かぶと虫

niku_9

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妻から突然のランチの誘い

何ヶ月ぶりだろう

半分嬉しくて、半分嫌な予感

妻 早く用意して

夫 うん


まぁ少し、おしゃれしようか

妻 まだ?

夫 もうすぐ


お気に入りの服に、ハット

夫 良し!決まった!

けれど少し不機嫌な妻

昔お洒落だった妻は、最近は化粧もしない

少しイライラする私

夫 たまには昔みたいにオシャレでもして欲しい
  

私と出かける時はいつもすっぴんにキャップ姿の嫁

妻の運転で、向かった回転寿司

回転寿司は昔から苦手だった。

どうもシステムがわからないからもあるが、


回る寿司を選んでいると、つい寿司ばかりに目がいって目が回るからだ。


夫  回転寿司は苦手だから、中華にしない?

妻 いつも行き先決めないのに、何よ急に?
  私はお寿司食べたいの!


妻の言葉で気付く、昔から行き先はいつも妻に任せてばかりだったこと。

注文も妻、何も問題なく食事が始まる。


話題が無い。

突然妻が言い始める現実味のない将来話。


妻 私、老後は南の島でゆっくり釣りでもしながら過ごしたいなぁ

夫 何を馬鹿な事を……!インドアなお前が、
  島で釣りなんて。私は地元が好きだし、
  友達もいるし。


特に意味を持たない短い会話。

妻は私の好みをよく知っている。

好きなネタばかりどんどん運ばれてくるが、こんなに沢山食べきれない。

もう何皿目だろう?

妻は細身だがよく食べる、もう十五皿を越えている。

空になったビール片手に三杯目を追加注文しようとした瞬間、妻の少し怒った声。

妻 もう帰るよ

時計を見たらもうすぐ十五時。
こんなに食べて夕飯、食べ切れるのか?


妻 今日の夕食はお茶漬けね!飲み過ぎ!


えっ……それならもう少し食べていればよかった!がっつり中華だったら飲まなかったのに……。


その日の夜は妻の宣言通り

お茶漬けだったし、酒の肴も無かった。

お昼はやっぱり、一人が楽だな。











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