残り、マフラーを両手で広げ、首に回し、端を交差させて整えた。椅子を押し、立ち上がり、テーブルの端に指先を置いてから離した。コートの襟を左手で閉じ、右手でカップの横に置かれた紙ナプキンを一枚取り、折らずに置き直した。階段を降りる前に、窓の外の信号をもう一度見た。青から点滅に変わり、また赤になった。彼女は視線を引き、階段に向かった。

階段の途中は少し暗く、踏板は木で、足音が乾いた。一段ごとに音が規則的に響き、下まで続いた。出入口のドアを押すと、冷気が正面から入ってきた。彼女は一歩外に出て、右に体を向け、夜の空気を一度吸い、ゆっくり吐いた。吐いた白い息は短く広がり、すぐに見えなくなった。歩道の端に立ち、左右を見てから歩き出した。歩幅は一定。速度は少し速め。彼女の携帯はコートのポケットの内側で動かず、通知は鳴らなかった。

交差点までの間に、彼女は歩調を変えなかった。信号が青になると、そのまま直進した。街路樹の影は歩道に斜めの筋を作り、彼女の足の影はそれに重なって伸び、間隔を保って縮んだ。背後から来る車のライトは彼女の影を短くし、すぐに通り過ぎ、光が消えた。

その夜の会話は、動きを止めなかった。彼女はポケットの中の右手を一度握り、開き、また握った。握る力は強くはなく、手の甲の筋がわずかに浮いた。歩道の角を曲がり、ビルの壁に沿って歩き、曲がり角をもう一度曲がった。目的地は変わらない。彼女は前を見続け、足を止めず、信号の色に合わせて速度を調整し、横断を終え、再び一定に戻した。

背後では、喫茶モーツアルトの二階の窓に灯りが残った。ガラスの向こうの丸い光は動かず、棚の楽譜の背は同じ並びで、角の欠けも同じ位置にあった。店の扉は閉まり、階段の音は聞こえなくなった。通りの風は弱く、ビルの隙間を通って、一定の温度で流れた。香織は歩き、曲がり、歩き続けた。会話で置かれた言葉は、順番を変えず、彼女の中で同じ順で並んだ。彼女はその順序を壊さず、記録の扱いと同じように、順序を保ったまま、歩いた。


 白鷺医科大学附属病院の研究センター棟。臨床部門から続くガラス廊下は、夜になると人影が途絶え、照明の白が床に規則正しい線を描いていた。香織は足音を静かに響かせ、先端脳情報研究センターの小会議室に入った。扉を押すと、正方形の白い壁が四枚、空調の音が一定に流れていた。机は長方形で、表面は硬い光沢を帯び、蛍光灯の光を反射していた。椅子は二脚。奥の席に加瀬がいて、ノートパソコンを閉じる音を立てた。

「お待ちしていました」加瀬は立ち上がらず、正面を見据えた。

香織は椅子を右手で引き、背を押さえて腰を下ろした。膝を机の下に揃え、両手を重ねて置いた。コートは脱がず、マフラーもそのまま。

「例のページについて、解析を進めました」加瀬の声は落ち着いていた。言葉の切れ目は短く、余分な抑揚をつけなかった。「遺伝子が生物を複製するように、情報も人を通して複製される。――そのモデルが“ミーム”です」

香織は瞬きを一度だけし、視線を彼の額に合わせた。「でも、“ミーム”というものが本当に存在するわけではないでしょう。ただの比喩です」

「比喩に見えるだけです」加瀬は否定せずに続けた。右手を机に置き、人差し指で軽く一度だけ叩いた。「生物は遺伝子によって利用される“乗り物”に過ぎない。生物が遺伝子を守っているように見えるのは、遺伝子の側から見た都合なんです」

香織は呼吸をわずかに速め、肩の位置を低くした。

「そうそう」加瀬は頷いた。「ミームも同じです。遺伝子が子孫へコピーされる生物学的情報であるように、ミームは人から人へコピーされる文化的情報。遺伝子は進化する。ミームにも進化があり、それによって文化が形成される。――これが定義です」

香織は右手を膝の上で組み、すぐに解いた。組んだ指の跡で皮膚が白く残り、数秒で色が戻った。

「……では、意識しなくても伝わる、と」

「その通り」加瀬は声を変えなかった。「遺伝子に突然変異があるように、ミームにも変異があります。人が発した言葉、書かれた文、映像、身振り。どれも他人に伝わる過程で変化し、淘汰される。環境に合わないものは消え、残るものだけが繰り返される。噂も、歌も、思想も、その連続で生き残っている」

机の上の蛍光灯の反射が、加瀬の眼鏡のレンズを白く光らせた。

「ただし」彼は続けた。「自然発生的に残るだけではない。人為的に設計されたミームは、特定の行動を強制できる」

香織は声を落とした。「“迎え”ですか」

「そうです」加瀬は頷いた。机の端に置かれたペンを一度指で押し、動かさずに戻した。「あのページには、誘導の文言が埋め込まれていた。目にした者は“迎え”を意識せず、記憶に固定される。やがて、その言葉が行動を支配する」

香織は唇を引き結び、喉を上下させた。

「でも、情報が人間の意志を決めるなんて……」

「意志と呼ばれるものの多くは、過去に入力された情報の結果です」加瀬は遮らずに答えた。「情報が増えれば、その人の記憶に刻まれる。記憶が増えれば、行動は変わる。拒否できると思っても、無意識に残る」

彼は声を止め、呼吸を一度整えた。

「あなたは、それを信じているんですか」香織は問いを短く切った。

「信じるというより、観察すれば見える」加瀬は机に両手を置き、手のひらを軽く開いた。「患者の行動、学生の反応、ネットの噂。みな同じ。ある情報を与えれば、一定の比率で同じ反応を返す。再現性があります」

「……再現性」香織は反復した。両手を再び膝の上で握り、握ったまま数秒止め、指先をゆっくり開いた。

加瀬は淡々と続けた。「人為的に仕組まれた“迎え”は、進化論的に見れば『強制的に残るミーム』です。自然に淘汰されるのではなく、意図的に選ばれた形で残る。しかも削れない。意識で否定しても、記憶の層に沈んで消えない」

香織は呼吸を一度深くした。吐く時間が吸う時間よりも長く、肩の上下が大きくなった。

「……それなら、もし自分にその“ミーム”が入ったら」香織は言った。「止められないということになりますか」

「止められません」加瀬は言い切った。声の高さも速さも変えなかった。「増殖するだけです。定着すれば、意思とは無関係に繰り返される。例えるなら、頭の中にコピー機を置かれたようなものです」

香織は視線を机の表面に落とし、光沢に映る蛍光灯の線を追った。線は揺れず、まっすぐ並んでいた。

「人はそのコピーを、自分の記憶だと錯覚する」加瀬はさらに言った。「誰の記憶かを区別できず、最初から持っていたと思い込む。そこが恐ろしい」

香織の呼吸は浅く速くなり、首筋の動きが目立った。

「つまり」加瀬は区切りをつけた。「美幸の記憶も、同じです」

香織は顔を上げた。瞳が一瞬揺れ、再び止まった。

「あなたの中に芽生えつつある記憶は、あなた自身のものではない。人為的に刷り込まれた“ミーム”の一部です」

部屋の空調の音が低く続き、外の窓に映る夜景は動かなかった。香織は答えを返さず、両手を膝の上で握り、解き、また握った。握るたびに手の甲の筋が浮き、指先が白く変わった。

加瀬の言葉は止まず、一定の速さで積み重なった。香織の耳には、説明の一つひとつが音としてではなく、胸の奥に沈む重みとして残っていった。美幸の記憶が、自分の意思と無関係に内側で増殖していく――その恐怖は、確かな現実の形を取り始めていた。
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