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新しい世界へ。
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成徳が目にしたのは、真っ直ぐにこちらに向かうアルタイ国王のシンとロッシの姿だった。少し、遅れて聚周の姿も見える。自分は、そう、測られたのだ。あの瑠璃光が、簡単に倒れる筈がない。やはり、半妖。龍神の子なのだ。
「それなら、いっその事!」
成徳は、満身に力を入れた。自身の霊力を爆破させ、この皇宮ごと、瑠璃光も紫鳳、この一族を根絶やしにしてやろうではないか。その為に、成徳の霊力の源、蛟の累の居場所を地下に地峡していたのだ。成徳の両腕は、顔を覆った。光が交差し、地下へと走る。額が、二つの割れ、間からは、恐ろしい鱗が覗く。空間を走る光は、縦横に限りなく動く。
「!」
成徳は、思わず、片膝をついた。
「どうした?」
瑠璃光は、そっと微笑んだ。
「これは・・」
見下ろすように囲んでいた城壁から、紫鳳の羽達が、弓を構えて、成徳に矢先を向けていた。誰かが、少しでも、動けば、間違いなく、射抜いてしまうだろう。成徳は、それ以上、力が入らない事に気が付いた。成徳の体を包んでいた光は、力を失い消えていく。
「何をした?」
成徳が変化する事はできなかった。
「私は、何もしていない」
瑠璃光は、成徳を見下ろした。
「誰を真似たのかは、知らないが、彼女は、居場所を見つけたようだ」
累は、紗々姫と一緒に、陽の元の国へと、去っていた。
「去った?あの蛟を受け入れてくれる所があるのか?」
「誰の真似をしたのか、知らないが、地下に霊獣を閉じ込め、力を得ようとしたのは、お前には、無理だった様だな」
瑠璃光は、そういうと、掌から、光の輪を飛ばした。逃げる間も無く成徳の体を包み込み、成徳は、元の姿に戻る事もできず、醜い姿のまま、その場に、両膝をついていた。
「ようやく、これで、解決したのかな」
アルタイ国王のシンは、馬から降りると、ゆっくりと瑠璃光に歩み寄る。
「お互いの国の膿を出したって感じかな」
「いつかは、この時が来ると思っていたが」
瑠璃光は、シンと握手を交わす。
「俺には、この作戦を黙っていたのは、許せないけどな」
遅れてきた聚周は言う。
「素直に、瑠璃光が、この座に着けばいいのに」
瑠璃光は、肩をすくめる。
「この座に?というか、この場所は嫌なのだ」
紫鳳は、言う。
「成徳は、誰かの真似をして、霊力を得る為に地下に、霊獣を閉じ込めたって言った。その誰かとは?」
皆と目のあった瑠璃光は、そっと目を伏せた。
「計算外だったのは、その霊獣との間に、皇子が生まれた事だったんだろうな」
瑠璃光の長いまつ毛が、かすかに震える。
「王には、国を守る勤めがある。この呪いの国、冥国には、最善の策だったんだろう。国には、それぞれ闇がある」
シンは、慰めるように言う。
「さぁ・・・この後は、どうするんだい?」
地上の出来事を知ったのか、青嵐と風蘭が、瑠璃光の元へ駆け寄ってくる。
「これからは・・・」
瑠璃光が、風蘭を見つめるが、風蘭は、そっと首を振る。
「この国も、お願いできないか?」
瑠璃光は、シンを真っ直ぐに見つめて言う。
「草原の国は、何もないという。両国のない所を補い合って、
新しい国を作れないか?」
「君は、いいのかい?この国を任せてしまって」
瑠璃光は、じっと足元を見つめる。
「私にとっては、忌まわしい地でしかない。母の声が、どこからか、聞こえてきそうで・・。この国と君の国とで、新しい国を作ってほしい」
シンは、風蘭を見つめる。
「彼女は、どうするんだい?」
風蘭は、そっと首を振る。
「自由にしてあげたいんだ」
風蘭の代わりに青嵐が答える。
「女性らしく、自由に」
風蘭は、青嵐を見つめて微笑む。
「瑠璃光。私達は、どうする?」
紫鳳は、成徳が逃げ出さないように、しっかり光の輪を掴みながら話しかける。
「私は、お前の影だから、どこまでも行くつもりだよ」
「そうだな・・・・」
瑠璃光は、遠くを見つめた。風が、優しく瑠璃光の髪を撫でていく。
「遊歴でもして、鬼神にでもなるか・・・」
瑠璃光と紫鳳は、見つめ合いながら笑った。
「また、海の向こうにでも行こうか・・・」
ようやく、瑠璃光は、皇帝の呪縛から自由になる事ができた。風蘭は、自分の人生を取り戻し、冥国とアルタイ国は、新しい国へと生まれ変わった。聚周は、瑠璃光の命を受け、国王シンの片腕となり、ロッシは、健康な体を取り戻した。そして、瑠璃光と紫鳳は・・・・。
完
また、どこかで、会いましょう。今までありがとうございました。瑠璃光 紫鳳
「それなら、いっその事!」
成徳は、満身に力を入れた。自身の霊力を爆破させ、この皇宮ごと、瑠璃光も紫鳳、この一族を根絶やしにしてやろうではないか。その為に、成徳の霊力の源、蛟の累の居場所を地下に地峡していたのだ。成徳の両腕は、顔を覆った。光が交差し、地下へと走る。額が、二つの割れ、間からは、恐ろしい鱗が覗く。空間を走る光は、縦横に限りなく動く。
「!」
成徳は、思わず、片膝をついた。
「どうした?」
瑠璃光は、そっと微笑んだ。
「これは・・」
見下ろすように囲んでいた城壁から、紫鳳の羽達が、弓を構えて、成徳に矢先を向けていた。誰かが、少しでも、動けば、間違いなく、射抜いてしまうだろう。成徳は、それ以上、力が入らない事に気が付いた。成徳の体を包んでいた光は、力を失い消えていく。
「何をした?」
成徳が変化する事はできなかった。
「私は、何もしていない」
瑠璃光は、成徳を見下ろした。
「誰を真似たのかは、知らないが、彼女は、居場所を見つけたようだ」
累は、紗々姫と一緒に、陽の元の国へと、去っていた。
「去った?あの蛟を受け入れてくれる所があるのか?」
「誰の真似をしたのか、知らないが、地下に霊獣を閉じ込め、力を得ようとしたのは、お前には、無理だった様だな」
瑠璃光は、そういうと、掌から、光の輪を飛ばした。逃げる間も無く成徳の体を包み込み、成徳は、元の姿に戻る事もできず、醜い姿のまま、その場に、両膝をついていた。
「ようやく、これで、解決したのかな」
アルタイ国王のシンは、馬から降りると、ゆっくりと瑠璃光に歩み寄る。
「お互いの国の膿を出したって感じかな」
「いつかは、この時が来ると思っていたが」
瑠璃光は、シンと握手を交わす。
「俺には、この作戦を黙っていたのは、許せないけどな」
遅れてきた聚周は言う。
「素直に、瑠璃光が、この座に着けばいいのに」
瑠璃光は、肩をすくめる。
「この座に?というか、この場所は嫌なのだ」
紫鳳は、言う。
「成徳は、誰かの真似をして、霊力を得る為に地下に、霊獣を閉じ込めたって言った。その誰かとは?」
皆と目のあった瑠璃光は、そっと目を伏せた。
「計算外だったのは、その霊獣との間に、皇子が生まれた事だったんだろうな」
瑠璃光の長いまつ毛が、かすかに震える。
「王には、国を守る勤めがある。この呪いの国、冥国には、最善の策だったんだろう。国には、それぞれ闇がある」
シンは、慰めるように言う。
「さぁ・・・この後は、どうするんだい?」
地上の出来事を知ったのか、青嵐と風蘭が、瑠璃光の元へ駆け寄ってくる。
「これからは・・・」
瑠璃光が、風蘭を見つめるが、風蘭は、そっと首を振る。
「この国も、お願いできないか?」
瑠璃光は、シンを真っ直ぐに見つめて言う。
「草原の国は、何もないという。両国のない所を補い合って、
新しい国を作れないか?」
「君は、いいのかい?この国を任せてしまって」
瑠璃光は、じっと足元を見つめる。
「私にとっては、忌まわしい地でしかない。母の声が、どこからか、聞こえてきそうで・・。この国と君の国とで、新しい国を作ってほしい」
シンは、風蘭を見つめる。
「彼女は、どうするんだい?」
風蘭は、そっと首を振る。
「自由にしてあげたいんだ」
風蘭の代わりに青嵐が答える。
「女性らしく、自由に」
風蘭は、青嵐を見つめて微笑む。
「瑠璃光。私達は、どうする?」
紫鳳は、成徳が逃げ出さないように、しっかり光の輪を掴みながら話しかける。
「私は、お前の影だから、どこまでも行くつもりだよ」
「そうだな・・・・」
瑠璃光は、遠くを見つめた。風が、優しく瑠璃光の髪を撫でていく。
「遊歴でもして、鬼神にでもなるか・・・」
瑠璃光と紫鳳は、見つめ合いながら笑った。
「また、海の向こうにでも行こうか・・・」
ようやく、瑠璃光は、皇帝の呪縛から自由になる事ができた。風蘭は、自分の人生を取り戻し、冥国とアルタイ国は、新しい国へと生まれ変わった。聚周は、瑠璃光の命を受け、国王シンの片腕となり、ロッシは、健康な体を取り戻した。そして、瑠璃光と紫鳳は・・・・。
完
また、どこかで、会いましょう。今までありがとうございました。瑠璃光 紫鳳
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