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第49話 恋話ですね
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次の日レイナは目を覚ます。
ふらつきも無くなり気分もすっきりしているので、レイナは伸びをしながら朝の澄んだ空気を肺に送り込む。
このまま寝込む様だったらどうなるだろうと周りは心配したが、思ったよりも平気だったレイナに周りの人間も安堵する。
「レイナさん、平気そうで良かったですわ」
「ご心配をお掛けしました。もう大丈夫です」
心配するクリスティーナに笑顔を向けてレイナは問題ない事を伝えた。
レイナの強がりでは無く能力使用によるダメージは完全に快復している。
元の状態に戻ったと言っていいだろう。
「レイナさん瞳が赤いのですね」
「あっ、そうなんですよクリスティーナ様。私、生まれつき銀髪で赤い瞳なんです」
「レイナさん、わたくしの事はクリスと呼んでいただけないでしょうか?」
「えっ、で、でも……」
何故か突然クリスティーナが愛称呼びを要求してくる。
クリスティーナは公爵令嬢であり身分は高い。
レイナも元貴族とはいえ格が違う。
しかも今はメイドであり居候の身だ。
レイナにとってクリスティーナは全く別世界の人間と言ってもいい。
それを愛称で呼ぶなど貴族の世界ではあり得ない事だ。
不敬に当たるその行為に周りも黙っていないだろう。
その事をクリスティーナに伝えるも納得しない。
「レイナさんは弟の命の恩人です。周りの事などわたくしが、どうにでもしてみせますわ」
力強いクリスティーナの言葉にたじろぐレイナだが、折角そこまで言って貰っているのでと愛称で呼ぶ事を承諾する。
「ク、クリス様……」
「クリスで結構ですわ」
「いや、でも流石にそれはどうかと」
「問題ありませんわ。わたくしはレイナさんと友人になりたいのです。勿論、イーサンに話す様に気軽に話して貰って構いませんわ」
「友人ですか!」
イーサンの時もそうだったが、高貴な人間は庶民と友人になるのに憧れるものなのかもしれないとレイナは見当違いな方向で納得しようとする。
「やっぱりクリス様で。私の事はレイナと呼び捨てで構いません」
レイナの中ではクリスティーナを愛称で呼べるだけでも凄い事だ。
呼び捨てなんてあり得ない。
ハードルが高過ぎる。
勿論、砕けた話し方など直ぐには出来ない。
憧れの完璧令嬢には様付けが相応しいと、変なところでレイナは拘った。
「ふふ、分かりましたわ。よろしくお願いしますねレイナ」
「はい。こちらこそお願いしますクリス様」
クリスティーナの満面の笑みにレイナは目を細める。
まさかクリスティーナと自分が友人になるなどレイナは想像もしていなかった。
「友人記念では無いですけれど、レイナにいい知らせがありますわ」
「いい知らせですか。何でしょう?」
特に思いつく事も無いのでレイナはクリスティーナに続きを促す。
「わたくしはイーサンの婚約者ですけれど、婚約破棄も可能なのです」
「えっ! そうなんですか? 親公認の仲なのかと思っていましたけど……」
「勿論、イーサンの事は好きですわよ。でもそれは友人としてですわ」
「でも結婚される予定だったのですよね?」
「ええ、お互いに良い相手に巡り会わなかった場合はそのつもりでした」
あの時は聞き流していたがイーサンもそんな事を言っていたのをレイナは思い出す。
大事な事を忘れているレイナの事をイーサンが知れば肩を落とすだろう。
「でも彼の前にレイナが現れました。貴女を連れて来てから彼は変わりましたわ」
「変わった?」
「ええ、わたくしに会っても貴女の話ばかりで、友人なのに嫉妬してしまいそうでしたわ」
「私の話ですか?」
「ええ。嬉しそうに話すのでどんな女性かと貴女には前から興味があったのよ」
レイナとしてもイーサンが好意を持っていてくれていたのは感じていた。
でもそれが恋愛感情というよりは危なっかしい妹を心配する兄の様なものだと思っている。
いや、思おうとしていたというのが正解だろう。
一国の王子と庶民の娘の恋愛、物語としてはありだが自分の身に起きるなどレイナは思ってもいなかった。
顔は好みだし優しいのでレイナとしてもイーサンに好意は持っている。
「まあわたくしの口からはこれぐらいにしておきますけれど、今度イーサンに確認してみてくださいね」
