再会した彼は予想外のポジションへ登りつめていた【完結済】

高瀬 八鳳

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2 国立学園での日々と噂

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 学園の平民新入生のお世話係。自身の勉強と共に、彼ら10名のサポートをすることで、私の学園生活は一気に忙しくなった。

 何がわかならくて、どんな質問があるのか、今日の授業で困ったことはないか。それぞれの課題を共有し、問題や課題の反省や予習を全員で行い、交流を深めた。

 このお世話係は、貴族と平民の橋渡しともいえる、身分による差別を是正する為の、やりがいのある仕事だ。

 私は、偶然とはいえ、任命してくれたアドラーに感謝した。

 そして、最後に彼がみせた、あの素直な笑顔。
 無垢な子供のような彼の笑顔が、ときおり頭に浮かぶ。

 そのつど、私が彼を気にするのは、アルかもしれないから。だからこんなに気にかかるのだと、自分にいいきかせながら。

 私は、男性が苦手だ。近くによるだけで、恐怖と嫌悪感を感じる。
 サラディナーサの時に、周りいた男達にひどい仕打ちをうけたせいだ。

 今の父は、私が生まれた時から身近にいて、私の味方だとわかっているし、屋敷の者も慣れているので、特に問題はない。

 私にとって恐怖なのは、ダンスだ。
 よく知りもしない相手と抱き合って踊るなど、拷問でしかない。
 月に2度あるダンスの授業は、仕方なく何とか耐えているけど、夜会で脂ぎった中年男性や、欲望が顔にでている青少年と踊らされると考えただけで、吐きそうだ。

 なのに、アドラー王に手を握られても、嫌ではなかった。寒気も吐き気も感じなかった。
 こんなことははじめてだ。

 そのことからも、やはりアドラー王はアルなのかもしれない、と何度も考えてしてしまう。

 だが、私はその事を確認する手段を持たない。アルの事はいったん脇に置き、今は目の前のやるべき事をやろうと頭を切り替えた。

 新入生パーティーからアドラー王にあわぬまま、半年が過ぎた。

 どうせまた来年まで、顔を合わせることはないのだろうとお世話係に注力していたところ、私は予想外の話を聞くことになった。


「アドラー王の有力な婚約者って、どなたが?」
「ですから、先程から申し上げてるじゃありませんか! 勿論、ルイーサ様ですわ」
「そうそう、もうあちこちで噂なのです。本当の事を教えて下さいませ」
「……皆様、どなたかと勘違いされていらっしゃいますわ。わたくしが、王の婚約者候補だなどと、そのような事があるはずもございません」

 ある日の学園の帰りに、クラスのご令嬢達が興奮した口調で次々に話しかけてくる。
 噂か。誰が、どんな思惑でそんな事をふれまわってるんだか。

「あら、でも先月から、どの夜会に行っても聞きますのよ」
「わたくしもですわ。いよいよ、アドラー王がお心を決められたに違いないと」
「半年前の新入生歓迎パーティーでアドラー国王様とルイーサ様が踊られましたでしょう? わたくし、あの時もお二人がとってもお似合いだと思いましたの」
「そうそう、アドラー国王様が即位されて以来、ダンスを踊られたのは、あのルイーサ様との1回だけだそうですわ」
「皆様、噂のほとんどは信憑性のない勝手な陰口だとご存知でしょう? そもそも、わたくしは新入生歓迎パーティーから、アドラー王にお会いしたことも文をもらったことも、一切ございませんの。そんなわたくしが婚約者候補だなんて、あまりにもバカバカしい、くだらない戯言ですわ」

 自分の知らないところで、勝手な噂がでまわっているのは、気分がよいものではない。つい、強い口調になってしまう。

「ご、ごめんなさい、ルイーサ様。怒らないで下さいませ」
「そうですわ。ルイーサ様、わたくし達もはじめは単なる噂だと思っていたのです。でも昨夜の国城での夜会でも、そのお話を聞いたのです。『鷲の目』の方達もその場にいらっしゃったというのに」
「もし、国王様について間違った噂が流れていれば、『鷲の目』の方が黙ってはいないでしょう? なのに、何の注意もなさらなかったので、これは本当なのだわとわたくし達、確信して今、ルイーサ様にお伺いしたのです」

