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本当にあなたは、友人ですか?
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莉子が、夫のマンションに戻ってすぐ、訪問客が現れた。
「あれ以来ね。よく、来てくれたわ」
莉子は、喜んでドアロックを解除した。
「事故の現場に戻るなんて、辛いんじゃないかと思って」
現れたのは、心陽だった。
「ディナーショーもやってるって、聞いたわ」
莉子は、変わらない態度で、迎える。
「順調みたいね」
差し出された小さな花束とケーキを受け取る。
「結婚生活の再会のお祝い」
「そ・・」
莉子は、そう言うと花束を、キッチンのテーブルに置く。
「LINEでも、知っていたけど、大変だったのね」
心陽は、事件の事を言った。
「でも、いつまでも、夫婦が離れている訳いかないでしょ。放っておくと、架さんに浮気されるわよ」
「そうかな・・」
莉子は、気づかないふりをしている事を心陽に言われて、ドキッとした。夫、架の陰に誰かが、居る事は、何となく気付いている。それを、他人に言われると改めてて、傷つく。
「架さん、モテそうだもん。」
「心陽のタイプだった?」
話しながら、莉子は、ケーキを箱から、皿に並べる。
「まさか・・」
心陽は、余裕の笑顔を向ける。
「同じピアノの仲間だから、何処かで、会っているのかと思って」
「私とは、縁がなかったみたいね。架さんには、恋人がいたでしょう。長い間、支えていたって・・・あ?ごめん」
莉子は、自分が変な顔をしたのかと思って、心陽の様子を伺った。わざと嫌味を言ったのではなく、心陽に悪気はないのだと、思う事にした。
「ごめん。トイレ借りるね」
心陽は、気まずくなったのか、席を立つ。
「場所。わかる?」
莉子が説明しようとすると、大丈夫。前にも、来た事あるでしょう?美味しいコーヒー淹れてて」
「わかった」
気まずい空気を打ち消したくて、莉子は、うなづいた。昔から、心陽あ、負けず嫌いで。同じ人を好きになった時も、大変だった。女同士の友情って、こんなものかと思った。何でも、一緒だった。ピアノを当初は、2人で始めたが、いつの間にか、心陽は、上達し、莉子は、諦めていた。自分には、才能がない。そう思って、心陽に譲った。案の上、心陽は、上達していった。自分も、嬉しかった。周りに、認められて、上機嫌で居る心陽が、好きだった。いつも、側にいて、笑わせてくれる。心陽は、一番の友達。だから・・・あの時も、心陽が見つけてくれた。
心陽は、トイレを借りたいと言って、思い当たる部屋を覗いていた。架のマンションは、広い、さすが、建築会社をやっているだけあって、市内の一等地にあって、ガラス張りの日差しのたくさん入るマンションだ。夫婦の寝室は、生活するパターンが異なる理由で、別にあった。突き当たりトイレを挟んで、向かいあっあるのが、莉子と架の部屋。架の部屋は、殺風景で、大きなスピーカーが置いてあるグレイを基調とする部屋だった。真っ白な壁に、一枚の写真が飾ってある。
「ここにも居たわ・・」
架の指先から、アップで写した写真は、モノトーンで、まるで、何かのモデルの様だった。心陽は、パンツのポケットから、取り出した口紅をベッドの下に、放り投げ、自分の髪を、何本か、むしると、枕とシーツの間に、滑り込ませた。ベージュと淡いホワイトのベッドカバーが、目に眩しい。
「莉子が悪いのよ」
そう呟くと、何もなかった様に、キッチンに戻っていった。
「いつ、お邪魔しても、綺麗にしてるのね」
心陽は、感心しているふりをした。
「毎日ではないけど、私、こんなだから、家事代行サービスを頼んでもらったみたい」
「大事にされているのね。ところで」
心陽は、少し笑った。
「助けてくれたリハビリの先生とは、何かあったの?」
「え?」
少しだけ、心陽が、意地悪していると感じた。
「あれ以来ね。よく、来てくれたわ」
莉子は、喜んでドアロックを解除した。
「事故の現場に戻るなんて、辛いんじゃないかと思って」
現れたのは、心陽だった。
「ディナーショーもやってるって、聞いたわ」
莉子は、変わらない態度で、迎える。
「順調みたいね」
差し出された小さな花束とケーキを受け取る。
「結婚生活の再会のお祝い」
「そ・・」
莉子は、そう言うと花束を、キッチンのテーブルに置く。
「LINEでも、知っていたけど、大変だったのね」
心陽は、事件の事を言った。
「でも、いつまでも、夫婦が離れている訳いかないでしょ。放っておくと、架さんに浮気されるわよ」
「そうかな・・」
莉子は、気づかないふりをしている事を心陽に言われて、ドキッとした。夫、架の陰に誰かが、居る事は、何となく気付いている。それを、他人に言われると改めてて、傷つく。
「架さん、モテそうだもん。」
「心陽のタイプだった?」
話しながら、莉子は、ケーキを箱から、皿に並べる。
「まさか・・」
心陽は、余裕の笑顔を向ける。
「同じピアノの仲間だから、何処かで、会っているのかと思って」
「私とは、縁がなかったみたいね。架さんには、恋人がいたでしょう。長い間、支えていたって・・・あ?ごめん」
莉子は、自分が変な顔をしたのかと思って、心陽の様子を伺った。わざと嫌味を言ったのではなく、心陽に悪気はないのだと、思う事にした。
「ごめん。トイレ借りるね」
心陽は、気まずくなったのか、席を立つ。
「場所。わかる?」
莉子が説明しようとすると、大丈夫。前にも、来た事あるでしょう?美味しいコーヒー淹れてて」
「わかった」
気まずい空気を打ち消したくて、莉子は、うなづいた。昔から、心陽あ、負けず嫌いで。同じ人を好きになった時も、大変だった。女同士の友情って、こんなものかと思った。何でも、一緒だった。ピアノを当初は、2人で始めたが、いつの間にか、心陽は、上達し、莉子は、諦めていた。自分には、才能がない。そう思って、心陽に譲った。案の上、心陽は、上達していった。自分も、嬉しかった。周りに、認められて、上機嫌で居る心陽が、好きだった。いつも、側にいて、笑わせてくれる。心陽は、一番の友達。だから・・・あの時も、心陽が見つけてくれた。
心陽は、トイレを借りたいと言って、思い当たる部屋を覗いていた。架のマンションは、広い、さすが、建築会社をやっているだけあって、市内の一等地にあって、ガラス張りの日差しのたくさん入るマンションだ。夫婦の寝室は、生活するパターンが異なる理由で、別にあった。突き当たりトイレを挟んで、向かいあっあるのが、莉子と架の部屋。架の部屋は、殺風景で、大きなスピーカーが置いてあるグレイを基調とする部屋だった。真っ白な壁に、一枚の写真が飾ってある。
「ここにも居たわ・・」
架の指先から、アップで写した写真は、モノトーンで、まるで、何かのモデルの様だった。心陽は、パンツのポケットから、取り出した口紅をベッドの下に、放り投げ、自分の髪を、何本か、むしると、枕とシーツの間に、滑り込ませた。ベージュと淡いホワイトのベッドカバーが、目に眩しい。
「莉子が悪いのよ」
そう呟くと、何もなかった様に、キッチンに戻っていった。
「いつ、お邪魔しても、綺麗にしてるのね」
心陽は、感心しているふりをした。
「毎日ではないけど、私、こんなだから、家事代行サービスを頼んでもらったみたい」
「大事にされているのね。ところで」
心陽は、少し笑った。
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「え?」
少しだけ、心陽が、意地悪していると感じた。
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