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僕らは、惹きあう
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蒼は、ずっと気になっていた。
「どうして、ライブ前に、観客が入らなかった」
のか。
いつもなら、会場は、観客でいっぱいの筈だ。
たくさんの歓声が響いていた筈なのに。
始まってから、慌てた様に、観客が入ってきた。
その疑問は、すぐ、解けた。
SNSに多くの答えが載っていた。
「謎のバイオリニスト」
って。
マスクと目深に被った帽子。
暗めのパーカーを被り、何処にでもいる青年だ。
だけど、そのバイオリンを弾く姿に目が留まった。
「!?」
大雑把で、荒削りな弾き方。
繊細な弦楽器を扱う弾き方ではなく、自信にあふれたダイナミックな弾き方は、蒼の弾き方をは、全く、正反対で、不器用にも見えるが、目を惹きつけていた。
「何なんだ・・・」
そこに居るだけで、圧倒的な存在感。
蒼の目が、細部まで、惹きつけられる。
「あ!」
その時、気が付いた。
「あれは・・・」
そう、自分のバイオリン。
どこかで、取り違えたと思っていた自分のバイオリンが、そこにあった。
扱いにくくて、なかなか、音を出せなかったバイオリンが、そこにあった。
自分でさえ、引きこなすのに、時間がかかったのに。
いとも、簡単に、バイオリンを弾いている。
「誰だ?」
蒼の胸にジェラシーが湧き上がった。
自分でしか、弾けないベイオリン。
自分だけが、弾き手として、選ばれたと思っていたのに、こうも、簡単に弾く奴がいるなんて。
「このバイオリンの持ち主か・・・」
蒼は、取り違えたバイオリンをケースから取り出した。
古く、どこにでも、ありそうなバイオリンだった。
自分のとは、全く、違う。
細かい傷が、古い歴史を物語っていた。
「誰かいる?」
蒼は、スタッフに声をかけた。
これから、申し込まれた対談に入る予定だった。
だが、このバイオリンの弾き手が気になる。
「これから、撮影に入らなきや、ならないんだけど、これ!誰だか、調べられる?」
バイオリンを取り戻す事より、弾いている青年が気になる。
どこかで、見た気もする後ろ姿。
面差しは、はっきりと見えないが、アップになった時の、横顔が、メガネの奥が、どこかで、見た記憶がある。
「どこかで、逢った気もするんだ」
「わかりました。探してみます」
スタッフは、そう言うと、飲み物を差し出した。
「そろそろ、時間です」
「あぁ・・わかった。もう、あちらは、来ているの?」
「はい。お待ちのようです」
「ふ・・・ん。僕、あんまり歌は、興味ないんだけど」
蒼は、そう言いながら、寧大の待つスタジオに向かっていった。
「どうして、ライブ前に、観客が入らなかった」
のか。
いつもなら、会場は、観客でいっぱいの筈だ。
たくさんの歓声が響いていた筈なのに。
始まってから、慌てた様に、観客が入ってきた。
その疑問は、すぐ、解けた。
SNSに多くの答えが載っていた。
「謎のバイオリニスト」
って。
マスクと目深に被った帽子。
暗めのパーカーを被り、何処にでもいる青年だ。
だけど、そのバイオリンを弾く姿に目が留まった。
「!?」
大雑把で、荒削りな弾き方。
繊細な弦楽器を扱う弾き方ではなく、自信にあふれたダイナミックな弾き方は、蒼の弾き方をは、全く、正反対で、不器用にも見えるが、目を惹きつけていた。
「何なんだ・・・」
そこに居るだけで、圧倒的な存在感。
蒼の目が、細部まで、惹きつけられる。
「あ!」
その時、気が付いた。
「あれは・・・」
そう、自分のバイオリン。
どこかで、取り違えたと思っていた自分のバイオリンが、そこにあった。
扱いにくくて、なかなか、音を出せなかったバイオリンが、そこにあった。
自分でさえ、引きこなすのに、時間がかかったのに。
いとも、簡単に、バイオリンを弾いている。
「誰だ?」
蒼の胸にジェラシーが湧き上がった。
自分でしか、弾けないベイオリン。
自分だけが、弾き手として、選ばれたと思っていたのに、こうも、簡単に弾く奴がいるなんて。
「このバイオリンの持ち主か・・・」
蒼は、取り違えたバイオリンをケースから取り出した。
古く、どこにでも、ありそうなバイオリンだった。
自分のとは、全く、違う。
細かい傷が、古い歴史を物語っていた。
「誰かいる?」
蒼は、スタッフに声をかけた。
これから、申し込まれた対談に入る予定だった。
だが、このバイオリンの弾き手が気になる。
「これから、撮影に入らなきや、ならないんだけど、これ!誰だか、調べられる?」
バイオリンを取り戻す事より、弾いている青年が気になる。
どこかで、見た気もする後ろ姿。
面差しは、はっきりと見えないが、アップになった時の、横顔が、メガネの奥が、どこかで、見た記憶がある。
「どこかで、逢った気もするんだ」
「わかりました。探してみます」
スタッフは、そう言うと、飲み物を差し出した。
「そろそろ、時間です」
「あぁ・・わかった。もう、あちらは、来ているの?」
「はい。お待ちのようです」
「ふ・・・ん。僕、あんまり歌は、興味ないんだけど」
蒼は、そう言いながら、寧大の待つスタジオに向かっていった。
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