 困った表情で私に言い訳してくる彼女達だが、なかなか冷静に状況を分析していると感心した。彼女達に情報収集を頼むのは、ありかもしれない。

「ごめんなさい。わたくしも驚いたもので、少しきつく申し上げてしまったわ。でも、本当にあり得ないお話で困っているの。皆様、もしまたわたくしについて何か噂があれば、どんな小さな事でも正直におっしゃって下さいませ。わたくしは大きな夜会へはほとんど参加しないので、知らない事も多い。ぜひ、皆様のお力を貸して頂きたいの」
「わかりましたわルイーサ様。何かあれば、すぐにご報告しますわ」
「でも、今回の事は不思議ですわね。なぜ、『鷲の目』の方は黙認されているのかしら」
「ねえ、ルイ―サ様。ルイ―サ様にはその気がなくても、もしかしたら、アドラー王様はルイ―サ様を婚約者に望んでらっしゃるという可能性もあるかもしれませんわね」
「……冗談でもそんな恐ろしい事おっしゃらないで下さい。でも、正直申し上げて、このような噂になるのは迷惑ですの。わたくしは、ただ静かに勉強したい、それだけですの」

 アドラー王に興味があるのは、アルと同一人物かもしれないという点においてのみ。王妃や側妃の座にはこれっぽっちも興味はない。身動きのとれないポジションに座らされるのは絶対にごめんだ。

「……ルイ―サ様は本当に一貫性があるというか、男性にご興味がないというか……」
「本当ですわね。どんな男性も、それが国王様であっても、迷惑だと一刀両断するブレない姿勢。わたくし、ますますルイ―サ様のファンになりましたわ」
「わたくしもよ! 皆さま、わたくし達でしっかりルイ―サ様をお守りしてまいりましょう」

 誰の思惑で噂が流されたのか、不安は残る。だが、クラスメイトの方々がなんだか私を応援しようと盛り上がってくれたのは、有難い事だと感じた。

 勿論、彼女達を心から信用するわけではないけれど、それでも。私を守ろうとする気持ちが感じられ、赤の他人からそのような心配りをされるとは思ってもみなかったので、正直とても嬉しい。

 今は、素直にクラスのご令嬢達に感謝したい。そう思った。
 だが、話はこれで終わりではなかった。

 翌日、私は学園長より指示を受けた。翌週に、平民メンバーから選出した2名と共に、私は王城へ招待された。

 世話係として、王にこの半年間の状況を報告せよとの事だ。

 この学園の設立以来、生徒が報告とはいえ王城に招待された事など一度もなかった、と学園長も驚きながら話してくれた。
 口には出さないが、他の教師達もソワソワしているのが一目瞭然だ。

 変な噂が立っている今、余計に誤解を招くような行動は避けたいところだが、王命なので仕方がない。

 平民メンバーとはミーティングを行い、王城へ報告に行く2名を決めた。
 大きな商家の娘であるローレライと、騎士団見習いを世話する寮の管理人の息子、サイラスだ。彼らは貴族マナーに強く、自他ともに認める優等生で、人前で話す事にも抵抗がない。
 とはいえ、さすがの彼らも、国王への直接報告には緊張するようだ。

「ルイーサ様……。アドラー国王様への報告なんて大役、私達にできるのでしょうか?」
「大丈夫よ、ローレライ。向こうの質問に答えればいいだけよ。皆様が学園でどんな風に過ごしているのか、問題や課題点は何か、貴族籍の生徒とうまくやっているのか。その辺りを知りたいんだと思いますわ」
「……ルイーサ様は、落ち着いてらっしゃいますね。あの、ルイーサ様がアドラー国王様の婚約者候補って話、やっぱり本当なんですか?」
「ちょっと、サイラス! 失礼でしょ? ルイーサ様にそんな事直接聞くなんて……!」

