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六芒星の迷子

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桂華が、T国で、お守り袋を拾ってから、身の回りで、怪奇現象は、確かに続いていた。飛行機の中での怪奇現象から、助け出したのは、名前も知らない女性だった。親と離れ暮らすアパートに戻ってからも、怪奇現象は続き、その度ごとに、不思議と助けられてきたが、怪奇現象が姿を現し始めたのは、あの図書館行ってからだった。
「この地には、戦国時代に六芒星の陣を敷いた武将がいたのよ」
史学を専攻しながら、都市伝説も好きな希空が鼻の穴を膨らませて言う。興奮するとすぐ、鼻の穴が膨らむ。
「敵から、土地を守る為?って事?」
「それだけでも、ないみたいよ。人間が相手だけではなかったって」
「史学を勉強しながら、都市伝説の研究も忙しいわね」
都市伝説だけで、片付かない事もある。ここに来てからは、桂華だけを狙って、妖が襲ってきている。今までは、ここに来ても、何もなかった。あの赤いお守り袋を拾っただけで、別な者を拾ってしまったのか?
「そうよ」
冥府の番人と名乗ったエルタカーゼは、桂華の心を読み取ったかの様に言う。
「十三番目の王が、あなたを選んだの。だけど、あなたを連れ去ろうとしても、邪魔が入ってできなかった。とうとう、ここまで来てしまったけど、逆に、リファル様が消えてしまった」
図書館に来た時に、空間が入れ替わった。あの時に時間の間に取り込まれてしまったのか?番人の感情に合わせるかのように、蒼い炎は、天高く揺れ上がっていく。
「次の満月まで、リファル様を助けて欲しい。出なければ、大変な事になる」
「大変な事って?」
「リファル様が消えて無くなる。星が消滅するかの様にね。」
「星が消滅するかの様にって・・」
桂華と希空は、顔を見合わせる。
「爆発?」
番人は、笑う。
「その逆よ。周りを吸収し尽くし、何もかも消えてなくなる。この陣が果たして、作動するかしら」
番人が笑うと、蒼い炎が、細く揺れ、渦を巻いて行く。宙の中で、幾つも重なり、希空の体へと降りていく。
「ちょっと!」
希空の頭から、足先まで、炎は覆うと、炎は、一瞬強く光利を放ち、一粒のかけらとなって、地に落ちていった。
「希空!」
桂華が、拾い上げようとすると、番人が先に、人差し指で、つまみ上げた。
「疑う訳ではないの。無事にリファル様が帰ってきたら、返してあげる」
そう言うと、番人の姿は、希空の全く同じ姿に変わっていった。
「陣を作った先人に会いにいく」
番人が、桂華の手を取っていた。
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