【完結】サヨナラの向こう側にあるもの

くれなゐにそまる

出逢った瞬間に落雷が落ちたかのように電撃が走り身体が痺れ総ての感覚が曖昧になる。

ぼんやりと君を見つめているだけの自分がそこにいた。

綺麗とか可愛らしいとか美しいとか魅力的とか

そんなありふれた言葉では語れない君の存在。

愛しくて堪らない。

出来ることなら君の唯一の存在になりたい。

君は僕の女神だ。

そう確信したのに。

君は‥君には決まった相手がいて

既に子を成しているというのだ。

そんな‥僕の運命の人のはずが‥

あの時、初めて二人が出逢った時

恥ずかしそうに頬を染めて僕に微笑んだのはどうしてなんだ？

逢うたびに思わせ振りな態度をしてきたのは何の為？

退屈しのぎにちょっとからかってやろうと思って僕に近づいたのなら許せない。

君の暇潰しの遊び相手にはなりたくないんだ。

君が少しでも本気で僕に近づいたのなら

考えない事もないけどね。

一時の戯れに心を砕くのは愚か者のする事だよ。

甘い香りを振り撒いて素知らぬふりで

自分からは誘惑するつもりなんてない

そんな態度をいつまでしているんだろうね。

僕を罠にかけたいんだろうね。

無駄な努力だよ。

罠にかかっているのは君の方だとそろそろ気づいて観念したらいいよ。

甘い罪を犯すのは誰なんだろうね。

僕は手出しはしない。

獲物が自ら堕ちて来るのをゆっくりと待つだけだから。

君は慌てなくていいんだ。

思うままに心を解き放ってくれたらいい。

すべてがくれなゐに染まる前に。

君を知りたい‥