聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第一章 act.47

華那恵~華那恵と史絵そして蓉子~

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昼休み、翔は昼食を摂った後、
屋上で横になり空を見上げていた。

(……………………。
 空が青いなあ…………。

 こうして……
 誰もいない屋上で寝ながら……
 空を見上げていると……
 …沖縄の事を思い出すよな…

 カプランと良く空を
 眺めていたっけ………

 ………………………。
 ……………………………。)

「空はどこまでも青く澄みきっている…
 自分の心を鍛え澄みきった空を目指せ
 どこまでもどこまでもあの空のように
 自分の心も空のように……か………」

「…………翔くん。
 ……それ翔くんの言葉?」

「………!?」

  ガバッ!

突然、昇降口の方から声を掛けられて
起き上がる翔。

「か、華那恵ちゃん?」

「うふふ………。
 翔くんが教室にいないから……
 きっと屋上だと思って…来ちゃった…」

そこには、
微笑んでる華那恵の姿があった。

「ごめんね…?また…驚かしちゃった…」

「…いや…別にそれはいいんだけど……」

華那恵はゆっくりと翔の側に寄ってきて、
覗き込むように聞いてきた。

「それよりも、さっきの翔くんの言葉?」

「えっ?」

「空は…どこまでも…ってやつ……」

「えっ? 俺……もしかして……
 口にしていた?」

「………うん、してた。」

「そっか……していたか……。
 自分的には…口にはしていなかったん
 だけどな……」

「しっかり言っていたよ?うふふ……
 ヘンなの……で?
 翔くんが考えた言葉なの?」

「…いや。沖縄の知り合いというか、
 拳法の師匠に教えてもらった言葉だよ」

「そうなんだ…。
 でもなんか綺麗な言葉だよね?
 私も……今聞いただけだけど
 ……心に残っちゃった」

「ああ、そうだね。
 こうして青空を見ていると……
 その言葉をいつも思い出すんだ………。
 自分の心を鍛えて…ってのが
 難しくてさ……

 ……………まだまだだよ…俺も……。
 なかなか青空って訳にはいかないし……」

「…………私も……そう」

「……………」

「……時々自分が…嫌になっちゃう」

華那恵は翔の横に膝を抱え込むように座り
自分の顔を膝に押し付けて寂しそうに答える。

翔はそんな華那恵の様子を気にしながら
聞いてみた。
 
「華那恵ちゃん………。
 何か相談したいことがあってきたんだろ?」

「………えっ?」

「何かあったから俺の所に来た…違うか?」

「……………翔くん。……凄いな……
 なんで翔くんには解っちゃうんだろ…?」

「わかるさ、なんとなくだけど……。
 …………で……どうした?」

「………………。
 ……しょう…くん…蓉子ちゃんと………
 仲……いいんだね……」

華那恵は翔の質問に小さな声で
呟くように答えた。

「……えっ?」

「………ううん…。…ナンでもない」

「華那恵…ちゃん?」

(華那恵のヤツ…なんでもないって顔かよ
 俺にはすっごく悩んでいるって顔にしか
 見えないけど…
 ……………………。
 どうしたもんかな……。
 華那恵と史絵ちゃんの為にも
 ……このままじゃ…いけないよな…。
 お節介かもしれないが……
 ハッキリと聞くか?)

