風の魔導師はおとなしくしてくれない

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後日談2 星の見えるところ

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「あのころは、とにかくイオンを慰めて食事をとらせるのに必死だったよ。きみの葬儀が終わると気持ちに整理がついたようで少しは落ち着いたんだけど、なかなか笑顔を見せてくれなくて参ったなあ。遠乗りもしなくなって部屋にこもっていたせいで痩せてしまったし、心配でこっちがどうにかなってしまいそうだった。せっかく反乱が鎮圧されてきみたちの無事にほっとしていたのに、こんなことになるなんて、神様を恨んだね」
「…………」
「でも、剣を持たせたら少し元気になったんだ。イオンは剣の練習が好きだからね。そのあと戴冠式が終わって女王になったら、少しずつ前を向くようになっていったんだ」

 エンデュミオは小さく笑ったが、ルイは凍りついたようにその場に立ちつくしていた。エンデュミオはルイの肩にぽんと右手を置いた。

「きみが帰ってきてくれて、イオンはやっと前みたいによく笑うようになったんだよ」
「……ずっとイオンのそばにいてくれたんだ……」

 再会したイオンは以前と変わらない笑顔でルイを迎えてくれた。だが、ルイがいないあいだ、イオンは罪悪感にさいなまれて辛い日々を送っていたのだ。エンデュミオはそんなイオンに寄り添って、ずっとそばで励ましてくれていた。エンデュミオの存在に、イオンはどれほど救われたことだろう。

「そ、それなのに俺は……イオンがきみと無理やり結婚させられるんじゃないかと思いこんで……」
「ああ、一年ぶりに会ったきみは相変わらず俺を敵視してつっかかってきたね」

 ルイは己の浅慮を悔いてぷるぷると震えた。

「ご……ごめんエンデュミオ……」
「あはは」

 エンデュミオは快活に笑ってルイの頭をぽんぽんとなでた。

「別にいいよ。昔と変わらないきみを見られてむしろ嬉しかったよ。イオンもとても嬉しそうだったから同じ気持ちだっただろうね。俺は彼女の笑顔がなにより好きだ。誰よりも近くでその美しい笑顔を見ていたい」
「……そっか」
「もちろん、きみの笑顔も大好きだよ」

 エンデュミオはそうつけ足すといたずらっぽくウインクした。その気障な態度に、思わずルイは吹き出した。ひとしきり笑ったあと、ルイはエンデュミオに手を差し出した。

「これからもよろしく……にいさん」
「こちらこそ」

 ルイとエンデュミオは固い握手を交わした。


 ◆


 エンデュミオが恥ずかしげもなくイオンへの愛を口にするのを聞いて、ルイもライオルに自分の気持ちを正直に伝えるべきだと感じた。以前、ライオルがユーノと婚約したと思いこみ、長い間一人でもんもんと過ごしたことがあった。意地を張ってライオルと口を利かなかったせいで、状況は悪くなる一方だった。

 そのときルイは、テオフィロに言いたいことは口に出して言えと怒られた。どうもルイにはすぐ一人で悩みを抱えこむ癖があるらしい。ルイは勇気を出して、ライオルと話をすることに決めた。本当のことを知るのが怖いからと足踏みするのはもうやめだ。



 翌日の昼過ぎ、ルイはライオルの部屋の前でうろうろしていた。

「いやでもこんなくだらないこと聞くのはなあ……わざわざ部屋をたずねてまで……」
「いいから早く入れよ」

 ギレットが面倒そうに言った。

「このあとエキムたちと一緒に会合なんだから、そんなに時間ねえぞ」
「え、そうなのか?」
「ああ。ちなみに俺も参加するからな」
「だから今日はきちんとした服なのか」
「そうだよ。だからさっさと話せって」

 ギレットは右手でドアを開けて左手でルイを中に押しこんだ。

「ちょ、おい!」
「俺は先に行ってるから、終わったら部屋戻れよー」

 ギレットはそう言うが早いかぴしゃりとドアを閉じてしまった。残されたルイは閉じられたドアをぽかんと見つめた。

「ルイ?」

 背後からライオルの声がした。振り向くと、ライオルがソファで優雅にお茶を飲んでいた。テーブルでは使用人が昼食の皿を片付けている。ちょうど昼食が済んだところだったらしい。

