星渡る舟は、戻らない

蘇 陶華

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最悪の結果

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火事になった物流倉庫から、みつかった遺体の件で、叔母は、警察に呼び出される事になったのだが、澪の父親に、確認の連絡が来たのは、翌朝の事だった。
僕らは、あの後、澪を自宅に送り届けると、告げたい言葉を飲み込んだままだった。
現在、澪は、動揺しているだろうし、僕の事で、迷わせたくなかった。
「驚いた」
警察からの連絡を受けた父親から、話を聞いた澪は、携帯の向こうの声がうわずっていた。
「叔母の夫が行方不明なのは、事実なんだけど」
あらゆる状況を考えているのだろう。
「叔母の夫ではなかったの」
「誰だったの?」
「女性・・・」
「女性?じゃ、従業員とか?」
「それなんだけど、全く、関係のない人」
「何か、用があって、火事に巻き込まれたとか?」
「そうじゃなくて・・・亡くなったのは、火事じゃないみたい」
「え?」
きっと、これが殺人事件となると、会社の影響を考えているのだろう。
澪は、言葉が、なかった。
「まさか?」
「何らかの事件に巻き込まれたのだろうって・・・今、身元を探しているんだけど」
「会社関係でない人が、倉庫にいるのも、不思議だよな」
「火の気のない倉庫なの。遺体が見つかる前は、配電盤のショートだろうって、話だったんだけど。ダンボール箱の燃えた後から、人がみつかったって」
「どうして、叔母さんの夫と思われたの?」
「叔母の旦那さんの携帯があったって」
「それって・・」
どうしたら、そこに携帯があったのだろう。
「叔母さんの旦那さん?」
「何ともだけど。おばさんも怪しい・・・その時間は、叔母と一緒にいたから、叔母は、関係ないと思うけど」
叔母は、感情を抑えられない人。
自分の目的の為なら、身内にだって、牙を向ける。
「わからないわ。こんな事をしたら、会社が、ダメになってしまう」
「叔母さん達が怪しいて、決まった訳でないだろう?」
「そうなんだけど・・・あの」
澪が、何を恐れているのか、わかった。
「こんな血生臭い事は、初めててないんだよね」
澪の事故の事を思い出した。
「君の大事な人を亡くした事故があったんだよね」
「叔母と関係ないと思いたいけど」
無謀な運転による事故
将来を希望されていた恋人と聞いた。
僕とは、全く、違う高見に居る人。
彼が生きていたら、僕らが、出会い事はなかった。
「僕の勝手な推測だけど」
「いいの・・・言わないで」
澪は、僕の言葉を塞いだ。
「叔母が来たから、後でかけ直すわ」
そう言うと、澪の電話は切れた。
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