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晴と邪神
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自分の中に何かが居る。
幼い頃から感じていた。
倉の中に、何かが、住んでいて、家族の誰もが大事に祀っているのを見ていた。
それが、当たり前だと思っていた。
婆さんの言う事に逆らう事は、許されなかった。
父も母も亡くなった後は、婆さんが、晴の育ての親だった。
「宿主」
その言葉が、合っている。
自分の中で、何かが育っている。
それは、当たっていた。
婆さんは、それを崇めている。
「僕と、どっちが大事なの?」
幼い頃、婆さんに聞いた事があった。
高熱を出した時だ。
宿主さんが死んでしまうからと薬を飲ませてくれなかった。
高熱にうなされる事、3日3晩。
ようやく熱が下がった朝、婆さんは、ゆっくり微笑んだ。
「よく頑張ったな」
それは、晴を心配して掛けた言葉ではなく、宿主に掛けた言葉だった。
「僕は、誰なの?」
「器だよ」
婆さんは、真顔で、答えた。
「ずっと、守り通さなくてはならない。それが、お前がこの家に生まれた理由だよ」
時折、正気になる婆さんが、怖かった。
自分の存在なんて、気にしていないようだった。
「婆さん、帰った。」
邪神の顔は消えていた。
晴に戻り、目の前の状況を飲み込めないまま、一旦、自宅に戻る事にした。
「帰ったのかい?」
大きな目で、晴を睨んだ。
「お客さんかい?」
晴は、颯太を抱えていた。
力なく倒れる颯太を抱え、困惑している晴に、音羽は、その場所から立ち去るように告げた。
「このままでは、みんな危ない」
相変わらず、音羽の出没には、驚いてしまう晴だったが、倒れている颯太を目にすると猶予がないと考えられた。
「どうすればいい?」
迷う晴に、音羽は、大きく口を開いた。
「安全な場所は、お前に家だ」
別の空間が、現れていた。
「僕の家が、安全な家か?」
得体の知れない家族。宿主と呼ばれる邪神を祀る家が、安全なのか。
晴は、何が起きているのか、想像していた。
自分が、邪神を育てる器なのなら、颯太も同じ何かに囚われている可能性がある。
除霊をしていた高校生が、真実は、される側だったとは。
数珠で、力を封じ込められたとしたら、
本当の颯太の姿とは。
「とんでもない、拾い物をしてきたな」
婆さんは、颯太の顔をジロジロと見渡した。
「宿主さんが、連れて来たのか?」
「わからない。気が付いたら、僕の前に倒れていて」
「宿主さんに代われ」
「代われって?ばあさん、そんな簡単に変わるなんて」
「できるんだよ。バカめ。どっちも、間抜けなのは、変わらないな」
「間抜けって!」
そう言った瞬間、晴の記憶は、飛んだ。
幼い頃から感じていた。
倉の中に、何かが、住んでいて、家族の誰もが大事に祀っているのを見ていた。
それが、当たり前だと思っていた。
婆さんの言う事に逆らう事は、許されなかった。
父も母も亡くなった後は、婆さんが、晴の育ての親だった。
「宿主」
その言葉が、合っている。
自分の中で、何かが育っている。
それは、当たっていた。
婆さんは、それを崇めている。
「僕と、どっちが大事なの?」
幼い頃、婆さんに聞いた事があった。
高熱を出した時だ。
宿主さんが死んでしまうからと薬を飲ませてくれなかった。
高熱にうなされる事、3日3晩。
ようやく熱が下がった朝、婆さんは、ゆっくり微笑んだ。
「よく頑張ったな」
それは、晴を心配して掛けた言葉ではなく、宿主に掛けた言葉だった。
「僕は、誰なの?」
「器だよ」
婆さんは、真顔で、答えた。
「ずっと、守り通さなくてはならない。それが、お前がこの家に生まれた理由だよ」
時折、正気になる婆さんが、怖かった。
自分の存在なんて、気にしていないようだった。
「婆さん、帰った。」
邪神の顔は消えていた。
晴に戻り、目の前の状況を飲み込めないまま、一旦、自宅に戻る事にした。
「帰ったのかい?」
大きな目で、晴を睨んだ。
「お客さんかい?」
晴は、颯太を抱えていた。
力なく倒れる颯太を抱え、困惑している晴に、音羽は、その場所から立ち去るように告げた。
「このままでは、みんな危ない」
相変わらず、音羽の出没には、驚いてしまう晴だったが、倒れている颯太を目にすると猶予がないと考えられた。
「どうすればいい?」
迷う晴に、音羽は、大きく口を開いた。
「安全な場所は、お前に家だ」
別の空間が、現れていた。
「僕の家が、安全な家か?」
得体の知れない家族。宿主と呼ばれる邪神を祀る家が、安全なのか。
晴は、何が起きているのか、想像していた。
自分が、邪神を育てる器なのなら、颯太も同じ何かに囚われている可能性がある。
除霊をしていた高校生が、真実は、される側だったとは。
数珠で、力を封じ込められたとしたら、
本当の颯太の姿とは。
「とんでもない、拾い物をしてきたな」
婆さんは、颯太の顔をジロジロと見渡した。
「宿主さんが、連れて来たのか?」
「わからない。気が付いたら、僕の前に倒れていて」
「宿主さんに代われ」
「代われって?ばあさん、そんな簡単に変わるなんて」
「できるんだよ。バカめ。どっちも、間抜けなのは、変わらないな」
「間抜けって!」
そう言った瞬間、晴の記憶は、飛んだ。
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