「あ……」
「どうした? そんなところにいないでこっちに来いよ」

 ライオルは自分の隣をぽんぽんとたたいた。ルイはおとなしくライオルの隣に座った。

 ルイがずっと黙っているので、しびれを切らしたライオルが口を開いた。

「なにか話があるんじゃないのか?」
「……そうだけど……別にたいした話じゃないというか……」
「なんだよ」

 ルイは再び押し黙った。そのあいだに使用人はルイの分のお茶を煎れ、皿を持ってさっさと退室していった。

 広い客室に静寂がおりた。

「……俺、もうすぐ行かなきゃいけないんだけど」
「そ、そうだよな」

 ルイはソファの上でもじもじと指を動かした。なんと言えばいいかわからず、なかなか話が切り出せない。早く話さなきゃと思えば思うほど焦ってしまい、事前に思い描いていた会話のイメージが頭から吹き飛んでしまった。

「こ……こないだのパーティーはすごい人だったな」
「そうだな」
「いろんな人が来てたな」
「そうだな」
「みんなライオルと話したくてしょうがないって感じだったな」
「そうかもな」
「……どうだった? この人と話せて楽しかったとか、あったか?」
「テオフィロが刺されてそれどころじゃなかっただろ」
「あ、うん。そうだったな」

 沈黙。

「……俺に話があるんじゃなかったのか? 急ぎの用事じゃないならあとでもいいか?」
「あ……いやその、ちょっと聞きたいことがあって……」
「なんだよ」

 心なしかライオルの声がいらだっているような気がする。ルイはまっすぐライオルの顔を見上げた。思えばルイはライオルに好きだと伝えたことは一度くらいしかない。嫉妬深いいやなやつと思われないよう、まずはきちんと自分の気持ちを伝えなければ。

 ルイは今までライオルにしてもらってきたことを思い返した。ライオルはいつもルイを抱きしめて、キスをしてから愛してると言ってくれた。

 ルイは隣に座るライオルにきゅっと抱きついた。そのままおそるおそる上を向くと、ライオルは無言でじっとルイを見下ろしていた。

「そ、その……」

 ルイは腰を浮かせてライオルに触れるだけのキスをした。閉じていた目を開けると至近距離で目が合ってしまい、ルイは真っ赤になって視線をさまよわせた。ライオルはすっと真顔になった。

「……お前の言いたいことはよくわかった」
「えっ」

 まだなにも言っていなかったのにわかってくれたのだろうか。

 ライオルはルイの額にちゅっと軽いキスを返し、さっと立ち上がった。ルイがぽかんとしているあいだに、ライオルは入り口のドアを開けて護衛兵に二言三言話し、すぐにドアを閉めて戻ってきた。

「最近全然かまってやらなかったもんな」
「え? わっ」

 ライオルはルイを抱きしめると、そのまま抱えて持ち上げた。

「え? え?」

 ライオルはルイを抱えて寝室に入り、ベッドの上にぽんとおろした。

「俺もずっとお前とヤリたかったよ」
「!?」

 ライオルは首に巻いていたタイをほどいて後ろに放り投げ、ルイの上にのしかかった。ルイは目を白黒させながらライオルを見上げた。どうやら誤った伝わり方をしてしまったようだ。

「違うよライオル、そういうんじゃなくて……」
「別に恥ずかしがることじゃないだろ? 俺も地上に来てからずっと、どうやってあの姉の目を盗んでお前とヤるかってことばかり考えてたよ。仕事中もな」
「仕事中も!?」
「お前もさみしかったんだよな。悪かった」
「いやいや、もうすぐ会合が始まるんだろ!?」
「お前と大事な話があるから遅れるって言っといたから大丈夫」
「大丈夫じゃな……あっ!」

 目をギラギラさせた恋人に、ルイはあっという間に裸に剥かれてしまった。ギレットたちも参加する大事な会合なのに、そんな言い訳が通用するのだろうかとルイは不安に思ったが、ライオルは止まらなかった。

