61 / 82
出陣
しおりを挟む
瑠璃光は、聚周を従え、皇宮を後にした。目指すは、アルタイ国の本陣だったが、真正面から行けば、道中の地形から行って、挟みうちに合いかねないので、紗姫達の軍と二つに分かれた。慣れない異国の地での、戦いは、さぞ、苦戦するだろうと誰もが、陽の元の国を案じたが、人とは異なる軍勢の為、快進撃を続けていた。瑠璃光と聚周も、地形を利用し、アルタイ国の後ろから攻め入る予定だった。士気は、高く、瑠璃光が先頭にいる事で、安心していた。
「一つだけ、不安があるとしたら」
紫鳳は、聚周に言った。
「この戦いが終わったら、また、お前達が、心代わりするって事だな」
紫鳳は、冷ややかに言う。
「それは、どうかな?そもそも私の位置が、守られているなら、何もする事はなかった。私の位置と変わらないか?」
先頭に立つ瑠璃光をよそに、左右で、聚周と紫鳳とが、揉めている。最初は、黙って馬の足を進めていた、瑠璃光が、馬足を止めた。
「いい加減にしないか?子供の喧嘩か?」
瑠璃光は、ため息をついた。
「喧嘩する相手が、違うし。落ち着いたら、我らは、また、旅に出る。風蘭には、そのまま、玉座を守ってもらうつもりだ」
「成徳は、どうするつもりですか?あいつは、自分がなりたいんですよ」
「なればいい」
瑠璃光は、言う。
「周りの国が、こうして狙っている。守り切れる王ならば、その玉座についても、構わないと思うが」
「だめでしょう」
聚周は、否定する。
「周りは、認めません。可能であれば、あなたを傀儡にするのが、奴の考えですから」
「私?が、傀儡か・・・」
瑠璃光は、笑った。
「私を縛り付けておくなんて、できるものか。自由でいたい。紫鳳の姿こそ、私の願いだった」
「私?」
紫鳳は、突然の告白に、キョトンとした。
「自由に空を飛べる翼があるという、それだけで、羨ましい。」
「召喚してくれないと飛べませんけど」
「羽があっても、飛べないんじゃ、鶏と同じだ」
聚周が、バカにして笑う。
「何を!」
紫鳳が顔を真っ赤にして、起こり始める。
「ええい!止め!」
瑠璃光は、香を一掴み取り出すと、掌に載せた。
「アルタイ国にも、シャーマンがいる。大きな獣人もいると聞く、紫鳳、先回りして、様子を見てくるように」
香は、瑠璃光の口元から立ち上り消えていった。紫鳳の背中に広がった翼は、風を切り、宙に舞い上がる。
「変な事はするなよ!」
聚周に捨て台詞を吐くと、東の空に向けて、去っていった。
「そう言うなら、期待に沿わなきゃな」
聚周は、そう言いながら、紫鳳の背中を見送った。
「一つだけ、不安があるとしたら」
紫鳳は、聚周に言った。
「この戦いが終わったら、また、お前達が、心代わりするって事だな」
紫鳳は、冷ややかに言う。
「それは、どうかな?そもそも私の位置が、守られているなら、何もする事はなかった。私の位置と変わらないか?」
先頭に立つ瑠璃光をよそに、左右で、聚周と紫鳳とが、揉めている。最初は、黙って馬の足を進めていた、瑠璃光が、馬足を止めた。
「いい加減にしないか?子供の喧嘩か?」
瑠璃光は、ため息をついた。
「喧嘩する相手が、違うし。落ち着いたら、我らは、また、旅に出る。風蘭には、そのまま、玉座を守ってもらうつもりだ」
「成徳は、どうするつもりですか?あいつは、自分がなりたいんですよ」
「なればいい」
瑠璃光は、言う。
「周りの国が、こうして狙っている。守り切れる王ならば、その玉座についても、構わないと思うが」
「だめでしょう」
聚周は、否定する。
「周りは、認めません。可能であれば、あなたを傀儡にするのが、奴の考えですから」
「私?が、傀儡か・・・」
瑠璃光は、笑った。
「私を縛り付けておくなんて、できるものか。自由でいたい。紫鳳の姿こそ、私の願いだった」
「私?」
紫鳳は、突然の告白に、キョトンとした。
「自由に空を飛べる翼があるという、それだけで、羨ましい。」
「召喚してくれないと飛べませんけど」
「羽があっても、飛べないんじゃ、鶏と同じだ」
聚周が、バカにして笑う。
「何を!」
紫鳳が顔を真っ赤にして、起こり始める。
「ええい!止め!」
瑠璃光は、香を一掴み取り出すと、掌に載せた。
「アルタイ国にも、シャーマンがいる。大きな獣人もいると聞く、紫鳳、先回りして、様子を見てくるように」
香は、瑠璃光の口元から立ち上り消えていった。紫鳳の背中に広がった翼は、風を切り、宙に舞い上がる。
「変な事はするなよ!」
聚周に捨て台詞を吐くと、東の空に向けて、去っていった。
「そう言うなら、期待に沿わなきゃな」
聚周は、そう言いながら、紫鳳の背中を見送った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる