59 / 92
第58話 過剰な戦力ですね
しおりを挟む
「【ホーリーレイ】の訓練に的が必要だな」
どこまでも広がっていて先が見えない荒野のこの場所は、岩はあるが的になる様な高い物は無い不思議な空間だ。
所々に魔法を使った窪みなどか、痕跡らしきものが見えている。
「何を的にするのですか?」
ただ空中に魔法を放っても意味がない。
レイナもニコラもそれは分かっている。
「これから作る」
そう言うとニコラは地面手をかざす。
ゴゴゴという音と共に地面が隆起する。
レイナも使っていた魔力を地面に流し畑を耕していた技の応用版だ。
ニコラがやると地形操作も可能となるから才能とは恐ろしい。
地面が盛り上がりレイナ達の背丈を超える高さの壁となる。
それが三個分出現した。
「す、凄いです!」
ニコラには驚かされてばかりだとレイナは思う。
「見てろ。【ホーリーレイ】!」
ニコラから放たれた白い光のレーザーが今作った的に到達するとそのまま貫通。
後には的となった山に丸く空いた穴と焼け焦げた臭いが残る。
威力は見ての通り強力だ。
高速の熱線の様な魔法であり、これを使う時が果たして自分にあるのだろうかとレイナは疑問に思う。
気軽には使えない魔法であるのは間違いない。
「ニコラ様、この魔法私に必要でしょうか?」
レイナが確認したくなるのも当然の事だろう。
「お前も攻撃手段は欲しいと言っていたじゃないか」
レイナとしては確かに魔法は使ってみたいと思ってはいた。
それはゲーム内で使う魔法のイメージであり実際に威力を目の当たりにすると身に付ける必要があるのかとレイナは怖さを感じてしまう。
「使う使わないは別として覚えるべきだと俺は考えている」
いつになく真剣な表情でニコラはレイナに言う。
そんなニコラに戸惑いながらもレイナは聞く。
「それはどうしてでしょうか?」
「兄上も言っていただろ。これからお前が望む望まないは別にして色々な事に巻き込まれる可能性は高い」
「でも王宮の方々に今も守っていただいています」
レイナとしては生活に不安は無いし良くして貰っているので外部からの脅威は感じていない。
王宮にいる限り安全は約束されているはずだとレイナはニコラに確認する。
「まあ、今のところはそうだろうな。王宮にいられるなら問題ないかもしれない。しかしお前の力は希少でありこの国で収まるものでないだろう。いずれ必ず大きな波に飲み込まれる」
予言の様なニコラの説明にレイナは困惑してしまう。
ただ否定するには否定できない何かがあるとレイナも感じている。
「でも、ニコラ様も全属性の魔法を使いこなす希少な存在じゃないですか!」
「俺は男だからな。女のお前とは違う」
「えっ?」
「知られれば、お前を手に入れたい男は大勢いるって事だ」
「どういうことですか?」
「男は欲張りって事だ。強引にでも奪おうとする者が出てくるだろう」
魔法があるこの世界ではそういう事件は現代日本より圧倒的に多く起こっている。
「だからこそ身に付けられるなら自衛の為に強力な魔法も必要って事だ」
「は、はい」
レイナとしては不本意だが必要なのは分かった。
「まあ、決まっていない未来の事はこれぐらいにして今できる事をやるしかないだろ?」
「そうですね」
「じゃあ、そこの壁の前に立て!」
「へっ?」
ニコラが指定したのは的の前。
前にもあった様な嫌な予感をレイナは感じ、冷たい汗が背中に流れるのを感じる。
その予想は間違っておらず以前にも聞いたような台詞をニコラは言う。
「今からお前に【ホーリーレイ】を撃ち込む。防御してみろ!」
「はああ」
「なんだその溜息は?」
「いえ、人に向かって魔法を放っては駄目ですよと言ってもやるんですよね」
諦め気味にレイナはニコラに確認する。
「まあ、訓練だからな」
その後、ニコラの魔法に対処するレイナの叫び声が荒野に響いたのは言うまでもない。
