4 / 107
迷ってます。取り憑いた訳ではないけど。
しおりを挟む
僕が、怖い物。お化けや妖怪の類。幼い時に、宿題をしなかったら、裏にある蔵に入れると言われて、失禁した事がある。だって、ウチにある蔵は、先祖代々、伝わる土蔵で、よく、誰かが、覗いているように見えたから。僕は、この手が嫌い。この颯太は、その土蔵と同じ雰囲気があった。なるべく、近寄らないようにしていた。何度か、ニアミスがあったが、僕は、逃げ延びる事に成功していた。が!ここまで、僕の家まで、訪ねてきた。僕は、颯太の連れている者を見た瞬間、気を失った。もう、このまま、僕を放置してほしい。そう願ったが、なかなか、颯太もしぶとかった。玄関先で、横たわった僕をリビングまで、引きずり、僕が目を覚ますのを、2人?見下ろしながら待っていた。
「だから、言っただろう?絶対、顔を見せたら、気を失うって」
「う・・・ん。そんなに驚く事か?」
男っぽく話すのは、颯太の連れてきた者だ。確か、髪の長い、和服の女の子だった筈だが、口調は、男の子だった。
「急に姿を現すから、倒れたんだよ。だから、言っただろう?最初が肝心だって」
「こんなに、度胸がなくて、仕えるのか?」
「確かだと思ったんだけどなー」
颯太は、不服そうだ。
「音羽は、どう思う?」
「脈はないね」
音羽と言われたその者は、冷たく言い放った。
「私の姿を見て気を失う位では、役に立たん」
音羽と呼ばれた少女は、中で、一回転すると僕の枕元に降り立った。幽霊の筈なのに、着物の裾が頬に当たり、僕は、危うく、表情に出そうになった。
「時間があるのか?」
「助けてほしいって、メールが来て、6時間が経過している。そろそろ行かないとまずいな」
「こんなんじゃ、役に立たないだろう?」
音羽は、苛立っていた。僕の周りを、行ったり来たりしている。
「あの老婆さん、話がわかるかと思ったけど、一瞬だけかよ」
「まあまあ、音羽。女の子なんだから、優しく、怒ってね」
「優しく怒ってね。なんて無理だろう」
音羽は、興奮すると、口元が裂けてくる。僕が、いつまでも、横たわっているので、颯太は、ため息をつくと、諦めたらしく立ち上がり、玄関に向かい始めた。
「行くのか?」
「当てにしたんだけどね。ダメだね。この人。覇気がない」
颯太が、移動すると音羽も、一緒に移動する。どうやら、音羽は、颯太に憑いていて、離れる事ができないらしい。
「放置しておく事ができないから、もう行くよ」
颯太が玄関から外に出ると、音羽も後を追って、消えていった。
「良かった」
寝たふりで、横たわった僕が、起き上がったのは、彼らの気配が無くなってからだった。あんな幽霊を見たのは、初めてだったので、動悸が止まらなかった。
「冗談じゃない。ろくな目に遭わない」
大体、幽霊を見てしまうなんて事、ありえない。きっと、目の錯覚に違いない。僕は、玄関の戸締りを行い、何事もなかったと思い込む事にした。そう、この日は、事なきを得たかもしれない。けど、僕の災難は、颯太が現れた瞬間から始まっていた。
「だから、言っただろう?絶対、顔を見せたら、気を失うって」
「う・・・ん。そんなに驚く事か?」
男っぽく話すのは、颯太の連れてきた者だ。確か、髪の長い、和服の女の子だった筈だが、口調は、男の子だった。
「急に姿を現すから、倒れたんだよ。だから、言っただろう?最初が肝心だって」
「こんなに、度胸がなくて、仕えるのか?」
「確かだと思ったんだけどなー」
颯太は、不服そうだ。
「音羽は、どう思う?」
「脈はないね」
音羽と言われたその者は、冷たく言い放った。
「私の姿を見て気を失う位では、役に立たん」
音羽と呼ばれた少女は、中で、一回転すると僕の枕元に降り立った。幽霊の筈なのに、着物の裾が頬に当たり、僕は、危うく、表情に出そうになった。
「時間があるのか?」
「助けてほしいって、メールが来て、6時間が経過している。そろそろ行かないとまずいな」
「こんなんじゃ、役に立たないだろう?」
音羽は、苛立っていた。僕の周りを、行ったり来たりしている。
「あの老婆さん、話がわかるかと思ったけど、一瞬だけかよ」
「まあまあ、音羽。女の子なんだから、優しく、怒ってね」
「優しく怒ってね。なんて無理だろう」
音羽は、興奮すると、口元が裂けてくる。僕が、いつまでも、横たわっているので、颯太は、ため息をつくと、諦めたらしく立ち上がり、玄関に向かい始めた。
「行くのか?」
「当てにしたんだけどね。ダメだね。この人。覇気がない」
颯太が、移動すると音羽も、一緒に移動する。どうやら、音羽は、颯太に憑いていて、離れる事ができないらしい。
「放置しておく事ができないから、もう行くよ」
颯太が玄関から外に出ると、音羽も後を追って、消えていった。
「良かった」
寝たふりで、横たわった僕が、起き上がったのは、彼らの気配が無くなってからだった。あんな幽霊を見たのは、初めてだったので、動悸が止まらなかった。
「冗談じゃない。ろくな目に遭わない」
大体、幽霊を見てしまうなんて事、ありえない。きっと、目の錯覚に違いない。僕は、玄関の戸締りを行い、何事もなかったと思い込む事にした。そう、この日は、事なきを得たかもしれない。けど、僕の災難は、颯太が現れた瞬間から始まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる