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その真実の姿は、迦桜羅の前身
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忘れられない記憶がある。僕が、小学校の時の校外学習で、クラスの友人達と仁徳寺に行った時の事だった。そこのお寺には、石で出来た鏡があった。表面が荒く削られ、真実の姿が、映るといった物だった。みんな、ふざけて自分の姿を映したけど、歪んで見えたりして、ほとんど、いつもの姿と変わらなかった。そう、僕だけを除いては。みんなが、先を争って、姿を映したがったけど、僕は、最後にした。興味はあった。けど、僕は、知っていたから。あの日から、少しずつ、身の回りが変わってきた事を。学校の帰り道、いろんな物が話しかけて来た
道端に咲いた花や虫たち。山の影の風までもが、僕に話しかけてきた。僕は、素直でなかった。答えれば、何かが起きると思い込んでいた。だから、下を見て、気付かないふりをしていた。それで、ずーっと過ごせれば良かったんだけど、みんなの興味が、石鏡から外れて、外に行った時に、映した姿は、怖かった。僕は、人ではなかった。鏡の中の僕の顔は、半分が、細かい鱗に覆われていた。その中に、僕の瞳があって、赤く輝いていた。背中の翼は、アンバランスなほどに、大きく長く、僕の足も、細かい鱗に覆われていた。
「あぁ!」
僕は、小さく叫んで、うずくまっていた。見るんじゃなかった。1人、遅れている僕を探しに来た先生は、うずくまっている僕が、具合が悪くなったと思い込み、休憩室に運んでくれた。こんな僕に、先生は、優しかった。涙が、止まらず、二度と、ここへは、来ないと誓っていた。
「蓮。。」
僕の姿を見ても、特に八は、驚かなかった。川に遊びに行って、溺れそうになった八を助けた時から、八は、何もかも受け入れてくれていると信じている。でも、僕自身、この姿は、格好の良いとは、思っていない。
先ほど、入ってきた玄関から先には、信徒達が、あたりを埋め尽くすほどに増えていた。いったいこんな田舎に、これほどの人が、いるのかと思うほどだった。わかるのは、僕らを何とかして、傷つけてでも、捕まえようとする気迫だけだった。
「ついに、居場所を突き止めたわ」
三那月は、腰を打ったのか、ゆっくりと身を起こしながら、言った。
「殺しても良いから、捕まえるのよ」
それぞれが、手に香木を柄にした細い刃物を手にしていた。
「蓮は、ともかく、俺は、刺されたくないな」
「いやいや。。僕だって」
市神は、まだ、気を失ったままだ。意識が、どこかに、閉じ込められたままだ。このまま、空に逃げた方がいいのか。だとしても、この数の信徒たちは、止まらず、追いかけてくるだろう。
「どうしたの?」
三那月は、笑った。
「知ってるわ。あなたは、人を殺す事は出来ないって。どうするの?空に、逃げる?どこまでも、追いかけていくわよ」
「ちっ!」
八が、舌打ちした。
「わかってやがる」
そう、僕は、人を殺める事は出来ない。そうしたら、また、別の問題が起きる。
それなら。。。
「八!」
僕が、目配せをすると八は、すかさず、耳を押さえ、体を低くした。僕は、空に駆け上がった。
「だから、空に逃げても同じなの」
三那月は、最後まで、続ける事が出来なかった。いや。。。音がかき消された。天や地を、僕の口から、放った音が、全ての音を飲み込んでいった。一瞬、人は、何が起きたか分からなかった。形容しがたい高い音が、人々の頭の中に木霊した。誰もが、思考停止した中、僕は、八を抱え空に駆け出していった。
「ま!」
待てと言いたかったのだろう。三那月は、苦しそうに、頭を抱えていた。僕の声は、冥洞にいる沙羅達にも、届いていた。
「ついに。。。現れたわね」
瑠眞は、空を見上げていた。
「もう少し、あなたには、働いてもらわないとね」
沙羅の消滅は、少し、延期される事になりそうだ。
道端に咲いた花や虫たち。山の影の風までもが、僕に話しかけてきた。僕は、素直でなかった。答えれば、何かが起きると思い込んでいた。だから、下を見て、気付かないふりをしていた。それで、ずーっと過ごせれば良かったんだけど、みんなの興味が、石鏡から外れて、外に行った時に、映した姿は、怖かった。僕は、人ではなかった。鏡の中の僕の顔は、半分が、細かい鱗に覆われていた。その中に、僕の瞳があって、赤く輝いていた。背中の翼は、アンバランスなほどに、大きく長く、僕の足も、細かい鱗に覆われていた。
「あぁ!」
僕は、小さく叫んで、うずくまっていた。見るんじゃなかった。1人、遅れている僕を探しに来た先生は、うずくまっている僕が、具合が悪くなったと思い込み、休憩室に運んでくれた。こんな僕に、先生は、優しかった。涙が、止まらず、二度と、ここへは、来ないと誓っていた。
「蓮。。」
僕の姿を見ても、特に八は、驚かなかった。川に遊びに行って、溺れそうになった八を助けた時から、八は、何もかも受け入れてくれていると信じている。でも、僕自身、この姿は、格好の良いとは、思っていない。
先ほど、入ってきた玄関から先には、信徒達が、あたりを埋め尽くすほどに増えていた。いったいこんな田舎に、これほどの人が、いるのかと思うほどだった。わかるのは、僕らを何とかして、傷つけてでも、捕まえようとする気迫だけだった。
「ついに、居場所を突き止めたわ」
三那月は、腰を打ったのか、ゆっくりと身を起こしながら、言った。
「殺しても良いから、捕まえるのよ」
それぞれが、手に香木を柄にした細い刃物を手にしていた。
「蓮は、ともかく、俺は、刺されたくないな」
「いやいや。。僕だって」
市神は、まだ、気を失ったままだ。意識が、どこかに、閉じ込められたままだ。このまま、空に逃げた方がいいのか。だとしても、この数の信徒たちは、止まらず、追いかけてくるだろう。
「どうしたの?」
三那月は、笑った。
「知ってるわ。あなたは、人を殺す事は出来ないって。どうするの?空に、逃げる?どこまでも、追いかけていくわよ」
「ちっ!」
八が、舌打ちした。
「わかってやがる」
そう、僕は、人を殺める事は出来ない。そうしたら、また、別の問題が起きる。
それなら。。。
「八!」
僕が、目配せをすると八は、すかさず、耳を押さえ、体を低くした。僕は、空に駆け上がった。
「だから、空に逃げても同じなの」
三那月は、最後まで、続ける事が出来なかった。いや。。。音がかき消された。天や地を、僕の口から、放った音が、全ての音を飲み込んでいった。一瞬、人は、何が起きたか分からなかった。形容しがたい高い音が、人々の頭の中に木霊した。誰もが、思考停止した中、僕は、八を抱え空に駆け出していった。
「ま!」
待てと言いたかったのだろう。三那月は、苦しそうに、頭を抱えていた。僕の声は、冥洞にいる沙羅達にも、届いていた。
「ついに。。。現れたわね」
瑠眞は、空を見上げていた。
「もう少し、あなたには、働いてもらわないとね」
沙羅の消滅は、少し、延期される事になりそうだ。
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