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何だかいい匂いがするなぁ。
ラビは朝の微睡みの中である。
基本的に定休日はない桜庵であるが昨夜からデイブさんが泊まりがけでお城に出張中なのでお休みなのだ。
昨夜夜更かしをして両親や友人に手紙を書いていたラビはいつもよりのんびりと寝ている。
夢の中でふんわりとバターと玉子のいい香りがしている。
起きなきゃと思いながらまた微睡みに入ってしまった。
ラビ君?朝だよ。おーい。一緒にご飯食べようよ。
「ふわぁ。えっ?アリアさん!おはようございます!」
ラビ君?疲れてる?大丈夫?
アリアは心配そうにラビの顔を覗きこんでいる。
「はいっ。大丈夫です。昨夜はちょっと遅かったので。アリアさんが朝食作ったのですか?申し訳ない!」
いいんだよ。いつもラビ君が作ってるんだし、たまには私にも作らせて。
「有り難うございます!」
さぁ。行きましょう。
二人で階下の食堂に下りると既に準備万端のようだ。
ラビ君は珈琲でよいの?
「はい。朝は濃いめのブラックなんです。
アリアさんは如何されます?カフェオレにします?」
いいよ。今日は私に珈琲入れさせてよ。一応、カフェで働いてたから珈琲には自信あるんだから!
そういいながらアリアは珈琲をハンドドリップしている。
挽きたての珈琲豆のいい薫りにうっとりしながら新聞に目を通すラビ。
ジュビア王国のローカルニュースだけでなく、アーライ神国やルナリア皇国等の政治や経済といった事がおもしろく可笑しくわかりやすく書かれているワールド新聞はラビの幼馴染みが記者をしている事もあり
アーライ神国にいる時からラビは愛読しているのだ。
「アリアさん!デイブ殿がお城で甘味のワークショップ開催中って記事になってます。」
えー。そうなの?新聞に載る程の事?
「アリアさん。デイブ殿の作る甘味は三国一ですよ。私初めて栗大福をいただいた時は感動のあまり涙が止まりませんでしたから。」
ラビ君‥
珈琲も入ったし食べようか?今朝のメニューは職場のカフェで出そうかと思ってるキッシュの試作品なんだけどラビ君の感想聞かせて欲しいんだ。
アリアはちょっと不安そうな顔をしている。実は数日前から色々此方の食事情やらダイエット情報やらを集めてモーニングやランチのメニューを試作していたのだ。
今朝は珍しく早起きしたので試作品の中でも自信作のキッシュをラビに作ってみたのだ。
ラビ君どうかなお味は?
「アリアさん!このサクサクの生地は何ですか?パイ生地じゃないですよね?クリスピーで私好みです。」
そう?嬉しいな。生地はねぇ。内緒だよ。ラビ君ならわかると思うけどなぁ。
「むむっ。この味知ってるはずなんですが、難しいです。ふわぁ。チーズのトロトロもそそられますね。」
気にいってくれたみたいで嬉しいなぁ。
ねぇ。これ軽めのレディスランチにどうかな?
「いいと思います。キッシュとスープかサラダを選べてドリンクも選んでもらえばいいですよね。後は小さいデザートですかね?」
よしっ。ランチメニューひとつ決まりだ。来週試食会があるからそれまでに何品か試作するからラビ君また試食頼んでいいかな?
「はい。私でよいなら喜んで!」
ラビは無意識に軽くピョンピョン跳び跳ねながら答えた。
可愛いもふもふである。
アリアは試食会迄に試作品を食べて意見を言ってくれる人を検討中のようだ。
うーん。とりあえずマリナでしょ。後は‥
ブランと神?誰がいいかな?
「アリアさん。桜庵の常連のマダムに頼んでみましょうか?」
あっ。それいいわ。気に入ってもらえたら宣伝にもなるよね。よしっ。頑張って試作品作るわ。
アリアは燃えてきたようだ。
ぶつぶつ言いながら何やらクリームをかき混ぜている。
何が出来るのかな?
ラビはニコニコしながらアリアを横目に朝食の後片付けをしている。
ほのぼのした光景だ。
「アリアさん!大変です!」
ラビ君どうしたの?
「私寝坊して我が神と女神に祈りを捧げるの忘れていました‥」
ふふっ。大丈夫よ。アーライ神様も母様もお優しいもの。御祈りが食後でもお気になさらないわよ。
「そうでしょうか?」
バリーン!ザシュッ。ドカッ。
何だろう?この嫌な音と既視感‥
「おっはよー。アリアとラビ。元気にしてたかい?」
やっぱり!
我が家の破壊神が帰ってきたよ。
「女神!お待ち申しておりました!」
「やっほー。ラビ頑張ってるみたいだね。デイブから聞いてるよ。アリア。母さんお腹空いたから何か出して。」
母さんその前にあの窓と壁修復して、着替えてきて!何か獣臭いよ?
「おー。ごめんごめん。帰る途中でデビルベアーと格闘して倒したんだわ。シャワーしてくるからご飯よろしく。」
窓と壁は一瞬で直したみたい。
「女神!やはりお美しい‥」
ラビ君が放心したままだな。
誰か世話役欲しい。
私だけじゃ二人をまとめられないわ。
父さん早く帰ってきて。
アリアはミレディアが渡してきたデビルベアーらしき肉塊を目前にぐったりしていた。
ラビは朝の微睡みの中である。
基本的に定休日はない桜庵であるが昨夜からデイブさんが泊まりがけでお城に出張中なのでお休みなのだ。
昨夜夜更かしをして両親や友人に手紙を書いていたラビはいつもよりのんびりと寝ている。
夢の中でふんわりとバターと玉子のいい香りがしている。
起きなきゃと思いながらまた微睡みに入ってしまった。
ラビ君?朝だよ。おーい。一緒にご飯食べようよ。
「ふわぁ。えっ?アリアさん!おはようございます!」
ラビ君?疲れてる?大丈夫?
アリアは心配そうにラビの顔を覗きこんでいる。
「はいっ。大丈夫です。昨夜はちょっと遅かったので。アリアさんが朝食作ったのですか?申し訳ない!」
いいんだよ。いつもラビ君が作ってるんだし、たまには私にも作らせて。
「有り難うございます!」
さぁ。行きましょう。
二人で階下の食堂に下りると既に準備万端のようだ。
ラビ君は珈琲でよいの?
「はい。朝は濃いめのブラックなんです。
アリアさんは如何されます?カフェオレにします?」
いいよ。今日は私に珈琲入れさせてよ。一応、カフェで働いてたから珈琲には自信あるんだから!
そういいながらアリアは珈琲をハンドドリップしている。
挽きたての珈琲豆のいい薫りにうっとりしながら新聞に目を通すラビ。
ジュビア王国のローカルニュースだけでなく、アーライ神国やルナリア皇国等の政治や経済といった事がおもしろく可笑しくわかりやすく書かれているワールド新聞はラビの幼馴染みが記者をしている事もあり
アーライ神国にいる時からラビは愛読しているのだ。
「アリアさん!デイブ殿がお城で甘味のワークショップ開催中って記事になってます。」
えー。そうなの?新聞に載る程の事?
「アリアさん。デイブ殿の作る甘味は三国一ですよ。私初めて栗大福をいただいた時は感動のあまり涙が止まりませんでしたから。」
ラビ君‥
珈琲も入ったし食べようか?今朝のメニューは職場のカフェで出そうかと思ってるキッシュの試作品なんだけどラビ君の感想聞かせて欲しいんだ。
アリアはちょっと不安そうな顔をしている。実は数日前から色々此方の食事情やらダイエット情報やらを集めてモーニングやランチのメニューを試作していたのだ。
今朝は珍しく早起きしたので試作品の中でも自信作のキッシュをラビに作ってみたのだ。
ラビ君どうかなお味は?
「アリアさん!このサクサクの生地は何ですか?パイ生地じゃないですよね?クリスピーで私好みです。」
そう?嬉しいな。生地はねぇ。内緒だよ。ラビ君ならわかると思うけどなぁ。
「むむっ。この味知ってるはずなんですが、難しいです。ふわぁ。チーズのトロトロもそそられますね。」
気にいってくれたみたいで嬉しいなぁ。
ねぇ。これ軽めのレディスランチにどうかな?
「いいと思います。キッシュとスープかサラダを選べてドリンクも選んでもらえばいいですよね。後は小さいデザートですかね?」
よしっ。ランチメニューひとつ決まりだ。来週試食会があるからそれまでに何品か試作するからラビ君また試食頼んでいいかな?
「はい。私でよいなら喜んで!」
ラビは無意識に軽くピョンピョン跳び跳ねながら答えた。
可愛いもふもふである。
アリアは試食会迄に試作品を食べて意見を言ってくれる人を検討中のようだ。
うーん。とりあえずマリナでしょ。後は‥
ブランと神?誰がいいかな?
「アリアさん。桜庵の常連のマダムに頼んでみましょうか?」
あっ。それいいわ。気に入ってもらえたら宣伝にもなるよね。よしっ。頑張って試作品作るわ。
アリアは燃えてきたようだ。
ぶつぶつ言いながら何やらクリームをかき混ぜている。
何が出来るのかな?
ラビはニコニコしながらアリアを横目に朝食の後片付けをしている。
ほのぼのした光景だ。
「アリアさん!大変です!」
ラビ君どうしたの?
「私寝坊して我が神と女神に祈りを捧げるの忘れていました‥」
ふふっ。大丈夫よ。アーライ神様も母様もお優しいもの。御祈りが食後でもお気になさらないわよ。
「そうでしょうか?」
バリーン!ザシュッ。ドカッ。
何だろう?この嫌な音と既視感‥
「おっはよー。アリアとラビ。元気にしてたかい?」
やっぱり!
我が家の破壊神が帰ってきたよ。
「女神!お待ち申しておりました!」
「やっほー。ラビ頑張ってるみたいだね。デイブから聞いてるよ。アリア。母さんお腹空いたから何か出して。」
母さんその前にあの窓と壁修復して、着替えてきて!何か獣臭いよ?
「おー。ごめんごめん。帰る途中でデビルベアーと格闘して倒したんだわ。シャワーしてくるからご飯よろしく。」
窓と壁は一瞬で直したみたい。
「女神!やはりお美しい‥」
ラビ君が放心したままだな。
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