 平民籍の生徒にまで、噂は広まっているのかとうんざりしたが、普段おとなしいサイラスの問いに多少の好奇心を掻き立てられた。

「サイラス、噂はあくまでも噂よ。わたくしには国王様より何の打診もきていない。でも、なぜあなたがその噂を気にかけるのかしら?」
「……そうですか。残念です。僕は、噂が本当だといいのにと思ってたので……」

 あからさまに肩を落とすサイラスの隣で、ローレライも残念そうな表情だ。

「なぜ、残念なの?」
「僕は、平民籍の僕達にも、学びと職を得る機会を与えて下さったアドラー国王様を尊敬し、とても感謝しています。アドラー国王様になってから国は平和になり、税率も下げられ、平民の生活も楽になったと周りの大人が話しているのをよく聞きます。その国王様とルイーサ様が結婚され、王妃になられれば僕達にとってこれほど嬉しい事はないですから」
「ルイーサ様、お世話係として親切に私達に接して下さるルイーサ様を、私達は尊敬しております。今まで、平民に公平に対応して下さる貴族の方はいませんでした。私達にとって、ルイーサ様と国王様、お二方は希望なのです。ですから、ご成婚の噂が本当だといいなって、皆で話してたんです」

 サイラスだけでなく、ローレライも勢いよく話しかけてきた。
 その圧に少し圧倒されながらも、この二人に私の考えを伝えるなら今だと感じた。

「お二人にお伝えしておきます。国王様のご結婚について、わたくし達があれこれ申すのは不敬にあたります。お気をつけあそばせ。もう一つ、これはわたくし個人の考えですが。お二方もこれからの時代は他人の力や権威をあてにせず、自分の力で事を成す、という意識を自分のなかに持つようにするとよいと思います」
「自分の力で事を成す意識、ですか?」
「ですが、ルイーサ様。私達平民は何の力もありません。貴族の方に粗相をすれば、斬り捨てられる身分ですよ。事を成すだなんて、そんなだいそれたこと……」

 そう、それが平民の普通の考えだ。

 平民だけでない。貴族籍であっても、より高い身分の貴族に対しては無力だ。
 理不尽な事に対して、言われるがまま。特に女性や、正当な血筋でない者は、人間扱いされない。
 現に前世の私サラディナーサは、貴族の身分で生まれたものの、目上の者に服從して当然という慣習により、言葉に出来ない苦痛を強いられた。

「アドラー国王様は平民の皆様に、学びと職を得る機会をつくられました。今までのやり方をかえようとされています。貴族と平民との身分による差を縮め、より調和のとれた社会へと近づける為に。ですが、皆様がかわろうとされず旧来の考え方のままでいれば、国王様の取り組みは進みませんわ。色々なルールや慣習を変えるのは難しいことです。勿論、反発も多く、今まで通りの生活を望む貴族も大勢いるでしょう。ですが……」
「……ですが……?」

 私はローレライとサイラスの目をしっかりと見ながら話を続ける。かっての自分自身に言い聞かせるように。

「国のトップである国王様が、先頭に立って変革されるのです。このような好機はめったとございません。お二人はこれまでの社会のあり方が良いとお思いですか? それとも、違ったやり方を試した方が皆にとってより良い世の中になるとお思いですか? 急にこのような話をされて、戸惑いが大きいかと存じます。ですが、わたくしは今、お二方にどうしてもお伝えしたいと思いましたの。わたくし達は、平民も貴族も、女性も男性も、区分に該当しない人であっても、身分にかかわらず皆、人間という同じ種族の生き物であり、この社会の一員であると。誰もが、自分の頭で考える権利が、世の中をかえたいと望む権利があるのだと……!!」