どこまでも広がっていて先が見えない荒野のこの場所は、岩はあるが的になる様な高い物は無い不思議な空間だ。
所々に魔法を使った窪みなどか、痕跡らしきものが見えている。
「何を的にするのですか?」
ただ空中に魔法を放っても意味がない。
レイナもニコラもそれは分かっている。
「これから作る」
そう言うとニコラは地面手をかざす。
ゴゴゴという音と共に地面が隆起する。
レイナも使っていた魔力を地面に流し畑を耕していた技の応用版だ。
ニコラがやると地形操作も可能となるから才能とは恐ろしい。
地面が盛り上がりレイナ達の背丈を超える高さの壁となる。
それが三個分出現した。
「す、凄いです!」
ニコラには驚かされてばかりだとレイナは思う。
「見てろ。【ホーリーレイ】!」
ニコラから放たれた白い光のレーザーが今作った的に到達するとそのまま貫通。
後には的となった山に丸く空いた穴と焼け焦げた臭いが残る。
威力は見ての通り強力だ。
高速の熱線の様な魔法であり、これを使う時が果たして自分にあるのだろうかとレイナは疑問に思う。
気軽には使えない魔法であるのは間違いない。
「ニコラ様、この魔法私に必要でしょうか?」
レイナが確認したくなるのも当然の事だろう。
「お前も攻撃手段は欲しいと言っていたじゃないか」
レイナとしては確かに魔法は使ってみたいと思ってはいた。
それはゲーム内で使う魔法のイメージであり実際に威力を目の当たりにすると身に付ける必要があるのかとレイナは怖さを感じてしまう。
「使う使わないは別として覚えるべきだと俺は考えている」
いつになく真剣な表情でニコラはレイナに言う。
そんなニコラに戸惑いながらもレイナは聞く。
「それはどうしてでしょうか?」
「兄上も言っていただろ。これからお前が望む望まないは別にして色々な事に巻き込まれる可能性は高い」
「でも王宮の方々に今も守っていただいています」
レイナとしては生活に不安は無いし良くして貰っているので外部からの脅威は感じていない。
王宮にいる限り安全は約束されているはずだとレイナはニコラに確認する。
「まあ、今のところはそうだろうな。王宮にいられるなら問題ないかもしれない。しかしお前の力は希少でありこの国で収まるものでないだろう。いずれ必ず大きな波に飲み込まれる」
予言の様なニコラの説明にレイナは困惑してしまう。
ただ否定するには否定できない何かがあるとレイナも感じている。
「でも、ニコラ様も全属性の魔法を使いこなす希少な存在じゃないですか!」
「俺は男だからな。女のお前とは違う」
「えっ?」
「知られれば、お前を手に入れたい男は大勢いるって事だ」
「どういうことですか?」
「男は欲張りって事だ。強引にでも奪おうとする者が出てくるだろう」
魔法があるこの世界ではそういう事件は現代日本より圧倒的に多く起こっている。
「だからこそ身に付けられるなら自衛の為に強力な魔法も必要って事だ」
「は、はい」
レイナとしては不本意だが必要なのは分かった。
「まあ、決まっていない未来の事はこれぐらいにして今できる事をやるしかないだろ?」
「そうですね」
「じゃあ、そこの壁の前に立て!」
「へっ?」
ニコラが指定したのは的の前。
前にもあった様な嫌な予感をレイナは感じ、冷たい汗が背中に流れるのを感じる。
その予想は間違っておらず以前にも聞いたような台詞をニコラは言う。
「今からお前に【ホーリーレイ】を撃ち込む。防御してみろ!」
「はああ」
「なんだその溜息は?」
「いえ、人に向かって魔法を放っては駄目ですよと言ってもやるんですよね」
諦め気味にレイナはニコラに確認する。
「まあ、訓練だからな」
その後、ニコラの魔法に対処するレイナの叫び声が荒野に響いたのは言うまでもない。
37
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる