闇落ち異世界転生記~小悪魔からはじめる成り上がり、非力でも出来る出世法~

和紗かをる

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第6章 砦陥落・・・。このまま小悪魔で終わってたまるか、絶対に生き抜いてやるから。

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後から聞いた話だ・・・。あの日なんで妹お嬢様と搦め手門の老練な上級悪魔が味方を裏切ったのか?噂の域を出ないから、それが本当かどうかなんか俺程度には確かめようもないけれど、ただそれを聞いた俺たちはその話で納得した。
 まず妹お嬢様悪魔が裏切った理由は、彼女も姉と同じく、領主である父親がすでに死んでいる事を知っていた。そうなるといかに砦で頑張ろうが、自分たちには未来がない事は判っていた。姉程の才覚は持ち合わせていなかったが、妹お嬢様悪魔だって上級悪魔だ。それ位には知性があった。その上で自分よりもいつの上に見られる姉に対して、一言では言い表せない感情もあった。決して姉妹仲が悪かったわけではない。憎み合って睨み合うような関係ではなかったのだが、ある出来事が彼女を変えた。
 聡明で自分よりは上位にある存在だった姉が、敵が使役する牛魔にその身を汚されたのだ。妹はそれだけでなく、複数の敵悪魔が彼女の上に跨ったと言う事も知った。
 ああはなりたくない。姉の様にはなりたくない。聡明だと、自分より大層出来が良くて領主である父親のお気に入りと言われ続けていた姉。その姉が衆目の中で汚され、しかも、淫魔の術式のせいだとは言え、あのような痴態を晒すとは・・・。
 自分は絶対にあんなのは嫌だ・・・。
 そこで彼女は、敵側から交渉を持ちかけられる。
 いや、実を言うと彼女は自分から敵側へと交渉を持ちかけたのだ。
 自分の体に手を出さないでください、それ以外の事は何でもします、あの目障りな砦だって直ぐに落とすように働きます、だから私の体、まだ誰にも許した事が無いこの体だけには手を出さないと約束してください、と。
 結果として彼女が生娘のままだったのか、砦が落ちる混乱に巻き込まれて誰かに犯されたのか俺は知らない。ただ、実は彼女は既に御者であった中級悪魔とそれとは知らずに密通していたなんて噂も流れていたから、全部が全部本当の事ではないかもしれない。
 もう一方で搦め手門を守っていた老練の将軍は何で裏切ったのだろうか?
 彼は領主とは友人関係にも似た盟友で、少年悪魔の時代から一緒になってこの地方を守ってきた古強者だ。
 普通なら裏切るはずがないと誰もが思うだろう。だから彼の裏切りが発覚した時、あっという間に砦に残された時間が僅かになってしまったのだ。
 ここにも、妹お嬢様悪魔が関わっていた。
 領主が死に、跡継ぎも死んだが、領主の一族にはまだ姉妹が居た。
 どちらかと言うと聡明で内政にも携わっていた姉と老練な将軍は縁があったが、妹の言葉に乗っかって動いてしまった。
 姉は数多くの敵に身を許してしまった。そんな彼女を後見しても、領主の血が汚された事実が残るだけ、姉が妊娠して跡継ぎが生まれたとしてもそれは誰の子なのか?たいして自分はまだ純潔を保っている。これから領主の仇を討ち、家名を復活させるには姉ではなく私を後見してほしいと言う言葉に、老練な将軍は任せてほしいと即座に答えてしまっていた。姉のお嬢様悪魔が自分ではなく、大手門方面を守るズガン側と相談して搦め手門側には一切来なかったという事も彼に決断を促せた要因だろう。
 かくして砦最後の日が始まる。
 老練な将軍は数日がかりで練り上げた莫大な魔力と、一族に伝わる大規模破壊術式をくみ上げ、それを空に放った。もし、すぐ目の前の搦め手門にその術式を使えば、妹お嬢様悪魔だけでなく、今まで長い間一緒に戦って来た子飼いの悪魔達も焼き尽くすことになってしまう。
 だから将軍の術式の目標は、大手門だった。
 紫と赤と黒の3色に彩られた光の奔流が彼の手から放たれ、一度砦上空へと昇った後に大手門へと一直線に降り注ぐ。紫の光は、ここ数日敵の攻勢を跳ね返し続けていた鉄と石で作られた堅固な大手門を、粒子状の砂粒へと変えてしまい、赤の光は周辺の可燃物を燃やし、黒の光はそれに触れた悪魔達の体を切り刻んだ。
 3つの光が消えた後には、それまで何度も敵を防いできた頑丈な大手門は消え失せ、その守備についていた悪魔もほとんどが倒れ伏していた。
 即座に守将のズガンは予備の戦力を纏めて大手門に急行するが、老練な将軍と示し合わせていたのか、それとも異変を目にして突発的に繰り出して来たのか、包囲をしていた敵の一部が早くも大手門へと殺到して始めていた。
 この時点でズガンはまだ砦内部で裏切り者が出ていたことには気づいていない。長い籠城戦になれば戦意が低下して、裏切り者が出るのはある種必然と考えていたズガンではあったし、部下に伝えて取り締まりを強化もしていた、だがそれがまさか自分と同格、精神的には尊敬すべき将軍が裏切るとは考えていなかった。裏切りがあるとしても、中級悪魔程度の単独犯的な物と思っていたのだ。その齟齬から、ズガンは搦め手門がすでに老練な将軍とその子飼いの部下たちによって占拠され、敵を導き入れようとしているとは思ってもみなかったのだ。
 彼の傍らで、今後の善後策を協議していた姉お嬢様悪魔もそれは同様で、大手門を破壊したのは敵の大規模破壊術式だと思い込んでいた。あまりの出来事だったので、大手門外部には大規模術術式を弾く防御の結界が張られている事も失念していた。
 一人この場にとどまっても意味は無いと思ったのか、動きやすい簡易な鎧を装着したまま姉お嬢様悪魔もズガンと共に向かった。
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