 話している内に、私の内部に眠る怒りが呼び覚まされてしまったようだ。
 気持ちが高ぶる。体が熱を持つ感覚。

 この社会への怒り、男性への怒り、諦観、傍観して立ち向かおうとしなかった過去の自分への怒り。

「……ごめんなさい、少し感情的になってしまって……。そんなふうに考えている人間もいるという事を、知って頂ければ嬉しく存じます」

 そう言って、目を閉じる。
 ゆっくりと呼吸し、体と心を整える。

ーーーーだめよ、感情に振り回されてはだめ。怒りにかられた時程、冷静にならないと。

 ローレライもサイラスも、何も言葉を発しない。
 しばらくして目を開くと、二人は静かに涙を流していた。

「……どうなさったの? わたくし、何かお二人の気分を害するような事を申したのかしら? ごめんなさいね」

 二人の涙を見て、私はあわてて謝った。

「いえ……! ……違いますわ、ルイーサ様。私、なんだか胸がいっぱいになってしまって……」
「ルイーサ様のお考えに、感動しました……。アドラー国王様のお役に立てるよう、これからも勉学に励みます。そして貴族の方も我々平民も、皆が幸せになれる道を自分なりに考え、模索していきたいと思います……!」
「ルイーサ様、私達平民の事を考えて下さり、ありがとうございます。これからも、色々教えて下さいませ……!」

 ローレライとサイラスは、泣きながらも笑顔でそう言った。
 気持ちを暴走させてしまった事を反省しながらも、人々に自分の考えを伝える機会をつくる必要性を実感した。

 忌々しい身分制度のあるこの社会をかえるには、人々の意識をかえなければならない。

 この点において、ふと、アドラー国王は最大の同志であるのかもしれないと感じた。
 勿論、国の最高権力者であるアドラー王と、一貴族の令嬢である自分とでは、同志等と考えるのもおこがましい程の差があるけれど。

 とにかく、翌週まで、そう時間の余裕はない。

 この半年間の平民生徒のお世話係としての報告書をつくろう。私は、国王が驚く程に質の高いものに仕上げると決意した。

 堅固で広大な王城の、小さな部屋に通された私とローレライ、サイラスは緊張しながら案内人を待っていた。ここから、国王の待つ謁見部屋へ通されるのだろうと思っていたのだ。
 まさか、アドラー王自ら、こちらの部屋へやってくるとは考えもしなかった。そんなことはあり得ないから。

 権力者は、動かない。
 動くのは、常に目下の者だ。
 彼が、男を従え部屋に入ってきた時、私達は言葉を失うほど驚いた。

「待たせて悪かったな。堅苦しい挨拶は不要だ。座ってくれ」

 アドラー王は、咄嗟に立ち上り最上級の礼をとろうとした私達に、そう言葉をかけ自らも席についた。

「大変お待たせ致しました。私は鷲の盾のシュナイゼル・レギオン・イリスと申します。ドゥルメール令嬢ルイーサ様、タン商会令嬢のローレライ様、ホーラント家ご子息のサイラス様。お忙しいなか、わざわざお越し頂き有り難う存じます。どうぞおかけ下さい」

 アドラー王の威圧感を至近距離で感じ、怯えていたローレライとサイラスだが、王の傍らに立つ人の良さそうな落ち着いた男性の存在に、ホッとしたのがわかった。

「こちらが報告書でございます」

 私は作成した書類をシュナイゼルに渡す。彼はひと通り紙に目を通し安全性を確認してから、アドラーへと差し出した。
 アドラー国王が無言で報告書を読む傍ら、シュナイゼルはニコニコと、私達3人を見つめてくる。
 人懐こい穏やかそうな笑顔だからこそ、その眼光の強さに、余計に胡散臭さを感じる。この手の人間は油断ならない。
 シュナイゼルといえば、鷲の盾のなかでもよりすぐりの精鋭、鷲の目のメンバーだ。確か外交を担当していたと記憶している。

 黒色の短髪、黒い瞳、焼けた肌のがっしりしたアドラー王と対象的な、ゆるやかに流れる銀髪、細身の中性的な体型、そしてルビーのような紅い瞳に、白い肌。シュナイゼルのその美貌に、何人もの令嬢が虜になったという話を聞いたこともある。

 全く違うタイプの人間だが、二人共に非凡な才能を持っている事は確かなようだ。

「驚いたな、ルイーサ嬢。よくできた報告書だ。出来過ぎな位にな」

 アドラー王がそう言いながら、顔を上げてこちらを見た。その顔には嘲りは見えず、言葉通りの感嘆の表情があらわれている。
 とりあえず、私の報告書は及第点をもらったようだ。