 地上に来てからおあずけを食らっていたのはライオルだけではない。ルイだってライオルを恋しく思った夜もあった。珍しくがっつかれて前戯もそこそこに中に突っこまれたが、苦しさより気持ちよさのほうが勝った。

「んあ! あ、あっ」

 ライオルはルイの両手首をつかんでベッドにうつ伏せに押しつけ、後ろから激しく犯した。いきなり奥をずんと突かれて目の前が真っ白になる。過ぎる快楽を矢継ぎ早にぶつけられ、ルイは白い喉をのけぞらせて甘い悲鳴を上げた。

「こら……そんなでかい声出すと外に聞こえるぞ?」

 ライオルがまったく困っていなさそうな声で言った。ルイはハッとして慌てて口を閉じた。気持ちよさで思考が飛んでいたが、ここはカリバン・クルスのタールヴィ家の屋敷ではない。真っ昼間のリーゲンスの離宮の客室の中だ。部屋の前の廊下はいろいろな人が通るし、隣の客室には他国の賓客が泊まっている。

「お前のかわいい声をいっぱい聞きたいところだけどさ」

 ライオルはルイの耳の後ろで低い声で囁いた。

「ほかの奴らに聞かせるわけにはいかないだろ? ちょっと我慢しとけ」
「っあ……わ、かった……んっ!」

 そう言いながらもライオルは律動をやめなかった。ぐちゅぐちゅといやらしい水音が寝室に響いている。嫌がらせのように感じるところをぐりぐりとこすられ、ルイは口を手で押さえて体をびくりと震わせた。

「っん……! あっ、……ぁ、ん、んっ」

 口を閉じていても気持ちよくて足がぴくぴくと痙攣してしまう。ライオルは必死に声を押し殺しながら快感に震えているルイを見下ろし、満足げに口角を上げた。

「っは……かわいい」

 ルイは頬を真っ赤に色づかせながら、ぎろりと背後のライオルをにらんだ。声を出すなと言っておきながらちっとも手加減する様子がない。むしろルイの口から声が漏れるのを楽しんでいるように見える。

 涙目のルイににらまれたライオルはきれいな笑みを浮かべた。

「いいね、その顔」
「お、前な……んあっ!」

 中のいいところをごりっとこすられ、ルイは思わず声を上げてしまった。ライオルはそのままルイの敏感なところを攻め立てた。ルイはあっという間に追い上げられ、ライオルにすがって鳴いた。もはや声のことなど気にしていられなかった。久しぶりの情事は普段の何倍も気持ちが良かった。

 ライオルはルイが達する直前にルイの口を口でふさいだ。

「んぅ、――っ」

 ルイはライオルに口づけられたまま、白濁を散らして果てた。反動でしめつけられたライオルも耐えきれずにルイの中に欲をはき出した。

 しばらく自慰もしていなかったルイは、くったりとベッドに横たわってはあはあと熱い息をはいた。体がしびれてしばらく動けそうにない。

 ライオルは二人が出したものをタオルで拭うと、ルイの顔をのぞきこんでくすっと笑った。

「きもちよすぎて大変って顔してる」
「……うるさい……お前が無茶するから……」
「なんだよ、誘ってきたのはお前だろ」
「違うって、だから……」
「あ、そろそろ行かないといけないから、お前はここでゆっくり寝てろよ」

 ライオルはするりとルイの頬をなでると、さっと身だしなみを整えて部屋を出て行った。ぽつんと寝室に残されたルイは、シーツにくるまってぼんやりとベッドの天蓋を見上げた。結局言いたいことは言えずじまいだった。



 ライオルがホールに到着したとき、すでに会合は始まっていた。ちょうどフェデリアの大使が立ち上がって話をしているところだった。

 ライオルは遅れたことを謝ってから席についた。忙しい王太子が遅刻したからといって咎める者は誰もいない。

 ギレットは隣の席からじろりとライオルを見た。そして、ライオルが妙に上機嫌で顔色がいいことから、置いてきたルイと何があったかを察して小さく舌打ちをした。
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