「は、はい。そうしてみます」
レイナはそう言うしかなかった。
ふらつきも無くなり気分もすっきりしているので、レイナは伸びをしながら朝の澄んだ空気を肺に送り込む。
このまま寝込む様だったらどうなるだろうと周りは心配したが、思ったよりも平気だったレイナに周りの人間も安堵する。
「レイナさん、平気そうで良かったですわ」
「ご心配をお掛けしました。もう大丈夫です」
心配するクリスティーナに笑顔を向けてレイナは問題ない事を伝えた。
レイナの強がりでは無く能力使用によるダメージは完全に快復している。
元の状態に戻ったと言っていいだろう。
「レイナさん瞳が赤いのですね」
「あっ、そうなんですよクリスティーナ様。私、生まれつき銀髪で赤い瞳なんです」
「レイナさん、わたくしの事はクリスと呼んでいただけないでしょうか?」
「えっ、で、でも……」
何故か突然クリスティーナが愛称呼びを要求してくる。
クリスティーナは公爵令嬢であり身分は高い。
レイナも元貴族とはいえ格が違う。
しかも今はメイドであり居候の身だ。
レイナにとってクリスティーナは全く別世界の人間と言ってもいい。
それを愛称で呼ぶなど貴族の世界ではあり得ない事だ。
不敬に当たるその行為に周りも黙っていないだろう。
その事をクリスティーナに伝えるも納得しない。
「レイナさんは弟の命の恩人です。周りの事などわたくしが、どうにでもしてみせますわ」
力強いクリスティーナの言葉にたじろぐレイナだが、折角そこまで言って貰っているのでと愛称で呼ぶ事を承諾する。
「ク、クリス様……」
「クリスで結構ですわ」
「いや、でも流石にそれはどうかと」
「問題ありませんわ。わたくしはレイナさんと友人になりたいのです。勿論、イーサンに話す様に気軽に話して貰って構いませんわ」
「友人ですか!」
イーサンの時もそうだったが、高貴な人間は庶民と友人になるのに憧れるものなのかもしれないとレイナは見当違いな方向で納得しようとする。
「やっぱりクリス様で。私の事はレイナと呼び捨てで構いません」
レイナの中ではクリスティーナを愛称で呼べるだけでも凄い事だ。
呼び捨てなんてあり得ない。
ハードルが高過ぎる。
勿論、砕けた話し方など直ぐには出来ない。
憧れの完璧令嬢には様付けが相応しいと、変なところでレイナは拘った。
「ふふ、分かりましたわ。よろしくお願いしますねレイナ」
「はい。こちらこそお願いしますクリス様」
クリスティーナの満面の笑みにレイナは目を細める。
まさかクリスティーナと自分が友人になるなどレイナは想像もしていなかった。
「友人記念では無いですけれど、レイナにいい知らせがありますわ」
「いい知らせですか。何でしょう?」
特に思いつく事も無いのでレイナはクリスティーナに続きを促す。
「わたくしはイーサンの婚約者ですけれど、婚約破棄も可能なのです」
「えっ! そうなんですか? 親公認の仲なのかと思っていましたけど……」
「勿論、イーサンの事は好きですわよ。でもそれは友人としてですわ」
「でも結婚される予定だったのですよね?」
「ええ、お互いに良い相手に巡り会わなかった場合はそのつもりでした」
あの時は聞き流していたがイーサンもそんな事を言っていたのをレイナは思い出す。
大事な事を忘れているレイナの事をイーサンが知れば肩を落とすだろう。
「でも彼の前にレイナが現れました。貴女を連れて来てから彼は変わりましたわ」
「変わった?」
「ええ、わたくしに会っても貴女の話ばかりで、友人なのに嫉妬してしまいそうでしたわ」
「私の話ですか?」
「ええ。嬉しそうに話すのでどんな女性かと貴女には前から興味があったのよ」
レイナとしてもイーサンが好意を持っていてくれていたのは感じていた。
でもそれが恋愛感情というよりは危なっかしい妹を心配する兄の様なものだと思っている。
いや、思おうとしていたというのが正解だろう。
一国の王子と庶民の娘の恋愛、物語としてはありだが自分の身に起きるなどレイナは思ってもいなかった。
顔は好みだし優しいのでレイナとしてもイーサンに好意は持っている。
「まあわたくしの口からはこれぐらいにしておきますけれど、今度イーサンに確認してみてくださいね」
「は、はい。そうしてみます」
レイナはそう言うしかなかった。
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