「有り難う存じます。少しでもお役に立てれば幸いでございます」
「うむ。では、次は二人から、直接意見を聞こう」
「それでは、ローレライ様、サイラス様。この半年間の感想と現時点での課題や気づいた事など、率直な声を聞かせて下さい。身分の事は気にせず、つまり、貴族批判となっても問題ありません。また、今回の会合は非公式なもののため、どこにも漏れる心配はありません。ですので、本音をお伺いしたいのです。」

 ローレライとサイラスはお互いに不安そうに顔を見合わせ、それから私を見た。私は彼らに、大丈夫だという気持ちを込めて笑顔で頷いた。

「ローレライ・アイシャ・タンです。国王アドラー様にご挨拶申し上げます。このように直接国王様にご報告する機会を頂きありがとうございます」
「ライラス・ホーラントです。本日はどうぞ宜しくお願い致します」
「うむ。より良く改善する為に、二人の現場の声は貴重だ。正直な意見や感想を頼む」
「かしこまりました!」

 アドラー王の言葉に、二人は弾かれたように報告をはじめた。

「……つまり、現時点での唯一の問題点は、平民の君達が学園で学ぶ事に納得していない貴族が、まだ少数いるという事か」
「はい。学園から平民は去れというように度々おっしゃる貴族の男性グループがあるそうです。私達はそのような経験はしないのですが、特定の平民生徒にいやがらせをされているようです。他に誰もいない場所でのみ、声をかけてくるそうで証拠はないのですが……」

 アドラー王はしばらく黙り込み、それから私の方に顔を向けた。

「ルイーサ嬢、この件についてどう思う? 何か、面白い策はないか?」
「面白い策、でございますか?」
「俺が納得できる対策があれば、のってやってもよいぞ」

 彼の上から目線の言葉と、ニヤリとした口元に、ついイラッとしてしまう。

「アドラー様は本当に奥ゆかしいお方でいらっしゃいますわね。わたくしに何とかしてほしいと素直におっしゃっればよろしいものを、遠まわしな言い方をされて」
「ル、ルイーサ様!」

 目を細めギロリと私を睨むアドラーに、ローレライとサイラスは息をのんだが、シュナイゼルはにこやかな表情を崩さない。
 次の瞬間、アドラーからククッという低い笑い声が聞こえた。

「余程、自信があるようだな、ルイーサ嬢」
「どうでしょうか。でも、アドラー様にはまた学園までご足労を願わなくてはなりませんが、よろしくて?」
「俺の出番はいつ頃だ?」
「そうでございますね。ひと月後のご予定はいかがでしょうか?」
「いいだろう。ひと月後に、学園で会おう。悪いが俺はもう行かねばならない。詳細はシュナイゼルと話してくれ。ローレライ、サイラス、今日は有意義な会合であった。礼を言う」
「アドラー国王様! 本日はお会いできて光栄でした。ありがとうございます!」
「アドラー国王様、本当にありがとうございました!」

 部屋を後にするアドラーを見送り、私達は再度席につく。

「さて、ではルイーサ嬢。あなたの計画を詳しく教えて頂けますか?」

 シュナイゼルの言葉をきっかけに、私達は作戦会議をはじめた。

 私達は作戦を実行し、それはうまく功を奏した。
 アドラー王への、私を含む学園生徒からの畏敬の念は、より大きくなったといえる。 

 忙しいなか学園へ足を運び、平民生徒にも声をかける彼の姿は、今までと違う為政者のあり方を私達に示している。

 口先だけでなく、行動で。

 彼は、本気でこの国を変えようとしているのだと感じる。
 平民にとって、貴族にとっても、新しい時代がやってくるのだと思うと、期待でゾクゾクする。

 彼のお陰で、私が望む社会に近づくのかもしれない。
 女性や弱き立場の者も、対等に意見を言える社会に、近づくのかもしれない、と。
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