闇落ち異世界転生記~小悪魔からはじめる成り上がり、非力でも出来る出世法~

和紗かをる

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第4章 裏切りの音が聞こえ始めるって言うのは、結局最後の破滅が近いって事で間違いない

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領主様が砦に入り籠城戦を展開しても、勝機が見いだせなかった時の為に砦から外へと通じる隠し道があるのは、当然なのかもしれない。日本の戦国時代以降の城には結構な確率で隠し通路があったし、最後の最後に逃げ道があるとないとでは、有った方が精神衛生上にも良いだろう。負けるにしても最下層のインプと領主である上級悪魔では扱いは断然違う。 
 最下層のインプは、悪魔と言うよりも使役できる道具として認識されている事が多いため、戦で負けてもその責任を取らされて処罰されると言う事は無い。その土地の労働力が減れば、次の支配者にとっては不都合だからだ。同じ論理で下級悪魔も同じように見逃されるケースが多いらしい。戦場に合って下級悪魔はさらにその下の悪魔を司る立場ではあるが、主義主張があってその役目を担っている者はいない。戦国時代的に言えば初期の足軽の様な物だ。主従関係として長く仕える下級悪魔は居ない。その弱さから最下級悪魔の次に死ぬ確率が高いのは下級悪魔だし、下級悪魔が手柄を上げれば中級悪魔となってそこで初めて主従関係を結ぶことになる。
 領主側から見たら、中級以上の悪魔の数が戦力でそれ以下の下級悪魔やインプは信頼できる戦力として数えられるものではないのかもしれない。
 そんなインプの俺が、何の因果か本陣の気取った中級悪魔に率いられ、組頭である下級悪魔であるサテルスと、いつものインプと共に隠し通路を使って敵が待ち構えている外へと出て来ていた。
 なにやらお手門前でなにか騒ぎが起きているなぁと思ったら、件の中級悪魔が本陣から血相を変えてやって来た。俺は勿論、下級悪魔のサテルスにさえ何も言わずに、がっしりと手を掴むや引きずる様に、隠し通路を通らせてここまで連れて来た。
「いいか、お前たち、あの通路は判っている通り極秘の物だ、お前らにそもそも教えられるものではないが、今は緊急事態であるため、忘れるように」
 砦が包囲されて、毎日毎日敵が攻めて来る事に怯える日々は、どうやら中級悪魔様には緊急事態ではなかったらしい。俺たちインプにとっては、毎日小競り合いで死ぬかもしれないと思える日々なのにだ。
「はぁ、そうですか」
「相変わらずお前らは覇気がないな、それではいつまでも階級を昇れないぞ、インプは仕方ないにしても下級悪魔であるその方まで気抜けでは困る、今回は守将であるズガン様の極秘の命令で、敵陣からある人を救わなければならないのだぞ!」
「はぁ?ある人ですか・・・」
 俺も声を上げそうになったが、どうせ中級悪魔様にはインプの越えは届かない。声を発するだけ無駄と言う物で、こういった場合は組頭でもある下級悪魔に任せている。
「まったく、その通りだ、この命令を達成できれば戦が変わる、そうなればその命令をやり遂げた我々には褒美も貰えるだろう、どうだ良い話だろう?」
た助けようってんだから、その難易度はかなり高い。前の世界のその道のプロフェッショナルだった米軍でさえ、人質救出の成功率は高くなかった気がする。敵からしたら、大事な人質だけど、逃がすよりは殺すことを選ぶ場合が多いのは当たり前だ。
 それなら、人質の事など考えずに、敵の大将でも暗殺した方がまだ成功率が高いのではなかろうか?
「はぁ、それで、どうやって助けるんです?」
「いいか、助ける相手は最大で3人いる、全て領主様の家族で跡継ぎである少年、その姉と妹の悪魔を助けるんだ」
「げっ」
 つい声が出たが、二人の悪魔はそれを完全に無視して話を続けた。
「この4人で全員助けるのは無謀ですよ、1人助けたらすぐに逃げるのが正解ですよ、1人ずつ順番に助ける度に警戒が厳しくなっちまいます」
「だれが順番に一人ずつと言った?俺とお前で一人ずつ、後はインプ共が2匹で1人を助ければ同時に助けることが出来る、これなら隙を突けば一回で方がつく」
 いやいや、この中級悪魔、常識を知らないにもほどがあるだろう。
 インプが、インプだけで救出作戦だと?出来るわけがないだろう。上の立場の悪魔が付きっきりで指導してもノソノソとしか行動しないのがインプだ。すべてにおいてやる気がないが、立場は最下層だし、周りのインプは気まぐれと言っていいような事でガンガン殺されるし、やる気を出せと言う方が無理がある。農場でしかインプを知らないが、出世欲に燃えたインプは見た事が無い。少量の魔石の粉末を接種した、農園からずっと一緒のインプでも、いつも何を考えているのか判らないくらいのというのがインプと言う生き物だ。
 瞬時の判断が必要な救出作戦を託すのは馬鹿馬鹿しい話なのだが。
「インプに単独で仕事をさせる?それは無理な話ですよ、囮にもなれるかどうか・・・」
「普通のインプならな、けどこいつら本当に普通のインプか?」
「何を言ってんです?」
 魔石の粉末で若干だが強化されている事がバレたのか?俺なんて見た目全然変わらないんだが。
「こいつら、特に小さいほうのインプはこっちの話が分かっている様だ、いちいちこっちの言葉に表情が変わるのは理解しているって事に決まっている、インプの事は良く判らないが、話が理解できるインプなら、救出だって出来るはずだ、それにな正直全部が全部成功しなくても構わない、敵に対して人質を利用すると決死の覚悟で誰かが飛び込んでくると思わせるだけでも効果があるんだ、もちろん全員失敗なら首は飛んでいるだろうがな」
 やっば。そ知らぬふりしているつもりだったが、顔に出ていた?インプの表情の変化とか中級悪魔の癖して良く見ているなこいつ。中級悪魔にとってインプは箒や雑巾、鍬やバケツ見たいな道具だ。大事にして長く使っている道具ならまだしも、そこら辺に転がっている道具の表情まで見るとか、この中級悪魔こそ普通じゃないだろう。
「はぁ、それでそちらが良いなら・・・」
「やらせてみればいいんだ、どうせ手は足りない、足りないなら何でも使って足りるようにする、成るか成らぬかは結果だ」
 それは、そうなんだが・・・。ここでうまく救出作戦を成功させたら、最下層のインプと言う立場とはお別れになるだろう。最下層だからと、周りから無視されてきたが、もし昇進して下級悪魔達と肩を並べる組頭になったらどうなるだろう。
 他のインプからは、その感情があれば嫉妬されるだろうし、下級悪魔からは嫌われ潰しにかかるだろう。悪魔の嫉妬はまだ見ていないが、前の世界での出る杭は打たれる、と言うか出ようと考えた杭は、総攻撃を受けて逃げる事しかできずに、排除される。これは何処でも真実な気もする。
「ほおら、このインプの顔は判っている顔だ、時間はない、それっ行くぞ!」
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