翔は華那恵を見つめ思った。
そして、華那恵に話しかける。

「……………華那恵ちゃん」

  ビクッ

「……………はい……」

華那恵は翔の声に少し驚き
小さな声で返事をした。

「華那恵ちゃんが悩んでいるの……
 史絵ちゃんと……蓉子のことか?」

「……………………」

「蓉子と仲良くなって…史絵ちゃんの
 事を紹介したの俺だし………。
 蓉子と華那恵ちゃんのことは………
 彼女の口から…
 話を聞いたから知っている……」

「えっ?」

「蓉子も…悩んで…どうしようもなくて…
 史絵ちゃんも…その事で…悩んでいる。

 もちろん………俺は…
 華那恵ちゃんも悩んでいるのを
 解っているつもりだ………。

 そして…華那恵ちゃんが…話したくても
 話せない気持ちも………解る」


「………翔くん。
 ……わたし……わたし」

「ただ…これだけは聞いて置いてくれ…
 俺は…華那恵ちゃんの…悩みなら聞ける。
 
 どうしても苦しくなったら…話してくれ
 …いつでも時間を作るからさ……
 …今…苦しかったら…今でもいいからさ」

「………………ゴメン。翔くん…ゴメン。
 わたし………まだ……話せない………」

翔の話に泣きそうな声で答える華那恵。

「…………そっか……。
 だったら…まだいいよ…話さなくて」

「………えっ?」

「そのうち…華那恵ちゃんが…話しても
 良くなったとき話してくれればいいよ」

「……………うん。わかった。
 その時は………話すね?…ゴメンね…」

「……いや…いいよ。気にしなくても…」

「……もう少ししたら……
 ちゃんと………話せると思うから……」

「…………いいって………」

「…………ありがと」

「あっそうだ」

「……?」

翔はおもむろにポケットからスマホを
取り出す。華那恵はそれを不思議そうに
見ていた。

「華那恵ちゃん。これ俺の番号と
 メールアドレスだから……。
 REINは交換したくなったら教えて」

スマホの画面を開き華那恵に見せる翔。

「えっ?」

「華那恵ちゃんが相談したくなったら
 いつでも掛けて来てもいいから。
 基本的に水曜日と日曜日以外の夜は
 バイトしているけど、バイトの時
 以外はすぐに折り返せると思う。
 電話で話にくいのなら直接会って
 話すのでも構わないし俺はいつでも
 時間を作るからさ?
 遠慮しなくて良いよ?」

「う、うん。でも翔くんホントにいいの?
 迷惑じゃない?」

「大丈夫だよ? 華那恵ちゃんが
 元気になるならいくらでも
 相談にのるよ?」

「…………うふふ。
 ……やっぱり翔くんは優しいな……」

翔の優しさに触れ、華那恵は小さく笑った。

「じゃあ、遠慮なく登録させてもらうね?」

華那恵は自分のスマホを取り出し翔の番号と
アドレスを登録する。

「はい。翔くんありがと」

華那恵は笑いながら翔にスマホを
返した。翔がスマホを受け取ると同時に
短くスマホが震える。

「えっ?」

スマホの画面を見て顔を上げる翔。
華那恵は照れたように話してくる。

「私の番号とアドレスも登録しておいてね?
 あとこれ私のREINだから…」

「華那恵ちゃん…。いいの?」

「大丈夫だよ翔くんなら…。
 うふふ…翔くんありがと」

翔はそんな華那恵の表情を見てゆっくりと
話を続ける。

「………なんだよ……急に……」

「私……翔くんといると……
 なんだか元気でてくるんだ…
 不思議だね……こういうの」

「俺も華那恵ちゃんといると元気でるぜ」

「ほんと?」

「本当さ……」

「うふふ………何だか嬉しい。
 翔くん………今度の日曜日……ヒマ?」

「えっ……? ヒマだけど……。
 それってもしかして………」

「ちがう…ちがう。今度の日曜日……。
 約束した演劇コンクールなの……
 ………だから……その……
 もしヒマなら……」

「もちろん観に行くよ。どこで……あるの?」

「中央公園の……文化会館」

「わかった……。…必ず行くから……」

「じゃあ……後でチケット渡すね?
  プログラムと一緒に………」

「ああ……もらうよ」

「…………………」

「………!?」

(…………なんか…華那恵のやつ他にも
 なにか言いたげだな…
 まだ何かあるのかな?)

「……華那恵ちゃん?
 他にも何かあるのか?」

「え?……ああ……うん。あのね……
 終わった後に…打ち上げがあって……
 私……出たくなくて…それで…その日
 …終わったら…一緒に……その……」

「……そうだね。せっかくだから……
 一緒に帰ろうか?」

「いいの? 結構待つよ?」

「……ははは。かまわないよ……。
 待つのは馴れているから……」

「………じゃあ……お願い。
 私……終わった後の打ち上げって
 ……苦手なんだ。

 友達が待っているからって……
 逃げて来ちゃう……」

少し寂しげに微笑む華那恵。
翔はその事が気になったが二人の耳に
チャイムの音が聞こえてくる。

「あっ……大変………。
 早く教室に戻ろなくっちゃ
 翔くん………行こっ」

「はいはい……」

二人は仲良く並んで教室に向かっていった。





その日の授業が終わり、
翔は眠さを抑えきれない感じで
机にうつ伏せになった。

(今日も……終わった………。
 ………………。
 さすがに……眠たかった。)

「ナンだよ……翔。眠たそうだな?」

そんな翔に元気一杯の伸が話しかけてきた。

「………………伸か?…ほっといてくれ
 ……俺は………今眠い」

「だめだなあ………。
 俺みたいに授業中寝てれば………
 放課後はピンピンしているのに……」

「……………………」

(…………………伸……お前
 ……間違っている。)

「人間寝たいときに寝る。
 それが俺のポリシーさ!」

「…………………」

(………………………。
 だったら………今。俺を寝かせろ…
 ……いいや…寝たふりをしちゃえ…)

「オイ…翔。聞いているのか?」

「ぐ~~~~~~~ぅ」

「………………………
 ちぇっ……つまんねえの…………」

(……………………。
 ダメだ……本当に眠たい……。
 …………少しだけ……寝るか………)





「……………………………!?」

  がばっ

(やべえ! 本当に寝てた!
 時間は?………………………)

「良かった。30分しか経っていない…」

「あ~あ……起きちゃった……」

「………お早うございます。…翔くん」

「えっ? 史絵ちゃんに……蓉子?」

寝てしまって慌てて起き上がる翔。
目の前には史絵と蓉子が座っていた。

「………なんで……ここに?
 史絵ちゃん……図書室に行くって……
 言っていなかったっけ……?」

「……はい……言ってました」

「なに言ってんのよ! 
 伸くんが私達に30分位したら…
 翔を起こしてやってくれって
 頼んでいったから…
 待っていたんじゃないの」

「………えっ?」

「翔くん……。
 アルバイトがあるからって……
 遅れると可哀想だからって……
 言ってたもので……」

「………伸が……?ウソだろ……?」

「いいですね…。男の人の友情って……」

「…………そうか……。
 史絵ちゃん……迷惑かけたね?
 ……ありがとう」

「……いえ……迷惑だなんて……
 そんな……」

二人から聞いた伸の思いがけない話に
少し感動して史絵にお礼を言う翔。

そんな翔に蓉子は自分を指差しながら
言ってくる。

「ねえ…翔? 私には?」

「えっ?」

「私も待っていたんだけど……?」

「………………。
 なんか…蓉子にはお礼を言いたくない」

「なにそれ? ヒド~イ!」

「だって…お前……。
 史絵ちゃんについていただけだろ?
 しかも俺にいたずらをしようとしてた」

 ぎくっ

翔が横目で蓉子に話しかける。
蓉子は慌てて翔から目を逸らした。

「凄いですね……翔くん。
 ……よくわかりますね……
 わたし……止めようとしたんですけど」

「史絵! 言ったらダメだぁ!」

「あっ!」

「…………やっぱりな……」

「あ~あ……ばれちゃった……。
 なんか翔って、わたしにとって
 虐める対象にあるんだよね」

「……………お前なぁ………」

「ふふふ…翔くんと蓉子ちゃんって
 仲がいいんですね?
 なんか…昔からの友達みたいですね…?
 ………………羨ましいです……」

「………!?」

「えっ?いやだな、そんなことナイナイ!
 ただ…昨日。みんなで思いっきり
 騒いだから…。だからかな…わたし…
 女あつかいされてないし」

「……それでも……羨ましいです」

「史絵ちゃん……。
 史絵ちゃんも俺にとっては大事な
 友達だよ。だから羨ましがること
 無いからね?」

「…………翔くん」

「だから史絵ちゃんに悩みがあるときには
 なんでも相談して欲しい……。

 華那恵ちゃんのこと、俺も全く知らない
 訳じゃない。
 だから、もし良かったら…力になろうか?」

「………翔くん」

「…俺の方からもそれとなく言っておくよ。

 このままじゃ…華那恵…ちゃんも…
 …史絵ちゃんも、そして…蓉子も…
 …嫌だろうから……」

「………お願いしても……いいんですか?
 わたし……。
 華那恵ちゃんも蓉子ちゃんも……」

「大事なんだろ?わかっているよ……。
 友達なんだから遠慮はしなくても…
 …いいよ。俺なりに話してみるからさ。

 …ただし…しばらく…時間をくれ……」

「…………はい。……お願いします」

「…………翔……」

「ほらほら……元気出して……
 図書室に行くんだろ?
 俺ももう帰るからさ…」

「………はい」

「…………翔……」

(…………………………………。
 頑張って………話を聞こう。
 俺にとっても気になるからな………)

三人はゆっくりと立ち上がり
教室を出て行った。




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